シノドス事務局長:グレック枢機卿の各国司教宛の手紙(邦訳)(2023.9.12)

Prot. No. 230382 2023年9月12日、バチカン 各国司教各位  親愛なる兄弟である司教の皆さま、  「2021 年 10 月に教皇フランシスコが全教会をシノドスに招集して以来、神の民は動き始めて」(『討 […]

Prot. No. 230382
2023年9月12日、バチカン

各国司教各位

 親愛なる兄弟である司教の皆さま、

 「2021 年 10 月に教皇フランシスコが全教会をシノドスに招集して以来、神の民は動き始めて」(『討議要綱』1項)おり、そして今わたしたちは、神の民の意見聴取から始まったこの歩みにおいて、新たな節目を迎えています。あと数日と迫った10月4日、教皇はシノドス第16回通常総会「ともに歩む教会のために―交わり、参加、そして宣教」の第1会期を開会します。

 「祈りなくしてシノドスなし」(教皇フランシスコ「2022 年10月の祈りの意向」)。シノドスとは、何よりも祈り、耳を傾ける行事であり、シノドス総会の参加者だけでなく、洗礼を受けたすべての人とすべての部分教会を巻き込むものです。実際、この時、わたしたち全員が祈りの交わりのうちに一致し、主が今日の教会に何を求めておられるかを識別するためにわたしたちを導いてくださるよう、聖霊に熱心に呼びかけるよう求められているのです。それゆえわたしは、各自の部分教会において「一致の目に見える原理であり、基礎」(『教会憲章』23項)であり、ゆだねられた神の民のための祈りの第一の担い手である皆さんに手紙を書いています。それは、全教会から「熱心な祈り」(使徒言行録12・5)が、教皇フランシスコとシノドス総会のすべての参加者のために、神に届けられるためです。それゆえ、皆さんがシノドスのために祈り、各自の部分教会のあらゆるキリスト教共同体、とりわけ観想修道会の一致した熱心な祈りを勧めてくださるようお願いします。祈りは、あらゆる司教にとって、団体性に基づく行為においてふさわしい参加の一形態であり、普遍教会のために心を向けていることの明らかなしるしなのです(司教省『アポストロールム・スチェソーレス』13項参照)。

 さまざまな祈りの形態は、教会のシノドス的生活の多次元的な表現にすぎません。何よりもまず、祈りとは耳を傾けることです。教皇はシノドスの旅の冒頭で、次のように語りました。「シノドスはわたしたちに、耳を傾ける教会になる機会を与えてくれます。立ち止まって耳を傾けるために、日常から抜け出し、司牧的関心を一旦ストップするのです。(教皇フランシスコ「内省の時」ローマ、2021年10月9日)。祈りの第一歩は、神のことばに耳を傾け、霊に耳を傾けることです。それゆえ、洗礼を受けたすべての人による、シノドス総会の展開に対する第一の貢献は、霊の声が教会の識別にとって必要条件であるという確信のもとに、神のことばと霊に耳を傾けることです。

 祈りの第2の形態(顔)は崇敬の祈りです。教皇は次のように述べています。「今日、わたしたちはどれほど崇敬の祈りを欠いていることでしょう。多くの人々が、習慣だけでなく、神を礼拝するということの意味そのものを見失ってしまっているのです」(同、ローマ、2021年10月9日)。ですから、耳を傾けたあとには、神がご自身の教会に語られていること、そして霊が今日の教会に呼び覚ましていることに、畏敬の念をもって、崇敬を表す沈黙が続くべきです。これまで歩んできたシノドスの道は、わたしたちを驚きと畏敬の念へと導き、わたしたちのまなざしを、あきらめの悲しみ(ルカ24・17参照)から、復活した方の現存を自分たちのただ中に発見した人々の喜びの使命(ルカ24・33参照)へと転換させるのです。

 祈りの第3の顔は執り成しの祈りです。わたしたちは執り成しの祈りの力を信じるべきで、それは神のみ旨を自分の意志に寄せてくることではありません。むしろ、執り成しとは、主がいのちを与える霊の力でわたしたちの心を照らしてくださることで、わたしたちが主のみ旨を識別し、実行できるように願うことなのです。また「執り成す」ということは、責任を担うことでもあり、神の前で自らの参加と関与を宣言することでもあります。「執り成す」とは「わたしは関心があります、参加します、それはわたしのものです」と公言することです。シノドス総会のため、その参加者全員のため、そして何よりもまず、たびたびわたしたちに自らのために祈るよう願う教皇のために執り成すことは、最高の形で参加することです。

 最後に、親愛なる兄弟の皆さん、祈りとは感謝であり、わたしたちのすべての働きとキリスト教共同体の生活のうちに、神のわざと恵みが先に存在するのだと理解すべきです。教皇は言われました。「感謝の祈りはつねにこのことを起点としています。つまり、恵みはわたしたちに先立って与えられることに気づくことから始まります。わたしたちは、考えかたを学ぶ前から、考えられていました。愛しかたを知る前から、愛されていました。自分たちが望む前から、望まれていました」(教皇フランシスコ「一般謁見演説」2020年12月30日)。感謝の祈りはわたしたちを、自分自身の中に閉じこもった状態から、神が教会の中で働き続けておられることをすべて発見できる、開かれた状態へと駆り立てる、真の「いやし」なのです。

 親愛なる兄弟の皆さん、耳を傾けること、崇敬、執り成し、感謝の祈りをもって、霊の力のうちに、洗礼を受けたすべての人にかかわる行事であるシノドス総会に、教会共同体全体があずかることになります。 とりわけ10月1日、年間第26主日(A年)に、皆さんがシノドス総会のための祈りを強調し、ミサ中の説教、共同祈願、派遣の祝福の中で、シノドス総会のことを思い起こすようお願いします。そのために、共同祈願と派遣の祝福に使用しうるテキストをいくつか添付します。

 シノドスの旅において、各自の部分教会を導いておられる皆さんの配慮に感謝し、また、わたしたち教会の旅において、交わりと喜びに満ちた希望のたまものを花開かせてくださる主に感謝しつつ、皆さんと、また全教会を代表する皆さんの奉仕職のために、心よりお祈りいたします。どうか、主の霊がわたしたちを照らし、そのみ旨の道へといつも導いてくださいますように。わたしたちを生かし(詩編119・50参照)、その中にわたしたちが喜びを見出すのは、主のことばだけだからです。

シノドス事務局長 マリオ・グレック枢機卿

添付資料:
1.「派遣の祝福―年間第26主日」(典礼秘跡省による規範版)
2.派遣の祝福の各国語訳例
3.週日のための「共同祈願―執り成しの祈り」
4.主日のための「共同祈願―執り成しの祈り」―年間第25、26主日ダウンロード(PDF 256KB)

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