2025年灌仏会に際しての教皇庁諸宗教対話省から日本へのメッセージ

教皇庁諸宗教対話省 「希望と友愛を新たに」 2025年花祭りに際してのメッセージ バチカン市国 親愛なる日本の仏教徒の皆さん、    今年もまた、仏陀の誕生を記念する花祭りの喜ばしい日を迎え、心よりのご挨拶とお祝いを申し […]

教皇庁諸宗教対話省
「希望と友愛を新たに」
2025年花祭りに際してのメッセージ
バチカン市国


親愛なる日本の仏教徒の皆さん、
 
 今年もまた、仏陀の誕生を記念する花祭りの喜ばしい日を迎え、心よりのご挨拶とお祝いを申し上げます。仏陀の生涯と教えは、何世紀にもわたって人類の霊的旅路に貢献し、今日も多くの人々に感銘を与え続けています。

 仏陀は、洞察力と深い見識によって真摯に悟りを追い求め、苦しみを終わらせるための道を切り開きました。この道は、倫理と慣習によって形作られ、豊かにされていきます。この道を歩むことで、仏教徒は、すべての人の心に生まれつき備わっている真実への渇望を満たそうとします。この渇望を追求することで、真の平和がもたらされるのです。仏教の実践は、このように、無知に根ざした苦しみから抜け出したいという希望に突き動かされた巡礼と見なすことができます。

 今年、2025年はカトリック教会にとって聖年となります。そのテーマは「希望の巡礼者」です。カトリック信者にとってこの聖年は、希望の徳を中心にした恵み、和解、霊的刷新のときです。わたしたちが送るこのメッセージは、聖年の精神に則ったものです。つまり、教皇フランシスコが次のように願っているとおりです。「日々の生活でますます熱狂的になっていくスピードから一歩退いて、本当に必要なものから力を得て、元気を取り戻すことができるよう助けてください。つまり、神の子として、また兄弟姉妹として、神のうちに自分自身を再発見し、人々の罪をゆるし、わたしたちのただ中にいる弱者や貧しい人を支え、地球に休養休息を与え、正義を実践し、希望を回復させるのです」(「聖座に信任された外交団への講話」2025年1月9日)。

 紛争、分裂、環境危機によって脅かされている世界にあって、宗教は希望の源泉となるよう求められています。戦争があるところに平和を、傷があるところにいやしを、闇が覆うところに光をもたらすよう、人類を勇気づけるのです。霊的旅路をともに模索する人間として、わたしたちは、各宗教伝統から生まれる希望を大切にしています。各宗教伝統は、この世の平和を人類のもっとも崇高な希求の一つと考えているのです。「明日は何が起こるか分からないとはいえ、希望はよいものへの願望と期待として、一人ひとりの心の中に宿っています」(『希望は欺かない』1項)。希望は人類を支え、困難なときにも力を与えます。それは、あらゆる宗教に共通する核心的価値観であり、あらゆる時代において、とりわけ助けを必要とされている人々に対して、その信者たちが親切心と深い思いやりをもって行動するよう促しています。

 親愛なる仏教徒の皆さん、仏陀の誕生と、その教えから生まれた偉大な霊的伝統を記念するにあたり、わたしたち、仏教徒とキリスト者が、世界に希望の根拠を示していくという共通の誓いを新たにできますように。わたしたちの友情と協力が、それぞれの伝統の深い知恵と価値観に導かれ、平和と調和をはぐくみ続けることができますように。



教皇庁諸宗教対話省長官
ジョージ・ジェイコブ・クーバカド枢機卿

同省次官
インドゥニル・ジャナカラトネ・コディトゥワック・カンカナマラゲ神父