教皇レオ十四世の紋章とモットーの説明

2025年5月14日(水)、教皇庁広報部は教皇レオ十四世の紋章とモットーの説明について発表しました。 紋章 盾の左上は青地に銀色の百合。右下は矢で貫かれた燃える心臓。これらの全体は赤色で、閉じられた本の上に置かれる。 盾 […]

2025年5月14日(水)、教皇庁広報部は教皇レオ十四世の紋章とモットーの説明について発表しました。

紋章

盾の左上は青地に銀色の百合。右下は矢で貫かれた燃える心臓。これらの全体は赤色で、閉じられた本の上に置かれる。

盾の上には銀色のミトラ(司教冠)。ミトラは、三本の金色の帯と一本の金色の縦棒で飾られる。ミトラは、ひらめく赤色の垂飾りで裏打ちされる。垂飾りには金色の十字架と房がついている。垂飾りの前には交差したペトロの鍵(向かって左上部から右下部が金色、向かって右上部から左下部が銀色)。二つの鍵は赤いひもで結ばれている。

モットー

IN ILLO UNO UNUM.

説明

紋章左上の青地は天の高さを思い起こさせ、マリアを表す。百合は古代から聖なるおとめマリアの象徴(「花々の中の花」[flos florum])。

紋章右下の白地に描かれた、矢で貫かれた燃える心臓は、聖アウグスチノ修道会の象徴。この図像は、『告白』(Confessiones IX, 2, 3〔山田晶訳、『世界の名著14 アウグスティヌス』中央公論社、1968年、290頁〕)で聖アウグスティヌスが述べたことば「あなたは私たちの心を、愛の矢で貫かれました」(Sagittaveras tu cor nostrum charitate tua)を象徴的に表す。この図像は16世紀以降、聖アウグスチノ修道会士の紋章で用いられてきた。紋章にはさまざまなバリエーションが伴う。たとえば、聖アウグスティヌスがそうであったように、すべての人の心を変容させることができる神のことばを象徴的に示す、本である。本は、恩寵博士アウグスティヌスが教会と人類に与えた、輝かしい諸著作も想起させる。白地(教皇紋章においては象牙色)は修道会の他の紋章にもしばしば用いられ、聖性と純潔の象徴と解釈される。

モットーの「わたしたちは彼(キリスト)一人のうちに一つである」(In illo uno unum)は、聖アウグスティヌス『詩編講解』(Enarrationes in Psalmos LXXXVIII, sermo 1, 7)のことば「わたしたちは多くの子たちなのである。彼は独りであり、わたしたちは彼にあって一つである」(Ille unicus, nos multi; ille unus, nos in illo unum〔荒井洋一・出村和彦・金子晴勇・田子多津子訳、『アウグスティヌス著作集19/Ⅱ 詩編注解(4)』教文館、2020年、364頁〕)の引用。

アントニオ・ポンピリ
イタリア紋章・系図研究所副所長