教皇レオ十四世、2025年7月6日、「お告げの祈り」でのことば

2025年7月6日(日)正午(日本時間同日午後7時)から、教皇公邸書斎の窓から行った「お告げの祈り」の前後に述べたことば(原文イタリア語と英語)。 「お告げの祈り」の後、英語で、7月4日(金)にアメリカ合衆国テキサス州の […]

2025年7月6日(日)正午(日本時間同日午後7時)から、教皇公邸書斎の窓から行った「お告げの祈り」の前後に述べたことば(原文イタリア語と英語)。
「お告げの祈り」の後、英語で、7月4日(金)にアメリカ合衆国テキサス州のグアダルーペ川の氾濫により発生した洪水で、サマーキャンプに参加していた少女たちが死亡したことに弔意を表した。この洪水では、6日時点で死者数が子ども28人を含む80人に達したことを米メディアが報じた。
教皇は、この日午後、車で休暇先のカステル・ガンドルフォ教皇公邸に移動した。



 親愛なる兄弟姉妹の皆様。こんにちは。

 今日の福音(ルカ10・1-12、17-20)は、宣教の重要性をわたしたちに思い起こさせます。わたしたちは皆、それぞれ自分の召命に応じて、主が置いてくださった具体的な状況の中で、宣教へと招かれています。

 イエスは72人の弟子を派遣します(1節)。この象徴的な数字は、福音の希望がすべての民に向けられていることを示します。これが、神の心の広さであり、その収穫の豊かさです。それが、すべての神の子らが神の愛に触れて、救われるために、神が世で行われるみわざです。

 同時にイエスはこういわれます。「収穫は多いが、働き手が少ない。だから、収穫のために働き手を送ってくださるように、収穫の主に願いなさい」(2節)。

 一方で、神は、種を蒔く人のように、寛大な心をもって、世に種を蒔くために出かけて行き、人と歴史の心の中に、無限なもの、充実した人生、自分たちを解放する救いへの望みを置きました。それゆえ、収穫は多いのです。神の国は種のように大地に芽吹きます。現代の人々も、たとえ多くのことに圧倒されているように見えるとしても、偉大な真理を待ち望み、人生の豊かな意味を探し求め、正義を望み、永遠のいのちへのあこがれを心に抱いています。

 他方で、主が種を蒔いた土地で働く働き手は少ないのです。また、それ以前に、イエスの目をもって、刈り入れを待つよい麦を見分けることのできる働き手も少ないのです(ヨハ4・35-38参照)。主は、わたしたちの人生の中で、人類の歴史の中で、偉大なことをしようと望まれます。しかし、それに気づき、立ち止まってたまものを受け入れ、それを告げ知らせ、他の人々にもたらす人は少ないのです。

 親愛なる兄弟姉妹の皆様。教会も世界も、信仰を外面的なラベルで示すことによって宗教的な義務を果たす人を必要としているのではありません。むしろ必要としているのは、宣教の場で働くことを望む働き手、神の国をあらゆるところであかしする、愛する弟子です。もしかすると、好ましい宗教的感情に浸ったり、何らかのイベントに参加する、「機会的なキリスト信者」は少なくないかもしれません。しかし、進んで、日々、神の畑で働き、心の中で福音の種を育て、それを日常生活、家庭、職場、学校、さまざまな社会的環境の中で、また困っている人に伝える人は少ないのです。

 そのために、司牧計画に関する複雑な理論は不要です。何よりもまず必要なのは、収穫の主に祈ることです。すなわち、第一に重要なのは、主との関係であり、主との対話を深めることです。そうすれば、主はわたしたちをご自分の働き手とし、み国の証人として世の畑に遣わしてくださいます。

 寛大な心で、「わたしはここにおります」と述べて、救いのわざに参加したおとめマリアに、わたしたちのために執り成し、主に従う道を歩むわたしたちとともに歩んでくださるように、祈り求めようではありませんか。わたしたちも、神の国の喜びに満ちた働き手となることができますように。

(以下、「お告げの祈り」の後に教皇が述べたことば)

 親愛なる兄弟姉妹の皆様。

 ローマの信者の皆様と、イタリアとさまざまな国から来た巡礼者の皆様に心からご挨拶申し上げます。この猛暑の季節に、聖なる扉を通るために皆様が行う旅は、きわめて勇気ある、驚嘆に値するものです。

 とくに聖心のフランシスコ宣教修道女会、ポーランドのストシジュフの生徒とご両親、レグニツァの信者の皆様、ウクライナのギリシア典礼カトリック教会のグループの皆様にご挨拶申し上げます。

 ロマーノ・ディ・ロンバルディア、メリア(レッジョ・カラブリア)、サッサリ、フィレンツェ教区のラテン・アメリカ共同体の皆様にもご挨拶申し上げます。(以下、英語)

 英語を話す巡礼者の皆様にご挨拶申し上げます。愛する人、とくに、アメリカ合衆国テキサス州のグアダルーペ川の洪水が引き起こした災害で、サマーキャンプに来ていたご娘女を亡くされたすべてのご家族に心からのお悔やみを申し上げます。この方々のために祈ります。(以下、イタリア語)

 愛する皆様。平和はすべての民の願いです。それは、戦争によって引き裂かれた人々の悲しみに満ちた叫びでもあります。主に願いたいと思います。武力による暴力が、対話の追求に代わるように、政治指導者の心に触れ、その思いを促してください。

 わたしは今日の午後、カステル・ガンドルフォに行き、そこに短期間、休暇のために滞在します。皆様も、体と魂の力を回復するために、休暇の期間を過ごすことができますように。

 皆様、よい日曜日をお過ごしください。