シノドス第16回通常総会、研究部会最終報告書:第2部会

世界代表司教会議第16回通常総会 第1会期「まとめ」報告書の関連課題に関する研究部会 シノドス流の教会:交わり、参加、宣教 第2部会 貧しい人の叫びと地球の叫びに耳を傾けること 報告概要 (原文:英語)  第2部会は、貧 […]

世界代表司教会議第16回通常総会
第1会期「まとめ」報告書の関連課題に関する研究部会
シノドス流の教会:交わり、参加、宣教

第2部会
貧しい人の叫びと地球の叫びに耳を傾けること
報告概要

(原文:英語)

 第2部会は、貧しい人と地球との、相互に関連する叫びに、教会がどのようにしてより深く耳を傾けることができるかを検討しました。その「最終報告書」は、総合的人間開発省長官のマイケル・チェルニー枢機卿が考察した序文から始まっています。本「報告書」の第1部では、本研究部会がどのように活動を行ったか、その限界や得られた学びについて概説し、第2部では、本部会に託された五つの問いに答える提言のまとめが示されています。六つある付録には、考察や提言の詳細が記載されています。

方法論
 第2部会の方法論は、シノドスの原理に基づいたもので、つまり、参加、多様性、出会い、識別、協働というものでした。そのメンバーには、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、欧州、北米、オセアニアから、聖職者、信徒の専門家、神学者、司牧実務者が集い、地理的、召命的、生活体験的な多様性、および男女比の均衡を意図的に確保したものでした。本部会は、教皇庁総合的人間開発省のスタッフの支援を受け、2024年7月から2025年10月にかけ、Zoomを使い23回にわたって会合をもちました。

 二つの専門下位グループが編成されました。主に障害のある人で構成される「障害下位グループ」は、専門知識を提供し、付録Bを起草しました。一方、貧困や社会からの疎外を経験している共同体と関わる神学者で構成される「神学下位グループ」は、付録Eを起草しました。

 本研究部会は、世界規模で知見を集めるために、以下のような複数の手法を用いました。

  • シノドスで作成された資料の分析。これらの資料は、答えを提供するというより、重要な問いを提起していることが示され、より深く耳を傾け、研究する必要性が示唆されました。
  • 司教たち、奉仕者たち、諸団体、神学者たち、養成担当者たち、および同省の職員を対象に、五つの言語で送付された4件の短いアンケート。これらは、聞き取りにおける障害、効果的な実践、新たな組織に関する提案、養成に関する考察を探るものです。
  • シノドス第2会期での審議。
  • 全世界に向けた書面での意見公募。
  • USIG(国際女子総長連盟)と提携した、女子修道会を対象とした養成に関する調査。200件以上の回答を得ました。これは、問い5(付録F)の分析に大きく寄与しました。
  • 提言案を広く回覧し、各大陸から回答が寄せられた、世界規模のフィードバック・ループ(訳注:フィードバックで得られた情報を活用し、行動を改善するプロセスを継続的に繰り返し、最適化していくこと)。それは、21の司教協議会、15の団体と個人を含み、世界規模での提案内容の検証と精緻化が図られました。

 本研究部会は、その活動に影響を与えた、以下のようないくつかの制約要因を特定しています。

  • 地理的偏り。とりわけ中東地域から意見が寄せられたにもかかわらず、同地域のメンバーがいなかったこと。
  • 言語的制約。つまり英語が作業の際の言語であったため、他の言語で表明された見解が十分詳細に反映されなかったこと。
  • 先住民族共同体と文化的に適切な意見聴取を行うための、時間と資源の不足。彼らの慣習では、長期にわたる関係構築のプロセスが必要とされるため。
  • デジタルによる聞き取りやLGBTQIA+の課題といった主題を意図的に除外した、範囲の限定。それらは他の研究部会で取り上げられることが想定されるため。
  • 完全に一巡するシノドスの歩みを行うための時間的制約。このためには、貧しくされ、周縁化された共同体と、より徹底した現場でのかかわりやフィードバック・ループが必要であったこと。

 本部会自体のシノドスの歩みについて振り返る中で、いくつかの分野横断的な洞察が浮かび上がりました。

  • シノダリティには、時間、信頼、多様性が必要なこと。真にシノドス的に働けるかどうかは、諸文化や生活状況の違いを越えて忍耐強く関係を築けるかどうかにかかっており、女性や、社会から疎外された経験をもつ人を意図的に加える努力が必要なこと。
  • 「耳を傾ける」ことは、関係性重視で、参加型でなければならないこと。真に「耳を傾ける」ためには、持続的で相互的な関係が不可欠であり、とりわけ貧しい人、周縁化された人、排除された人との関係においてそれが求められます。組織だけでは、関係性に基づく出会いを代替することはできません。
  • 「地球の声に耳を傾ける」には新たな能力が求められること。本部会は、各地方教会が現在、地球の叫びにいかに耳を傾け、応えているかについて不十分な点があることを指摘し、新たな技能とより深いエコロジカルな意識が必要であると提言しました。
  • 事例は慎重に提示すべきであること。本部会は、具体的事例の必要性と、意図せず特定の状況を特別扱いしてしまう可能性とのバランスを取ることに苦慮しました。そのため、状況に即した適応を支持する一般原理が強調されました。
  • シノドスの歩みは終わりがないこと。真に出会い、耳を傾けることは、単線的な企画立案ではなく、反復的なフィードバック・ループを通じて展開されます。本部会は、これに続く諸段階を識別する際、謙遜さ、衝突に対し開かれた姿勢、聖霊への信頼を強調しました。

提言のまとめ
 この「最終報告書」第2部では、本研究部会による聞き取りと識別を通じて展開された提言をまとめています。これらは、聞き取り、共同体と奉仕の連携、ネットワーク構築、神学研究、養成に関する、本研究部会に提示された五つの包括的な問いに対する回答となっています。

聞き取り:既存および新規の聞き取り方法(問い1)
 主な主題は以下のとおり。教会はすでに、小教区、各奉仕職、各参与機関、先住民族のカトリック諸団体、虐待保護の諸機関、国際的ネットワークを通じて聞き取りを実行していること、聞き取りは受動的な意見聴取にとどまらず、怖れ、偏見、構造的な障壁に対峙する、より深い相互関係へと発展されなければならないこと、貧しい人の叫びと地球の叫びとの相互関連性は、より自覚的に統合されるべきこと、です。付録Aでは、教会における既存の聞き取りの空間、時、プロセスについて詳述するとともに、その障害を特定し、改善策を提案しています。

 聞き取りの方法に関する11の提言には、以下が含まれます。

  • 世界的な優れた実践例を共有するためのオンライン・プラットフォームの立ち上げ(例:「ラウダート・シ・アクション・プラットフォーム」)。
  • 「被造物の季節」期間中の、「被造物を大切にするためのミサ」活用の奨励。
  • 参与機関における包摂性の拡大、ならびに社会的弱者、女性および気候変動や紛争の被害地域の人々の意見表明の確保。
  • 各先住民族の声に耳を傾け、階級に基づく差別を監視するための、地域、または国際的組織の確立。
  • 「障害に関する教会研究所」の創設と、他の周縁化されたグループの声に耳を傾けるための、この枠組みの地域レベルへの適応。

共同体と奉仕との連携(問い2)
 中心的メッセージは、社会的な奉仕職は他者にゆだねることはできず、すべてのキリスト者は耳を傾け、応える責任を負っていること、各小教区、それぞれの奉仕職、司教たち、各機関の間の双方向のコミュニケーションが、共有する使命を果たすために不可欠であること、でした。付録Cでは、貧しい人の叫びと地球の叫びに応えることは、専門家だけでなく、キリスト者の共同体全体の使命と不可分である、と強調されています。

 共同体と奉仕との連携に関する三つの提言は、以下の通りです。

  • 司祭たち、司教たち、各奉仕職、諸機関間のコミュニケーションと協力を強化すること。
  • 司牧担当者に対し、聞き取りや出会いに関する実体験を伴う、社会的・エコロジカルな正義について、継続養成を義務付けること。
  • 慈善活動や正義に関する奉仕職に携わる人々と同伴するため、団体付司祭、司牧従事者、神学者などによる霊的・司牧的支援を提供すること。

ネットワーク構築の取り組みと権利に基づく政策提言(問い3)
 中心的主題は以下の通り。貧しい人の叫びと地球の叫びは、別々にではなく、その構造的な相互関連性を認識した上で、一体として取り組まなければならないこと、各教区、地域、宗教伝統、市民社会を横断するネットワーク構築が、取り組みの効果を高めること、聞き取りと行動を改善するためには、省察、評価、ジェンダー分析、透明性が不可欠であること、です。付録Dでは、慈善活動、政策提言、調査研究、生態系保全は、互いに連携し、相互に強め合わねばならないと強調されています。

 さまざまな取り組みのネットワーク化や統合に関する、「最終報告書」の七つの提言には、以下のものが含まれます。

  • 専門知識と多層的なネットワークを活用し、両者の叫びに対する、総合的な対応の推進。
  • 社会的な奉仕職、政策提言、紛争解決、連携構築に携わる人々に対する、カトリック社会教説に関する養成。
  • 霊における会話の手法を含め、霊的養成と共同識別の実践の支援。

耳を傾けることの神学研究(問い4)
 中心的メッセージは、貧しい人の生活体験と地球の実体験こそが、神学的知恵と洞察を得るための恵まれた場であり、さらに、神学者は異文化対応能力を養い、周縁化された諸共同体との関係を深め、学際的手段で働かなければならない、というものです。付録Eでは、貧しくされた共同体、エコロジカルな共同体との出会いに基づいた、シノドス神学のビジョンを提示しています。

 神学研究が、貧しくされた人や地球の声が教えるべきことに、いかに耳を傾けるかについての七つの提言は以下の通りです。

  • 教会のあらゆるレベルの諮問機関への、貧しい共同体、周縁化された共同体、取り上げられることのない共同体出身神学者の任命。
  • 信徒、とりわけ周縁化された共同体出身の女性たちが神学教育を受けられるようにする支援。
  • 貧しい人びとや、エコロジカルな共同体と働く諸団体と神学者とを結びつける世界規模のネットワーク構築。
  • 周縁化や環境問題に関する、貧しい共同体、他教派のキリスト者、および諸宗教の関係者との対話の強化。
  • デジタル・コミュニケーションや司牧上のコミュニケーションを含む、神学者向けのコミュニケーション研修の充実。

貧しい人の声と地球の声に耳を傾けるための養成(問い5)
 中心的主題としては、養成は、信徒、修道者、聖職者といった、異なる召命を越えて共有され、相互の尊敬と協力を育てるべきであること、また、聞き取りは自明のものではなく、明確に教わるべきものであり、それが変革的な影響をもたらすことが評価されなければならない、という点です。付録Fでは、聞き取りのための養成を支える実践例を挙げるとともに、知的、霊的、関係的、体験的各側面を横断して、聞き取りを統合する必要があることを強調しています。

 「最終報告書」が、養成という重要分野に関して提示した20の提言には、以下が含まれます。

  • 貧しく弱くされた人びととの直接の出会いを優先し、女性、子ども、先住民族共同体、さらに被造物そのものといった、多様な声が確実に届くようにすること。
  • 貧しい人を、奉仕の単なる受容者としてではなく、福音化の担い手として認識すること。
  • カトリック社会教説、政策提言、霊的識別において不可欠な要素として、「耳を傾けること」を教えること。
  • エコロジカルな課題と社会的課題を統合すること。
  • 周縁に置かれた人、とりわけ先住諸民族、女性、障害のある人のために、養成の機会を確実に得られるようにすること。
  • 耳を傾けること、異文化対応能力、ジェンダーおよび文化分析、地球の叫びに対する応答のための資源を整備すること。

結び
 本「最終報告書」は、単なる手続き的なものではなく、関係性に基づく「耳を傾けること」に関するシノドス流のビジョンを明確に示しています。それは、包摂的で、もっとも耳を傾けられていない人びとに目を向けたものであり、教会のすべての奉仕職、領域、レベルを横断して統合され、出会い、識別、行動、そして評価を通じて、不断の回心に専心するものです。

 本研究部会は、自らが提言する、まさにシノドスのダイナミズムを具現化しようと努めました。つまりそれは、多様な参加、謙遜な学び、垣根を乗り越えた聞き取り、人と地球の具体的叫びへの応答性です。その提言は、教会が、かつてないほど、キリストの心をもって耳を傾ける共同体へと成長していく能力を強化する、戦略的な道筋を提示しているのです。

【参考】第2部会「最終報告書」(英語)――目次

序文

はじめに

第1部
方法論

 実施内容
   部会結成と会合
   文書の分析
   郵送によるアンケート調査
   シノドス第2会期での審議
   障害と神学に関する下位グループ
   養成に関する働きかけ
   フィードバック・ループ
   報告書作成
 課題点
 本部会の方法論から得た学びについての考察

第2部
報告概要

 1.聞き取りのため出向いていくための方法
   提言
 2.キリスト教共同体と、慈善、正義、総合的開発、総合的エコロジーへの奉仕
   提言
 3.ネットワーク構築の取り組み、および慈善活動と権利擁護の融合
   提言
 4.貧しい人と地球に耳を傾ける神学研究
   提言
 5.貧しい人と地球に耳を傾けるための養成
   提言

付録A – 問い1 既存および新規の聞き取り方法
 現在の聞き取り方法
   聞き取りの場所
   聞き取りの時期
   聞き取りのプロセス
 心に耳を傾けることに向けて
 新規の聞き取り方法
 提言

付録B – 障害に関する教会研究所設立の提案
 はじめに
 組織
 目的

付録C – 問い2 キリスト教共同体と、慈善、正義、総合的開発、総合的エコロジーのために具体的に活動する人々との連携
社会的な奉仕職は福音宣教に不可欠
 つながりを維持しつつ
 提言

付録D – 問い3 ネットワーク構築の取り組み、および慈善活動と権利擁護の融合
 ネットワーク構築の取り組み
 自己検証と評価
 提言

付録E – 問い4 神学研究「貧しい人の叫びと地球の叫びに耳を傾けること」
 宣教するシノドス流の教会のための神学
 神学者の召命
 ドゥーイング・テオロジー
 教会的で、共同体に基礎づけられた神学
 コミュニケーション

付録F – 問い5 養成上のニーズと霊的ニーズ
 現状の実践
 養成の課題
 提言

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