米国による国際刑事裁判所職員及びその家族への制裁についての要望

ECSI-2026-022 2026年9月4日 内閣総理大臣 高市早苗様 日本カトリックいのち・平和・人権委員会 委員長 森山信三司教 米国による国際刑事裁判所職員及びその家族への制裁についての要望  2026年8月18 […]

ECSI-2026-022
2026年9月4日

内閣総理大臣
高市早苗様

日本カトリックいのち・平和・人権委員会
委員長 森山信三司教

米国による国際刑事裁判所職員及びその家族への制裁についての要望

 2026年8月18日、アメリカのトランプ政権は、国際刑事裁判所(International Criminal Court[ICC])の赤根智子所長及びアブドゥライェ・セエ上級法廷弁護士の2名を制裁の対象に加えると発表しました。これは、昨年2月6日の大統領令14203号に基づくもので、そこでは、国際刑事裁判所が非加盟国のアメリカとイスラエルの軍人や要人を捜査や逮捕状発出の対象としてきたことを、アメリカやイスラエルの国家主権を侵害しその外交安全保障政策の遂行を阻害する悪意ある脅威だと決めつけ、国際刑事裁判所の関係者とその家族を制裁対象とする方針が明らかにされています。
 国際刑事裁判所は各国政府や国際機関から独立した国際裁判所として、加盟国において人道に対する罪や戦争犯罪などを行った個人を捜査、訴追の対象としていますが、パレスチナのガザ地区での戦争犯罪容疑で、ベンヤミン・ネタニヤフ首相を含むイスラエル高官に対して逮捕状を出したことが、この大統領令の契機となっています。
 アメリカはこれまですでに国際刑事裁判所の判事や主任検察官など11名のICC職員、その活動に直接関与したとされる3つのパレスチナ人権団体、そして「1967年以降占領下にあるパレスチナ地域における人権状況に関する国連特別報告者」として、イスラエルによるガザ地区への侵攻をジェノサイドと認定したフランチェスカ・アルバネーゼ氏を制裁対象としています。
 大統領令による制裁では、対象者本人や家族に対して、米国への渡航・入国、米国銀行口座の資産凍結、米国の金融・ITシステムからの遮断が行われます。しかし赤根所長をはじめとするICCの職員は国際法に基づき公正に捜査や裁判を行っており、制裁を受ける理由は一切ありません。トランプ政権はこれにとどまらず、アメリカやイスラエルなどの主権を脅かすとして国際刑事裁判所の解体を公然と主張し、日本を含めた加盟国に対しても、脱退するよう圧力をかけています。これは大変由々しい事態です。
 確かに国際刑事裁判所は万能ではありません。国際法を無視してイスラエルとアメリカが始めたイラン戦争のように、交戦国のいずれもが加盟していない場合、国連安全保障理事会の付託がないと介入できないなど、いくつもの限界があります。それでも独立した立場で、武力紛争における犯罪被害者の声なき声に耳を傾け、人権と法の支配のための唯一の国際刑事法廷として画期的な役割を果たしてきたのです。
 国家主権を尊重し各国の裁判所を補完して全人類の平和を追求する国際刑事裁判所と、カトリック教会はミッションを共有しています。大国の横暴なふるまいによる人権や法の支配の蹂躙が目にあまる今日、国際刑事裁判所が解体の危機に瀕するようなことになれば、国際秩序はさらなる混乱に陥ってしまいます。日本政府はトランプ政権の圧力に屈することなく、赤根所長が率いる国際刑事裁判所への支持と支援を明らかにし、アメリカ政府に対し、不当な制裁と介入を撤回するよう直接申し入れるよう求めます。

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