現代における平和と希望の担い手として 2026(令和8)年神道の皆さまへの新年のごあいさつ 親愛なる神道の皆さま 「平和が皆さんとともに!」 教皇レオ14世が最初の「世界平和メッセージ」の主題として用いた、次のことばを […]
2026(令和8)年神道の皆さまへの新年のごあいさつ
親愛なる神道の皆さま
「平和が皆さんとともに!」
教皇レオ14世が最初の「世界平和メッセージ」の主題として用いた、次のことばをもって、皆さまにご挨拶申し上げたいと思います。「平和が皆さんとともに:非武装と軍縮を進める平和に向けて」。復活した主イエスの呼びかけを反映したこの訴えにより、教皇は全人類に対し、暴力と戦争の論理を拒絶し、愛と正義に基づく真の平和を受け入れるよう招いています。
新年を迎え、皆さまの平穏とご多幸を心よりお祈り申し上げます。この時期に神社を訪れ、感謝と新たな始まりへの祈りをささげる数多くの参拝者の皆さまと、わたしたちは霊において一つになっています。清らかな心と自然との調和をもって新年を迎えるこの古来よりの伝統は、平和のうちに和解した世界に対する、わたしたちキリスト者の希望と深く共鳴するものです。
ことしの新年は、希望の聖年の閉幕と、第二バチカン公会議の『キリスト教以外の諸宗教に対する教会の態度ついての宣言』公布60周年とが重なっています。後者の歴史的文書は、さまざまな宗教の信者の間に、今なお、対話と友情を鼓舞し続けています。この文書はわたしたちに、諸国民と諸民族の間に一致と愛をはぐくむという、共有されている招きを思い出させてくれます。またそれは、あらゆる宗教伝統が、人間の心の不安に創造的に応え、いのちを支え、現代の課題のただ中で意味を与えるよう励ましています。
不確実性、分断、霊的指針の喪失がますます顕著になる世界において、世界の各宗教伝統は、希望と知恵の絶えざる担い手として存在しています。それらは、苦しみと喜び、生と死、善と悪のただ中で、和解、調和、意味へと続く道を人類が識別する助けとなるものです(『キリスト教以外の諸宗教に対する教会の態度ついての宣言』2項参照)。それぞれの宗教の聖なる源泉から知恵を引き出すことで、信仰とは、世の試練からの逃避ではなく、それらを変容させる勇気と創造性の源泉であることを、わたしたちは見出すのです。こうした霊的洞察は、対話の中で分かち合われる中で、人類全体に対するたまものとなり、相互理解をはぐくみ、人類と地球の癒しのため、実際的に協力するよう促します。わたしたちが直面する数多くの緊急の課題の中でも、人工知能の倫理的利用はとりわけ、あらゆる宗教伝統の道徳的知恵と識別を必要としています。技術が共感や責任に根ざすことで発展することが、すべての人の尊厳と被造界の調和に資することを保証できるのです。
親愛なる友人の皆さま、現代社会で平和を求める者として、わたしたちは聖なる責任、つまり、「しばしば絶望に陥りがちな人類に希望をもたらす」(『キリスト教以外の諸宗教に対する教会の態度ついての宣言』公布60周年記念講話「希望をもってともに歩む」2025年10月28日)責任を共有しています。それぞれの伝統の光に導かれて、わたしたちは、「人々が偏見、怒り、憎しみの鎖から解き放たれるよう助け、利己主義や自己中心的な考えから抜け出すよう助け、人間の精神と地球の両方を破壊する貪欲さを克服するよう助ける」(同)使命を担っています。どうか、この共有された使命がわたしたちの歩みを導き、調和といのちへの畏敬、そして心を解放する平和を、ともにはぐくみ続けられますように。あらためて敬意と友情を込めて、皆さまにとって2026年が、祝福に満ちた繁栄の年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
明けましておめでとうございます!
2025年12月15日 バチカン
教皇庁諸宗教対話省 長官
ジョージ・ジェイコブ・クーバカド枢機卿
同 次官
インドゥニル・ジャナカラトネ・コディトゥワック・カンカナマラゲ神父
