宗教法人法「改正」に関する要望書

内閣総理大臣 村山 富市 殿  オウム真理教事件を契機として宗教法人法「改正」論議が起こり、この度、文部省・ 文化庁より「改正」案骨子が発表されました。私たちはその内容を検討した結果、以下 のように今回の「改正」に強く反 […]

内閣総理大臣
村山 富市 殿

 オウム真理教事件を契機として宗教法人法「改正」論議が起こり、この度、文部省・ 文化庁より「改正」案骨子が発表されました。私たちはその内容を検討した結果、以下 のように今回の「改正」に強く反対することを表明するとともに、憲法に保障されてい る信教の自由と政教分離の原則を厳守されるよう強く要望致します。

1.今回の「改正」案は、国家による宗教の統制・管理の強化につながるものであり、憲法で保障された信教の自由、政教分離の原則を損なう危険を含むものです。

2.信教の自由の権利は人類の長い年月にわたる戦いによって獲得され確立された権利です。政府はこの権利を最大限に尊重されるよう要望します。また、日本国憲法の政教分離の原則は、信教の自由の権利と不可分のものであり、同じように尊重されるよう要望します。

3.オウム真理教の事件を動機として性急に改正作業を行うこと、しかも、改正を政争の道具にすることは極めて不当であり、由々しい事態を招きかねません。オウム真   理教の事件は現行の宗教法人法第81条と86条ならびに刑法の適用で十分に対応   できます。この事件にはこれらの現行法で対応するよう要望します。

4.今の状況で宗教法人法改正に着手する必要は全く認められません。しかし将来の見直しの可能性を全面的に否定するものでもありません。将来においてその必要が提起された場合は、冷静な世論を背景とし、十分時間をかけ、関係者で論議を尽くし た上で、その結果を踏まえて、慎重に議案を作成するよう要望します。

  また、オウム真理教の事件に対して「破壊活動防止法」を適用する動きがありますが、これは宗教弾圧につながるものであり、この法律の適用は行わないよう強く要望します。

以上

1995年10月11日
日本カトリック正義と平和協議会
会長 岡田武夫

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