教皇の遺体を納める棺とは?

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 教皇の遺体はこれまで三重の棺に納められました。
 遺体を直接入れるのは糸杉の木で作られた棺で、内部は赤い柔らかい繻子(しゅす)が張りつめてありました。
 棺の外側は何の飾りもなく、蓋の頭のほうに黒檀の十字架がはめ込まれていました。
 2番目の棺は5ミリの厚さの鉛。蓋には3枚の鉛のプレートがはめ込まれ、頭のほうに十字架、足のほうに死のシンボル、中央に教皇の紋章がはめ込まれ、下のほうにラテン語で年齢、教皇在位期間、死亡年月日が刻まれていました。
 一番外側の第3の棺は、樫の木。蓋には鉛の棺と同じく、三つの標札がはめ込まれていました。
 容易に石棺に納まるよう、棺に把手は付いていませんでした。

 しかし、教皇フランシスコが2024年4月29日に承認した、改訂版の教皇庁典礼秘跡省儀式書『ローマ教皇の葬儀規則』(Ordo Exequiarum Romani Pontificis)では、葬儀全体の簡素化が行われ、棺についても、棺は一つとし、亜鉛の内張りが施された一つの木製の棺とすることに変更されました。
 三重の棺という複雑な方法を廃止することで、キリスト教徒であり牧者である教皇の簡素な姿が強調されています。

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