教皇の名について

教皇に選出された人は、それを受諾すると、すぐ名前を決めます。これは11世紀頃からの習慣です。それまでは、自分の名前をそのまま使っていました。

6世紀と10世紀に幾人かの教皇が改名しました。それは、本名がキリスト教以外の異教に由来する名前だったからです。最初に名前を変えたのは、533年から538年まで教皇であったヨハネ2世(56代)です。改名まで教皇はメルクリオと呼ばれていました。メルクリオは、古代ローマの異教の神の名前でした。

また、955年から964年にかけての教皇ヨハネ12世(130代)は、選ばれた時、オッタビアーノという名前でしたが、これはローマの有名な皇帝の名前なので、教皇にふさわしくないと思ったのでしょうか、改名しました。

この他、ペトロという名前の人が教皇に選ばれた時、初代教皇の名前を持つのはもったいないとして、名前を変えた例もあります。1人は983年から984年に教皇だったヨハネ14世(136代)。もう1人は1009年から1012年のセルジオ4世(142代)。この頃から、教皇名をとる習慣がついてきました。福音書によれば、初代教皇聖ペトロも、シモンと呼ばれていましたが、ペトロになりました。

大きな使命を受けた時に改名するのは、使命に対する忠誠と心意気を示すことを意味します。11世紀以降も本名を名乗った教皇がいましたが、例外的です。16世紀の教皇でオランダ生まれのハドリアノ6世(218代、1522~23)とマルチェロ2世(222代、1555年4月~5月)。

また、教皇がすでに教皇名として使われている同じ名前をとる時は、2世、3世……と順位を付け、2世が登場したとき、最初にその名前を使用した教皇に「1世」をつけます。

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