核兵器完全禁止を要請しよう趣意書

第二回国連軍縮特別総会(1982.6月)に、核兵器完全禁止と世界的軍縮 の早期実現を通して人類滅亡の危機を救い、あわせて世界の飢餓と貧困の克服の 第一歩を踏み出すことを要請する著名の訴え。  教皇ヨハネ・パウロ二世は広島 […]

第二回国連軍縮特別総会(1982.6月)に、核兵器完全禁止と世界的軍縮 の早期実現を通して人類滅亡の危機を救い、あわせて世界の飢餓と貧困の克服の 第一歩を踏み出すことを要請する著名の訴え。

 教皇ヨハネ・パウロ二世は広島における平和アピ-ル(1981.2.25)におい て「戦争は人間の仕業です。」「ヒロシマを考えることは核戦争を拒否することです。 ヒロシマを考えることは平和に対する責任を取ることです。」「人類同胞に向って軍備 縮少とすべての核兵器の破棄を約束しようではありませんか。」と力強く宣言されまし た。しかし実際には世界の核軍拡競争は新しい段階に入り、とどまるところを知らない 勢いで進められています。

 東西両陣営の間に生れた核軍拡の悪循環を、今、断ち切らねば世界の破滅にまで突入 する危険を避けることはできない情勢です。現在世界には広島に落とされた原爆の数百 万発分が蓄積され、年間5,000億ドル(百兆円)以上の軍備費が使われています。

 人類は自ら発見した武器を使用しなかったためしがありません。したがって、すべて の核兵器についても私どもは表現できぬほどの恐怖を感じます。今こそ私ども全人類が 一体となって核軍拡の悪循環を断ち切るために平和の声をあげるべきで時であります。 核兵器の出現以来、戦争に勝つことによって国の安全、世界の安全を守る時代は過ぎま した。平和を守ることによってのみ、特に世界の安全、国の安全を守ることができるの です。

 戦争は人間の仕業であり、核兵器は人間が造り出したものです。それゆえ核兵器を完 全に禁止し、平和な世界をつくりだすことも人間の責任です。

 今こそ平和への声を世界のすみずみにまで、東西両陣営の奥まで行き渡らせ、世界の 破滅への歩みを押し止めようではありませんか。

 この署への協力を全カトリック信徒、又これに賛同されるすべての善意の方々に心か らお願い致します。第二回国連軍縮特別総会SSDⅡに集まる世界の人々への叫びに和 し、神のあわれみへの信頼に導かれてこの署名運動を私たちの祈りとして神にささげま しょう。

 又、この署名運動を単なる署名に終らせず、平和への協力、平和研究、平和教育、平 和活動の充実、特に核爆発、被曝の実相についての展示、平和行進、講演会等、平和へ の関心を深め、広める機会にしていただきたいと思います。更に平和は単なる人間の業 ではなく、キリストが「私の平和をあなたたちに与える」と言われたように、平和は神 の恵みであり、神の導きのもとに育てるものであります。

 この際、平和のための祈りを深めていただきたいと思います。特に皆様が2月25日 の教皇平和アピ-ル一周年を期して活動を繰り広げてくださることを期待しております。

                               1982年1月

 

日本カトリック司教団
会 長 枢機卿 里脇浅次郎
大司教 白柳誠一 安田久雄
司 教 富沢孝彦 野口由松 平田三郎  伊藤庄次郎 相馬信夫 糸永真一
平山高明 濱尾文郎 石神忠真郎 佐藤千敬  田中健一 深堀 敏
島本 要 松永久次郎

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