世界基督教統一神霊協会に関する声明

カトリック信者の皆さま 一、私たち日本カトリック司教団は、ここ数年来、世界基督教統一神霊協会が、あたかも真のキリスト教であるかのように多くの人々に働きかけ、そのため、時には、カトリックの司祭、信徒が戸惑いを感じていること […]

カトリック信者の皆さま

一、私たち日本カトリック司教団は、ここ数年来、世界基督教統一神霊協会が、あたかも真のキリスト教であるかのように多くの人々に働きかけ、そのため、時には、カトリックの司祭、信徒が戸惑いを感じていることを知り、この協会について声明を発表することにいたしました。

  世界基督教統一神霊協会は、1954年韓国で文鮮明師によって創立され、韓国では六五万人、日本で三十万人の会員がいるといわれています。この運動の目的は一つの人間家族をつくり上げることであり、そのため、キリスト教を統一し、共産主義を根絶し、米国と韓国を中心に平和な世界を実現することを目指して努力しています。私たちは、一つの人間家族をつくり上げることの意義を否定するものではありませんが、この世界基督教統一神霊協会がキリスト教ではなく、ましてやカトリックでもないことを示し、キリスト教一致運動としてのエキュメニズムの対象にもなり得ないこ  とを明確に宣言したいと思います。

二、その教義は、世界基督教統一神霊協会の『原理講論』にありますが、そこにあらわれる教えは、カトリックの最も基本的な教えである、キリストによる啓示の完成・キリストの神性・十字架によるあがないを否定しております。

(1)私たちの信仰によれば、キリストは神のみことばであり、神の啓示の完成者です。

   彼らによりますと、キリストの啓示は不完全で、新たに神から遣わされた文鮮明師こそすべての啓示を完成する真のメシア、最後の救い主ということです。

(2)私たちは、キリストは人となった神であり、そこに天のおん父の私たちに対する    極みのない愛があることを信じるものですが、彼らは、キリストが神であること    を否定し、ただの人間にすぎないとします。

(3)私たちの信仰は、キリストの十字架が私たちの罪をつぐなう救いであり、恵みの    源であることを宣言しますが、彼らは、十字架が失敗と敗北にすぎなかったとし    ます。そのために、文鮮明師が神から真の救い主としての使命を授けられたとい    うのです。

三、このように世界基督教統一神霊協会は、私たちの教えにはっきりと相反しますので、

 私たち日本カトリック司教団としては、この世界基督教統一神霊協会のいかなる運動や会合などにも関与しないように注意を促したいと思います。

 この世界基督教統一神霊協会は、実にさまざまな名称を使い、人々を勧誘しています。時には、世界基督教統一神霊協会とは知らずに多くの文化人、大学教授までも、 参加している場合もあります。

日本での主な活動名称は次の通りです。

世界基督教統一神霊協会、統一教会、平和と統一のための連盟、世界平和教授学会、
○○市民(区民)大学講座、全国大学原理研究会、ユーストゥモロウ友の会、リトル  エンジェルス、
医療奉仕会など。

系列紙(誌)として主なものは次の通りです。

  世界日報、宗教新聞、新天地、週刊宗教、ファミリー、知識など。

四、この世界基督教統一神霊協会が短期間に大きく発展した背後には現代社会のゆがみが指摘されています。社会の世俗化、都市化、機械化などにより、家族から離れ、目的を失い、生きがいを失って、人生に不満を持ち、孤独で悩む人々に働きかけていると言われます。

したがって、私たち日本カトリック司教団としては、司牧宣教にたずさわるすべての人々が、司祭信徒が一つになって、家族から離れ、社会からも疎外されている孤独  な人たち、特に若者たちにあたたかな理解ある心で積極的にかかわってくださることをお願いしたいと思います。

1985年6月22日
(定例司教総会において)
日本カトリック司教団

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