湾岸戦争による避難民移送のための民間機チャーターに関するお願い

+ キリスト、わたしたちの平和!  前略失礼致します。先般、政府はアンマン- カイロ間に、避難民移送のための自衛隊 機を派遣することを決定し、政令によってそれを実現しようとしております。国会も国 民も合意していない中で、 […]

+ キリスト、わたしたちの平和!

 前略失礼致します。先般、政府はアンマン- カイロ間に、避難民移送のための自衛隊 機を派遣することを決定し、政令によってそれを実現しようとしております。国会も国 民も合意していない中で、憲法、自衛隊法に関わる重大な判断をしたことになります。 わたしたちはこの政府決定に大変憂慮いたしております。しかし、アンマンその他の地 に避難してきた多くの人々を、少なくとも非戦闘地域まで移送するための手だてをわた したちは持っておらず、皆さまと同様、何かよい方法はないものかと日夜祈り続けて参 りました。

   このような情況の中で、ロイヤル・ヨルダン航空が、自社の飛行機を移送のために提 供する用意がある旨表明しました。具体的にはアンマンからカイロまでの移送で、ボー イング727機(139名定員)を1機5万米ドルでチャーターに応じるという内容で す。現在ヨルダンは、湾岸戦争において軍事的には中立を標榜しており、テロの標的に なるべくもなく、また、アンマン- カイロ間は定期便を多く就航させているため、現地 の気象やコースについても熟知しています。

 わたしたち司教団は、日本の教会として、日本キリスト教協議会(NCC)その他広 く呼応して下さる諸宗教教団や善意ある市民の皆さまに呼びかけ、このロイヤル・ヨル ダン航空機をチャーターし、避難民の移送のために使用して頂くよう、日本政府に要望 することを決意致しました。

 急を要したため、広く皆さまとご相談する時をもてずに、この文章でお知らせとお願 いをすることになった点をどうかお許し下さい。とりあえず、1機目をチャーターし、 移送目的のために使って頂くよう本日、政府に申し入れましたが、現地の情報では、現 在のところ緊急を要する機数は7機とのこと、今後皆さまはじめ、多くの方々の善意あ る拠金によって、自衛隊機派遣などに至らず、具体的に避難民の方々のお役にたてれば と念じております。したがって、ぜひ、教会、修道会、その他多くの方々にお声をかけ て頂いて、下記方法にてご送金賜れば幸いに存じます。

       振込先: 口座名 『湾岸避難民救援基金』
           太陽神戸三井銀行四谷駅前支店
           普通預金 3363231
 よろしくご協力を賜わりますようお願い申し上げます。

1991年1月31日
日本カトリック司教協議会
会長 白柳誠一

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