第2回福音宣教推進全国会議課題発表に際しての司教団メッセージ

信徒、修道者、司祭の皆さま  ちょうど2年前(1990年8月)、司教団は、第2回福音宣教推進全国会議(以下、「第2回全国会議」と略します)のテーマを「家庭」とし、皆さまにこのテーマをどの ように取り上げたらよいかを考えて […]

信徒、修道者、司祭の皆さま
 ちょうど2年前(1990年8月)、司教団は、第2回福音宣教推進全国会議(以下、「第2回全国会議」と略します)のテーマを「家庭」とし、皆さまにこのテーマをどの ように取り上げたらよいかを考えてくださるようにお願いいたしました。短い期間であったにもかかわらず、誠実に討議課題案をお送りいただき、本当にありがとうございま した。

 わたしたち司教は、このたび開催された司教総会において、各教区から寄せられた討 議課題案をまず真剣に受けとめ、検討し、第2回全国会議において、何を取り上げ何を 話し合っていくべきかを協議いたしました。そして「家庭の現実から福音宣教のあり方 を探る」ことにいたしました。

 家族のつながりは、現代人にとって大きなよりどころであるだけに、喜びであります が、ときには苦しみになっている事実も否定できません。わたしたちは、討議課題案か ら、現代の家族が、さまざまな痛みや悲しみを抱え、うめき、きしみ、切実な叫びをあ げていると同時に、それらを乗り越えて生きようと懸命に努力している姿に改めて気づ きました。

 それらの原因となっているのは、人間のもっているエゴイズムや未熟さであったり、 経済を中心にして発展する複雑な日本社会からの重圧であるということが明らかに見え てきました。わたしたちは、苦しみ復活したキリストこそが、このような現状を克服し 変えていく力となってくださると信じます。今も生きておられるキリストは、わたした ちにどのようななぐさめ、光、力、希望を与えてくださっているのでしょうか。わたし たちは、キリストを求め、わたしたち自身のキリストとのかかわりを見直しながら、現 代人にとって非常に重大な問いかけに取り組んでいきたいと願っております。

 来年の10月21日(木)から24日(日)にかけて長崎教区で開催される第2回全 国会議に7向けて、聖霊の導きのうちに話し合い、準備してくださいますようお願いい たします。そして、イエス・キリストのお言葉に従って、御父のみ旨がこの地上で実現 されることをともに祈ってまいりましょう。

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課題: 家 庭 の 現 実 か ら 福 音 宣 教 の あ り 方 を 探 る

      - 神のみ旨に基づく家庭を育てるために - ─ 

 1、共感と共有を求めて家庭の現状を見つめる 

すべての人を愛される神は、苦しみ叫ぶ人々の声に心を動かされ、モーセを派遣され ました(出エジプト記3章参照)。その神の愛を思うとき、わたしたちは、全国から寄 せられた課題案の中ににじみ出ている家族の苦しみや悲しみに共感し、問題を共有する プロセスの必要を感じます。全国会議に向けて、第三者としてではなく、家族の痛み、 苦しみをお互いに自分のものとして共感し、家庭の抱える問題を共有するように分かち 合いましょう。

なお、わたしたちが共感すべき痛みや悲しみ、共有すべき問題には、たとえば次のよ うな個々の具体的な姿があります。

1. 夫と妻(男と女)
2 .性
3 .生命の伝達
4 .親と子
5 .信仰の伝達
6 .高齢化する家族
7 .単身者
8 .別居、離婚
9 .家制度
10. 病人、障害のある人
11. 弱い立場におかれている(差別されている)人
12. 国籍の違う人
13. 地域社会とのかかわり
14. 職場(企業)とのかかわり
15. 学校とのかかわり など。
 2、一人ひとりを大切にしておられるキリストとの出会いを深め、

愛の共同体を育てる

わたしたちは、これらの現実の中に、一人ひとりを本当に大切にし、家族共同体を育 ててくださるキリストが働いておられると信じます。キリストは具体的にどのようなメ ッセージを与え、どのような力、希望、なぐさめをくださっているのでしょうか。祈り、聞き、探しましょう。

 3、すべての家庭にキリストを伝え、 キリストをあかしする信仰共同体をめざす 

キリストの現存と姿に新たにめざめて、わたしたちは、信仰共同体のあり方を見直し、キリストがわたしたちに期待しておられる使命にこたえていきましょう。たとえば次の ような側面から見直していけばどうでしょうか。

   1. 信仰共同体(教区、小教区、修道院、家庭)の回心と使命の自覚
   2. 典礼や儀式その他の刷新
   3. 組織、行政の見直し
   4. 信仰教育の確立
   5. 日本社会とアジア、世界へのかかわり など

1992年7月4日
日本カトリック司教団

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