内閣総理大巨 橋本龍太郎殿 私たち社会司教委員会は、日本カトリック司教協議会の中で社会の間題に関する事柄 を担当し、全世界のカトリック教会と密接な連絡を取りつつ、内外の人権と福祉、社会 正義と平和の促進に努めております。 […]
内閣総理大巨 橋本龍太郎殿
私たち社会司教委員会は、日本カトリック司教協議会の中で社会の間題に関する事柄 を担当し、全世界のカトリック教会と密接な連絡を取りつつ、内外の人権と福祉、社会 正義と平和の促進に努めております。
私たちは1996年1月4日付で国連人権委員会に提出され、同委員会で決議された ラデイカ・クマラスワミ特別報告官による「戦時における軍事的性奴隷制間題に関する 朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国および日本への訪問調査に基づく報告書」に対する 日本政府の対応に遺憾の意を表明し、日本政府が一日も早くこの勧告を受け入れ、被害 者の名誉回復のために具体的な行動を取ってくださるよう強く要望します。
私たちのもとには世界各地からの情報が入ってまいりますが、上記「報告書」に対す る日本政府の対応に、驚きと抗議の声が多数届いております。日本政府代表は、各国の 人権委員に、「女性のためのアジア平和国民基金」の存在を示しつつ、この「報告書」 を否決するように働きかけられたとも伺っております。
国連人権委員会において同「報告書」が全会一致で採択された今、日本政府が速やか にこの報告書を受諾し、法的責任をとり、日本国が踏みにじってきた被害者の尊厳が一 日も早く回復されるために、具体的な措置を実施されるよう求めます。そして日本の国 民に対しても、この問題に対する正しい認識をもつようにと呼びかけてくださるよう、 強く要望します。 日本政府がこの「報告書」を真摯に受け止め、被害者個人に対して謝罪し賠償するこ とは、とりもなおさず日本が平和憲法に忠実であることを証明し、世界各国の日本に対 する信頼を回復することになると確信しています。