内閣総理大臣 橋本龍太郎殿 私たち日本カトリック司教協議会では、日頃から社会の問題に関する事柄に 関心を持ち、全世界のカトリック教会と密接な連絡を取りつつ、内外の人権と福 祉、社会正義と平和の促進に努めております。 […]
内閣総理大臣
橋本龍太郎殿
私たち日本カトリック司教協議会では、日頃から社会の問題に関する事柄に 関心を持ち、全世界のカトリック教会と密接な連絡を取りつつ、内外の人権と福 祉、社会正義と平和の促進に努めております。
私たちは1990年12月8日に国連総会で採択された「すべての移住労働者とそ の家族の権利保護に関する国際条約(移住労働者権利条約)」を、日本政府が一 日も早く批准し、真の意味で日本が国際国家となるためにも、外国人の処遇にお いて日本人同様の人権保証が実現するよう、政府の積極的なご対応を強く要望い たします。
すでに、各方面から、この国際条約の批准の申し入れが寄せられていること と思いますが、この国際条約を批准することの重要性を改めて認識し、要望書を 提出いたします。
近年、わが国に滞在して働き、生活する外国人の数が飛躍的に増加しており ます。それにもかかわらず、わが国の法制や社会がこの現実に必ずしも対応でき ていないために、深刻な人権侵害が発生しております。
男女を問わず、外国人労働者の多くが、何の保護もないまま劣悪な条件下で 就労し、それによって健康を害しても、医療保健や医療扶助を受けられないため に治療の機会さえ与えられない状況は深刻であり、在留資格を問わない国民健康 保険の加入や生活保護の緊急医療保護適用等を立法化することが求められており ます。もとより、外国人労働者の多数が、いわゆる資格外就労者であることが問 題を困難にしていることは十分承知しておりますが、内外人平等などの国際的原 則、人道的見地から適切な措置を早急に講じることが政府に求められています。
1993年6月に開催された国連世界人権会議で採択された「ウィーン宣言及び 行動計画」は「すべての国家に対し、すべての移住労働者とその家族の人権の保 証を確保することを要請」しております。
一国の国際化の度合いを計る上で、外国人に対する処遇は重要な指標である ことに鑑み、1990年12月に国連総会で採択された「移住労働者権利条約」の速や かな批准と、それに向けて、緊急医療扶助制度の整備、入管法の人道的改正を準 備されるよう要望いたします。