日本カトリック司教協議会 公認団体基準

司教協議会会長島本要大司教から全国の皆様へ 日本のカトリック教会の兄弟・姉妹の皆さん  大聖年の年の聖霊降臨を間近にして、豊かな聖霊の恵みを受ける心の準備をしておられることと思います。 新しい世紀に向かうこの年に、日本カ […]

司教協議会会長島本要大司教から全国の皆様へ

日本のカトリック教会の兄弟・姉妹の皆さん

 大聖年の年の聖霊降臨を間近にして、豊かな聖霊の恵みを受ける心の準備をしておられることと思います。
新しい世紀に向かうこの年に、日本カトリック司教協議会でも、司教協議会の事務局組織の改革を進めておりますが、その一環として、日本カトリック司教協議会・公認団体についての見直しをしております。
日本のカトリック教会では多くの活動団体が活発に活動し、福音宣教に大いに貢献していただいておりますことには、日頃から深く感謝申し上げております。
日本では、一九四一年に教会・修道会を包括した組織「日本天主公教教団」が編成され、その後、法律の改正により、一九五二年に「カトリック中央協議会」として、宗教法人法のもとに置かれることになりました。その時から今日に至る過程で、日本のカトリック教会の中には、多くの公認団体が創設され、「カトリック」名を冠した名称で活動が続けられております。しかし、多くの活動団体の創設の由来や「カトリック」名を冠することの承認がどのように行われたか等々について、明確な記録が当方には残っておりません。
 いろいろな宗教活動が活発な現在の日本社会の状況もあり、より活発に活動していただくためにも、一度、活動団体の皆さんのご協力を得て、日本カトリック司教協議会・公認団体というものを整理してみたいと考えております。
そのため、この度、日本カトリック司教協議会では、「公認団体基準」を作成し、日本カトリック司教協議会・公認団体について、皆さんにより明確なご理解をいただくことにいたしました。
本日、カトリック新聞の紙面において、「日本カトリック司教協議会・公認団体基準(要約)」を公示いたしますので、ご一読いただきますようお願い申し上げます。
なお、日本カトリック司教協議会・公認団体となることをご希望の団体は、責任者を通して、文末に明記の連絡場所まで、ご連絡いただきたくお願い申し上げます。
聖霊の導きによって、キリストを信じる一人ひとりが、力強く福音を宣べ伝えることができますように、お互いに祈り合いましょう。




日本カトリック司教協議会・公認団体基準

はじめに:

日本カトリック司教協議会(以下、「司教協議会」と略す)は、聖霊の導きのもとに活動する信者の諸活動団体の結成を奨励し、その活動によって社会がより福音化されることを願っている。それは、信者がそれぞれの役割をもって、相互に励まし合い、助け合って信仰生活を深め、個人としても共同体としても、多くの人々に開かれた教会を建設するためである。
このことから、司教協議会は、司教協議会の公認団体となることを希望する諸活動団体を公認団体として承認していくことを重要な任務と考えている。日本の教会の歴史の中で、今までも公認団体と呼ばれる活動団体が存在している。しかし、司教協議会では、公認団体としての基準、資格などについて、明確な規定を設けないまま、今日に至っている。
このようなことから、第3次中央協機構改革検討特別委員会では、カトリック中央協議会の機構改革を実施しているこの時期に、公認団体についても見直し、公認団体についての明確な基準を作成し、より積極的に諸活動が推進されることを願っている。

日本カトリック司教協議会・公認団体とは:

司教協議会の公認団体とは、司教協議会が定める基準に適合し、かつ、司教協議会から承認されている全国規模での使徒的活動を行い、カトリック信仰を基盤としてカトリック信者が運営する団体を指す。

『カトリック新教会法典』の規定:

『カトリック新教会法典』には信者の使徒的活動について、次のような規定が掲げられている。

第Ⅱ集 神の民、 第1巻 キリスト信者、 第1部 すべてのキリスト信者の義務及び権利

第215条 キリスト信者は、愛若しくは信心の目的で又は世におけるキリスト教的召命を促進するために、自由に会を設立し、これを規整することができる。かつ、共同的に上記の目的を達成するために集会の自由を有する。

第216条 キリスト信者はみな教会の使命に参与しているので、各人はその身分と立場に応じて、自己の企画によって使徒職活動を促進し又は支持する権利を有する。ただし、このような企画には、権限ある教会権威者の同意なしにカトリックの名を冠してはならない。(『カトリック新教会法典』有斐閣発行)

日本カトリック司教協議会・公認団体基準

  公認団体には司教協議会公認のものと、教区または教会管区公認のものとがある。教区または教会管区公認の団体の規定については、各教区教区司教が定めるところに従うものとする。
したがって、ここでは司教協議会の公認団体の基準を定めることとし、司教協議会は、以下の基準に適合した使徒的活動団体を公認団体とする。

1.カトリック信者による活動団体であること

1)司教協議会の公認団体は、基本的にカトリック信者によるカトリック信仰に基づい た活動でなければならない。

2) したがって、その会員の大部分はカトリック信者であることが求められる。

3) ただし、日本の社会の中で、宣教・司牧・社会的な活動を行う場合、会員として多くのカトリック信者以外の会員を有する活動団体の存在も考えられる。このような場合でも、カトリック信者がカトリック信仰に基づいて運営しているのであれば、司教協議会の公認団体として承認することは可能である。

4)そのためには、少なくともその公認団体の指導者は、カトリック信者でなければな らない。

5)司教協議会は承認した公認団体について、定期的に各公認団体の活動状況、組織の実態等を何らかの方法で把握している必要がある。そのため、各公認団体の指導者は、1年に1度、別紙の報告用紙に必要事項を記入し、活動状況の報告を司教協議会に提出する。

6)司教協議会が公認団体として承認した団体は、司教協議会から定期的に「会報」等 の情報提供を受けることができる。

2.全国規模の活動であること

1)その団体の活動は全国的な広がりを持ち、実質的な活動を行なっていること。

2)全国規模とは、少なくとも2教会管区以上にまたがって会員を有し、いくつかの活動拠点または連絡所を持っていること。

3)1教会管区、1教区、数小教区レベルでの活動団体は、司教協議会の公認団体として承認しない。

3.財政上、独立運営ができること

1) 公認認団体は、その運営に際して、財政面で独立していることが条件となる。これによって、結社の自由を享受することができ、カトリック信仰上の問題が生じ ない限り、司教協議会がその運営に必要以上に干渉することはない。

2) ただし、創設経過の中で、司教協議会から何らかの援助を受けている場合、また、 援助なしに運営が不可能な場合は、司教協議会・常任司教委員会(責任役員会)で 厳正な審議を行ない、一定期間(1~3年以内)援助金を交付することがある。
援助金が交付されている公認団体は、別途、所定の用紙で収支会計報告、活動状況等を司教協議会に提出することを義務とする。
なお、援助および援助継続の可否は司教協議会で判断する。

4.公認団体としての承認

A.司教協議会による公認団体の承認

ある団体から、司教協議会の公認団体としての承認を求める申請が出されたなら ば、司教協議会は、その団体の活動内容、運営状況などを審査する。審査の結果、 その団体が、上記1.2.3.の条件に適合し、カトリック信者により、カトリック信仰 に基づいて、健全かつ適正に運営されていることを確認したならば、司教協議会はそ の団体を公認団体として承認する。

B.書面での申請および登録料の納入:

司教協議会の公認団体としての承認を望む団体は、書面(所定の用紙)により申請 を行う。司教協議会は、上記4.A.により、公認団体として承認した後、書面(所 定の用紙)による承認書を以って公認する。 承認された団体は、登録料として、年間1万円を(宗)カトリック中央協議会に納 入する。

C.「カトリック」名を冠することの承認

1)公認団体として承認された場合、名称に「カトリック」「日本」「全国」を冠する ことができる。正式名称は司教協議会に届け、変更する場合も届け出る。(名称例:「日本カトリック○○会」「全国カトリック◇◇会」)

2)1教会管区、1教区内での団体は、「日本カトリック」「全国カトリック」の名称 を冠することはできない。該当する教区司教の許可のもと「○○教区カトリック ××会」「××管区カトリック○○会」等の名称を使用し、司教協議会公認の団 体との違いを明確にする。

D.指導者、顧問に司教を要請する可能性

1)公認団体の指導者または顧問を司教に依頼することができる。

2) 依頼された司教が、その役目を受ける場合は、司教協議会会員としての資格ではなく、司教個人の資格で引き受け、司教協議会とは関係なく役割を果たす。
司教協議会としては、これに関する規定は設けない。

E.教皇庁認可の公認団体の日本での活動

1)公認団体の中には、教皇庁が承認している国際的な活動団体がある。

2) このような公認団体が、日本の各教区で活動を行なう場合は、次の原則を遵守する必要がある。
◇教皇庁認可の公認団体が、日本のある教区を拠点として活動をする場合は、 事前に、該当する教区の教区司教の承認を必要とする。
◇ 活動範囲が拡大し、種々の教区に活動拠点を持つ場合も、上記に準ずる。
◇ ただし、教皇庁認可の公認団体は、日本カトリック司教協議会の公認団体として改めて申請する必要はない。

F.国際的規模のカトリックの活動団体の日本での活動

1) 教皇庁認可の公認団体の外に、国際的規模で活動を繰り広げているカトリックの活動団体がある。
2) このような国際的規模のカトリックの活動団体が、日本で全国規模の活動を行なう場合は、上記4.A.B.C.の規定に従って、司教協議会の公認団体としての承認を得る必要がある。
3) 国際的規模のカトリックの活動団体が、日本のある教区または種々の教区で活動する場合は、事前に、該当する教区の教区司教の承認を必要とする。

G.公認団体所属の支部の設置および解消について

1)各公認団体は、その活動をスムーズに進めるために、各地に同じ目的で活動する
支部を持つことができる。その場合、支部を設置する教区の教区司教に届け出て、
許可を得ることが必要である。

2)該当教区の教区司教には、所属する公認団体名、支部の責任者名、教区内の設置場所の住所、電話等を届け出る。

3)所属している公認団体が何らかの理由で解消される場合、必然的に各地の支部も解消するものとする。その場合、支部設置のときと同様、解消することを該当教区の教区司教に届け出る。

4) ただし、所属の公認団体が解消しても、ある支部が新たに公認団体を結成し、全国レベルで活動を継続することを望む場合は、司教協議会の規定に従って、新規に申請をしなければならない。
また、その教区のみで、活動を継続することを望む場合も、改めて、該当教区の教区司教に申し出て、許可を得なければならない。

5.司教協議会・公認団体としての資格の取り消し

1)ある公認団体が時の経過とともに、カトリック信仰以外の信仰または思想によって運営されるようになり、運営の責任を担う部署にカトリック信者が半数以下になる場合、あるいは、団体の運営について決定権をもつ責任者がカトリック信者でなくなった場合、司教協議会は公認団体としての承認を取り消す。その場合、同時に、 「カトリック」名の使用の取り消し等を通告し、実施しなければならない。

2)また、ある公認団体が、会員の減少や財政的困窮、あるいは活動目的の自然消滅等々、 何らかの理由によって活動が休眠状態または自然消滅の状態にある場合、司教協議会は入念な調査をもって、公認団体としての存否を判断する。
この場合、該当する公認団体の状況を見守る期間を1~2年置き、活動状況の改善が不可能と判断された時点で、司教協議会・公認団体としての資格を取り消すこととする。必然的に、該当公認団体の支部および傘下の活動団体も、解消されるものとする。

6.その他

1)公認団体と宗教法人カトリック中央協議会との関係について:

◇公認団体は、それぞれに独立して運営される。公的機関への手続きなど、運営に関する一切の責任は各団体の裁量と責任のもとで対処し、(宗)カトリック中央協議会は関与しない。

◇ただし、一定額の援助金を宗教法人カトリック中央協議会から受けている場合は、 (宗)カトリック中央協議会事務局長の指導の下で、会計処理等を行なう。

2)公認団体の諸行事への司教協議会の後援・協賛について:

◇司教協議会の公認団体が主催する諸行事の後援や協賛を、司教協議会に依頼してくる場合は、その内容、規模等々をその都度、(宗)カトリック中央協議会事務局 長、または、常任司教委員会で吟味し、後援・協賛等の可否を決定する。

◇ 小教区、教区、教会管区レベルの公認団体の諸行事についての後援・協賛は、該当する教区、教会管区の範囲で対処し、司教協議会は関わらないこととする。

3)公認団体傘下の諸団体の活動について:

◇ 司教協議会は、公認団体のもとで活動する諸団体を、自動的に司教協議会の公認団体としては承認していない。もしも、傘下の諸団体の中で、司教協議会の公認団体としての承認を希望する団体がある場合は、新たに申請の手続きを取らなければならない。
◇ また、公認団体が傘下の活動団体を増設する場合は、該当する教区の教区司教の承認を必要とする。

この規定は、2000年2月16日を以って施行する。

二〇〇〇年五月二十五日
日本カトリック司教協議会
会長  島本 要
連絡場所・カトリック中央協議会・司教協議会事務室
住所 〒135―8585 東京都江東区潮見 2―10―10
電話 03―5632―4451 FAX 03―5632―4469

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