新要理書『カトリック教会の教え』発刊に際して

日本の教会のみなさん 昨年7月の『カトリック教会のカテキズム』日本語版の出版に引き続き、近く『カトリック教会の教え』と題する、日本の教会のための新しい要理書(カテキズム)が出版されることになりました。そこでわたしたちは、 […]

日本の教会のみなさん
昨年7月の『カトリック教会のカテキズム』日本語版の出版に引き続き、近く『カトリック教会の教え』と題する、日本の教会のための新しい要理書(カテキズム)が出版されることになりました。そこでわたしたちは、この2つのカテキズムの違いと関係について述べることにしました。
 『カトリック教会のカテキズム』は、「信仰と道徳に関するカトリックの本質的かつ基本的な教えを、第2バチカン公会議と教会の伝承全体に照らして、有機的かつ体系的に説明するもの」(序論11)であり、「単一かつ唯一のカトリック教会」(『新教会法典』368条)が唯一の信仰を分かち合っていることのあかしとしての意味があります。したがって、『カトリック教会のカテキズム』は、各国教会におけるカテキズム編纂の基準となり、教理を教える司教・司祭・カテキスタの参考書、そして、カトリック信仰を研究する人々の研究書になることを目的としています。その意味で、これは必ずしもすべての信徒のためのカテキズムではありません。

 一方、このたび出版される『カトリック教会の教え』は、日本の教会のためのカテキズムとして、日本文化の中でカトリック信仰を生きる信徒と、カトリック信仰を求める人々のために、日本人執筆者により、最初から日本語で書かれました。したがって、『カトリック教会の教え』はすべての日本の信者および求道者のための要理書です。

 カテキズムの教授と学習によって信仰を育み、成熟させていくカテケージズ(要理教育)は、教会共同体を建て、発展させていくためのいわば基礎工事です。基礎がなければ、あるいは基礎がぐらついていては、何をやっても長続きせず、また実りもありません。したがって、使徒たちの信仰という基礎の上に建てられている教会は、カテキズムとカテケージスをつねに重視し、教会司牧の最優先課題としてきました(教皇ヨハネ・パウロ2世使徒的勧告『要理教育』15参照)。
 わが国の教会も、日本宣教の端緒を開いた聖フランシスコ・ザビエル以来、カテキズムの編纂と出版に力を入れてきました。今回の『カトリック教会の教え』はこの伝統にならうもので、1591年の『どちりなきりしたん』、1868年の『聖教初学要理』、1936年の『公教要理』に匹敵する出版事業であり、まったく新しいスタイルをもって日本のみなさんに捧げる21世紀のカテキズムです。

日本はグローバル化時代を迎え、諸宗教と異文化との新たな出会いが始まりました。また、産業技術や経済の発展に伴い、様々な情報、価値観が氾濫しています。この多様化する社会の中で、わたしたち日本のカトリック教会は、信仰においても、福音宣教の上でも、大きなチャレンジを受けています。司教団はこの新要理書『カトリック教会の教え』が、読者のみなさんと教会共同体にとって、信仰を学びなおす機会となり、新たな時代に神から託された福音宣教の使命を果たしていくためのテキストとなるよう心から願っています。

 みなさんの上に、主なる神の豊かな祝福と助けがありますように!

2003年2月18日
日本カトリック司教団

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