教皇ベネディクト十六世のアンドレア・サントロ司祭への追悼のことば /アンドレア・サントロ司祭の教皇訪問を願う手紙

2006年2月8日(水)午前10時30分から行われた、教皇ベネディクト十六世の38回目の一般謁見演説の後、教皇は、イタリア語での祝福の中で、2月5日(日)にトルコで殺された司祭アンドレア・サントロについて述べました。 6 […]

2006年2月8日(水)午前10時30分から行われた、教皇ベネディクト十六世の38回目の一般謁見演説の後、教皇は、イタリア語での祝福の中で、2月5日(日)にトルコで殺された司祭アンドレア・サントロについて述べました。
60歳のサントロ司祭は、「フィデイ・ドーヌム」の司祭として、トルコ北東部の黒海沿岸の町トラブゾンの小教区で働いていました。「フィデイ・ドーヌム」とは、教皇ピオ十二世の同名の回勅(1957年4月21日)に基づき、宣教地の教会へ一定期間の奉仕のために派遣される司祭です。サントロ司祭を殺したのは16歳の少年でした。
教皇は前日の2月7日の晩にサントロ司祭とその小教区の信者の手紙を受け取ったことを紹介しました。トラブゾンの小教区の信者は8~9名の、貧しいグルジア人です。手紙の中で、信者たちは、今年11月に予定されている教皇のトルコ訪問の際に、教皇が小教区を訪問することを願っています。サントロ司祭の名前を告げると、会場の信者は全員立ち上がって、長く哀悼のための拍手を続けました。教皇は次のように述べました。


今日、わたしはアンドレア・サントロ司祭のことを思い起こさずにはいられません。このような拍手をしていただいて、本当に、本当に有難うございます。アンドレア・サントロ司祭はローマ教区の「フィデイ・ドーヌム」の司祭でしたが、去る日曜日にトルコで、教会内で祈っているときに殺されました。ちょうど昨晩、わたしは、去る1月31日付で書かれた、彼からのすばらしい手紙を受け取りました。この手紙には、トラブゾンの聖マリア小教区の、小さなキリスト教共同体からの手紙も添えられていました。わたしは昨晩、深い感動をもってこの手紙を読みました。この手紙は、サントロ司祭の司祭としての心、キリストと人びとへの愛、小さな人びとへの献身を映し出していたからです。それは、わたしたちがたった今聞いた詩編が述べたものでした。わたしは、愛のあかしであり、キリストとその教会との一致のあかしであるこの手紙を、『オッセルバトーレ・ロマーノ』に掲載させます。手紙には、彼の小教区の婦人たちのメッセージも添えられていました。それは、わたしに自分たちのところに来てほしいと願うものです。この婦人たちの手紙にも、アンドレア・サントロ司祭の心に脈打っていたのと同じ、熱意と信仰と愛が映し出されています。どうか主が、この静かに勇気をもって福音に仕えた者の魂を受け入れてくださいますように。また、犠牲となったその生命が、諸宗教間の対話と民族間の平和のために役立つものとなりますように。


2006年2月9日付『オッセルバトーレ・ロマーノ』に掲載された、アンドレア・サントロ司祭とその小教区の婦人の手紙は以下の通りです。


ローマ、2006年1月31日

 教皇様。
 トルコの黒海沿岸のトラブゾンにある、わたしの小教区、聖マリア小教区のグルジア人の数名の婦人に代わって、お手紙を差し上げます。これは婦人たちがトルコ語で話したものを書き取って、わたしが教皇様のために訳したものです。それは、彼女たち自らがその口で語ったものです。わたしはこれをローマ訪問の際にお伝えしたいと思います。わたしはアンドレア・サントロと申します。トルコのアナトリア教区にいる、ローマ教会の「フィデイ・ドーヌム」の司祭です。当地に住んで5年になります。わたしの司牧するカトリック信者は8~9名です。この町の多くは、正教会信者とイスラム教徒で、これが住民の99%を占めています。教皇様はわたしの故郷(ローマ)の教区の司教であられると同時に、わたしの派遣されている教区の司教でもあられます。わたしの派遣先の教区は「使徒座代理区」だからです。この二つの称号を有する教皇様に向けて、3人のグルジア人の婦人の手紙をお送りします。

***

 親愛なる教皇様。
 すべてのグルジア人を代表して教皇様にごあいさつ申し上げます。
 イエスの名において、神が教皇様に健康をお与えくださいますように。
 神が教皇様を教皇に選ばれたことを、とてもうれしく思っています。わたしたちのために、貧しい者のために、全世界の苦しむ人のために、子どもたちのために、お祈りください。教皇様の祈りが神に直接届くことをわたしたちは信じています。グルジア人はたいへん貧しく、借金をかかえ、住む家も仕事もありません。わたしたちは無力です。
 わたしたちは今、トラブゾンに住んで働いています。神がわたしたちを祝福し、わたしたちのうちに新しい心、清い心をつくってくださるようにお祈りください。わたしたちはキリスト者として生きることを忘れていません。またわたしたちは、神の名において、トルコの人びとの善い模範となろうと努めています。わたしたちを通して、トルコの人びとが神を見、神に栄光を帰するようになるためです。
 申し上げたいこと、お話ししたいことはたくさんありますが、「インシャラー(神がお望みになるのでしたら)」、トラブゾンにおいでくださり、直接お話ししたく存じます。教皇様の訪問はすばらしい記念となることでしょう。神が教皇様に健康と平和とキリストのいのちをお与えくださるように、祈り、願っております。教皇様の手に口づけいたします。わたしたちにお返事と、署名入りの写真をお送りくだされば幸いです。
 どうか教皇様、わたしたち皆の父として、アンドレア神父様とロレダーナ様のためにお祈りください。神が彼らに力を与え、彼らを通してトラブゾンの教会が成長し、信者が増し加わりますように。
 

マリア、マリナとマリア。

 グルジア人のキリスト信者を代表して、11月のトルコ訪問の際にトラブゾンにいらしてくださるようにお願いいたします。

***

 教皇様。
 この3人の婦人とともに、わたしも、教皇様がわたくしたちのところに来てくださるようお願いいたします。わたしたちは小さな群れですが、イエスがおおせになったように、地において、塩、パン種、光となろうと努めています。短時間であっても、教皇様のご訪問は、わたしたちを慰め、力づけてくれることでしょう。神がお望みになるのでしたら・・・・神にできないことは何一つありません。
 教皇様にごあいさつ申し上げるとともに、すべてのことについて、感謝申し上げます。神学を学んでいたとき、教皇様のさまざまなご著作はわたしの糧となりました。わたしを祝福してください。そして神が教皇様を祝福し、支えてくださいますように。

アナトリア教区、黒海沿岸の町トラブゾンの聖マリア教会
トルコにおけるローマ教区の「フィデイ・ドーヌム」司祭
司祭アンドレア・サントロ

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