教皇ベネディクト十六世の2006年5月21日の「アレルヤの祈り」のことば 主の昇天を前にして

教皇ベネディクト十六世は、5月21日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「アレルヤの祈り」(復活祭から聖霊降臨の主日まで「お告げの祈り」の代わりに唱えられる祈り)を行いました。以下は […]

教皇ベネディクト十六世は、5月21日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「アレルヤの祈り」(復活祭から聖霊降臨の主日まで「お告げの祈り」の代わりに唱えられる祈り)を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。
「アレルヤの祈り」の後、教皇はイタリア語で次のように述べました。「ポーランドへのわたしの使徒的訪問のための最後の準備を急ぐ中で、わたしはまた、6月3日土曜日の、聖霊降臨の前晩に行われる重要な集会のことを心にとめながら祈っています。この6月3日に、わたしはサンピエトロ広場で百を超える世界中の教会運動と新共同体の多くの会員と喜びのうちに会うからです。わたしは、これらの運動・共同体の養成・教育・宣教の豊かさ――それはわたしたちの敬愛する教皇ヨハネ・パウロ二世によって大いに評価と支持と奨励を受けたものです――が、教会にとってどれだけ大きな意味をもつかをよく知っています。わたしたちはともに聖霊降臨の祭日の前晩の祈りを行いながら、信頼をもって聖霊に祈り願います。どうか聖霊が信者の心を満たし、世の救い主であるキリストの愛の知らせをすべての人に告げ知らせてくださいますように」。
教皇庁信徒評議会の主催による世界の運動団体の集会は、6月3日(土)午後6時から8時までサンピエトロ広場で開催されます。同集会のウェブサイトはhttp://www.laici.orgです。
また、教皇はポーランドからの巡礼者に次のように述べました。「ポーランドの皆様に心からのごあいさつを申し上げます。わたしたちはもうすぐ行われるポーランドでの出会いのために準備しています。わたしはこの旅行を至聖なるマリアに委ねながら、マリアの執り成しによって祈ります。どうかこの旅行の間、神がわたしたちの信仰を力づけ、強めてくださいますように。神の祝福がいつもわたしたちを支えてくださいますように」。
教皇のポーランド司牧訪問は5月25日(木)から28日(日)まで行われる予定です。
なお、「アレルヤの祈り」のことばの中で、教皇は世界広報の日に言及していますが、日本の教会では、世界広報の日はこの日の復活節第6主日(5月21日)に行われました。


親愛なる兄弟姉妹の皆様。
 使徒言行録に述べられているように、イエスは復活の後、40日にわたって弟子たちに現れました。その後、「イエスは彼らが見ているうちに天に上げられた」(使徒言行録1・9)。この主の昇天の祭日を、わたしたちは5月25日の木曜日に祝います。ただし、ある国々では主の昇天の祭日はその次の主日(5月28日)に移されています。
 このイエスの最後のわざは、二つの意味をもっています。まず何よりも「天」に上ることによって、イエスははっきりとしたしかたでご自分の神性を現しました。イエスは地上での使命を果たした後、自分がそこから来たところ、すなわち神のもとに帰りました。さらに、キリストは、人間性をもって天に上りました。この人間性をキリストはとり、また、この人間性が死者から復活したからです。この人間性は、わたしたちの人間性であるとともに、変容され、神化し、永遠のものとされた人間性です。それゆえ昇天は、すべての人間の人格に具わる「究極的召命」(第二バチカン公会議『現代世界憲章』22)を現します。すべての人は、愛と光と平和の国である、神の国の永遠のいのちへと招かれています。
 主の昇天の祭日に、世界広報の日が行われます。世界広報の日は、第二バチカン公会議によって始められ、今年40周年を迎えます。今年の世界広報の日のテーマは「コミュニケーション、交わり、協力のネットワークとしてのメディア」です。教会はメディアに関心を向けます。なぜならメディアは、福音を広めるための重要な道具であるとともに、諸民族の中になおも深刻なかたちで見られる大きな諸問題への関心を喚起しながら、諸民族の間の連帯を促進するための重要な道具だからです。
 たとえば、今日行われる、国連世界食糧計画が始めた「飢餓撲滅! ウォーク・ザ・ワールド」という催しは、すべての人、特に子どもたちに「飢餓からの解放」を保障するために具体的で時宜を得た行動が必要であることについて、さまざまな政府と世論に訴えることをめざしています。わたしも祈りをもって、ローマをはじめ100か国の都市で開催されるこの催しに参加します。
 飢餓の脅威はなおも人類を苦しめ、何百万という人びとの生きる希望を大きな危険にさらしています。わたしはすべての人の取り組みによって、この飢餓の脅威が克服されることを心から望みます。何よりもわたしは、スーダンのダルフールの切迫した悲惨な状況のことを思っています。そこでは、人びとの最低限の食糧需要さえも満たすのがきわめて困難な状態が続いているからです。
 いつも行う「アレルヤの祈り」の中で、わたしたちは特に今日、飢餓の災禍に苦しむわたしたちの兄弟と、この兄弟を助けようとしているすべての人、また、広報手段によって諸民族の間の連帯と平和のきずなを強めるために寄与する人びとを、おとめマリアに委ねたいと思います。わたしたちはまた、ポーランドへの使徒的旅行が実りあるものとなるように聖母に祈ります。この旅行を、神がお望みならば、わたしは、わたしたちの敬愛するヨハネ・パウロ二世を記念して、今週の木曜日から次の日曜日まで行う予定です。

PAGE TOP