「船員の日」 メッセージ 2006年

教皇庁難民移住者評議会は、7月の第2日曜日(2006年7月9日)を「船員司牧の日」(Sea Sunday)と定め、世界中の信徒に船員たちのために祈るよう呼びかけています。 船員の日2006 ポスター「船員」というと、陸で […]

教皇庁難民移住者評議会は、7月の第2日曜日(2006年7月9日)を「船員司牧の日」(Sea Sunday)と定め、世界中の信徒に船員たちのために祈るよう呼びかけています。

船員の日2006 ポスター「船員」というと、陸で生活している私たちには遠い存在のように感じられます。しかし、私たちの衣食住から日用品にいたる生活物資の海外からの輸入量は11億トン/年にのぼり、国民一人当たりにすると8トン/年になります。そしてその内90%が「みなと」を経由しています。つまり、船員たちの働きがなければ、私たちの生活、生命が成り立たないほど、私たちの生活は「船員」と深い関係を持っています。

船員たちは長期間にわたって家族と離れ、孤独のうちに仕事をしています。しかも、いつも危険と隣り合わせに生きています。東京湾で二つの事故が同時に起こったことは記憶に新しいことです。

4月13日午前5時20分ごろ、千葉県館山市沖北西約9キロの東京湾口付近の海上で、フィリピン船籍の貨物船「イースタンチャレンジャー号」と貨物船「津軽丸」が衝突しました。イ号の左舷船首付近が破損して浸水し、正午過ぎに沈没しました。フィリピン人乗組員25人は無事救助されました。事故にあった船員はAOSのグループがたびたび訪船していた船員たちでした。事故後、彼らを訪問したAOSのメンバーの話では、その後、不眠症になったり、衝突の衝撃音を突然聞いたり、海を見ることができなくなるなどのPTSD(外傷後ストレス障害)に悩まされている船員が多いとのことです。

一方、同日、午前6時15分ごろ、東京都江東区沖の海上でも自動車運搬船「さんふらわぁはかた」と、貨物船「海泉丸」が衝突するという事故が起こりました。一人の船員は、15年の船員生活の中で一番長い夜だったと語ったそうです。他の一人は南アフリカで沈没した船からの数少ない生き残りの一人だったそうです。

外洋では海賊に襲われる恐怖も付きまとっています。昼夜を問わず、見張りを交替でたてなければなりません。戦争などによる危険海域でも同様です。船員たちはそうしたストレスにも苦しんでいます。また、憲法9条が改正されれば、有事に真っ先に軍事荷役に借り出され、戦争の最前線に送り出されるのは船員たちです。

こうした厳しい状況の中で私たちの生活を支えている船員たちのために、感謝と安全を神に祈ってください。そして、関心のあるかたは、当委員会またはAOS(Apostleship Of the Sea)に連絡をとって、一緒に船員たちを訪問するボランティア活動に参加してください。

2006年7月9日
日本カトリック難民移住移動者委員会
委員長 谷 大二

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