使徒パウロ生誕2000周年に際して与えられる特別免償に関する教皇庁内赦院教令

使徒パウロ生誕2000周年に際して与えられる特別免償に関する教皇庁内赦院教令
(ローマと全世界へ)

教皇庁内赦院は、5月10日、パウロ年(2008年6月28日~2009年6月29日)に際して与えられる特別免償についての教令を発布しました。この教令は、パウロ年の開催を機会に、定められた条件を満たした者に免償を与えることを定めたものです。以下は教令の全訳です(原文はラテン語とイタリア語)。
免償とは、罪科としてはすでに赦免された罪に対する有限の罰の神の前におけるゆるしです。キリスト信者はふさわしい心がまえを有し、一定の条件を果たすとき、教会の助けによってこれを獲得します。免償は、罪のために負わされる有限の罰からの解放が部分的であるか全体的であるかによって、部分免償および全免償とに分けられます(教会法992~993条、『カトリック教会のカテキズム』1471、『カトリック教会の教え』220~221頁参照)。


  第一の使徒であるパウロの祭日を間近にして、教皇は司牧的配慮に促され、信者の聖化のために、このよい機会に信者に霊的な宝を与えることを心から望まれた。それは、この恵みに満ちた幸いなときに、使徒パウロの祭日の前晩から、何よりも地上での誕生の2000周年を迎えるこの異邦人の使徒をたたえながら、信者がいっそうの熱意をもって超自然的な救いへの望みを新たに強くもつことができるようにするためである。
  まことに教皇が普遍教会に与える免償の恵みは、内的な清めに深く達するための道を整える。使徒聖パウロをたたえながらなされる、この清めは、信者の心の超自然的な生活を高め、よいわざの実りをもたらすように彼らを優しく促す。
  それゆえ、パウロ年の期間中有効な免償を与え、また受けることについて定める教令の作成と実施を教皇からゆだねられた教皇庁内赦院は、教皇の望みに従って発布するこの教令によって、以下に示す恵みを与える。
  1.心から痛悔し、ゆるしの秘跡によってふさわしく清められ、聖体拝領によって力づけられながら、敬虔な心でオスティア街道沿いにある聖パウロ教皇大聖堂(サン・パオロ・フオリ・レ・ムーラ大聖堂)に巡礼を行い、教皇の意向のために祈るすべてのキリスト信者は、ゆるしの秘跡によって罪が赦免され、罪科がゆるされているならば、自分の罪に対する有限の罰の全免償を与えられる。
  キリスト信者は、定められたわざを行うたびごとに、自分と死者のために全免償の恵みを得ることができる。ただし全免償は1日1回しか受けることができない。
  巡礼に際してささげる祈りによって、信者の心が聖パウロの記念をより深く行うよう招き導かれるために、以下のことを定める。信者は、聖体の祭壇の前で執り成しの祈りをささげるだけでなく、一人ひとりがうやうやしく告白の祭壇に近づき、敬虔な心で主の祈りと使徒信条を唱え、さらに、聖なるおとめマリアと聖パウロをたたえる祈願を行う。この信心のわざは、第一の使徒である聖ペトロの記念とつねに密接に結びついたものでなければならない。
  2.さまざまな地域教会のキリスト信者は、通常の条件(ゆるしの秘跡、聖体拝領、教皇の意向のための祈り)を果たし、あらゆる罪への傾きから離れるならば、全免償を与えられる。ただしそのために、異邦人の使徒をたたえてささげられるミサ、ないし、公に行われる行事に敬虔な心で参加しなければならない。この参加は、パウロ年が開始する日また終了する日には、あらゆる聖堂において行う。地域裁治権者が定めるそれ以外の日には、聖パウロの名をもつ聖堂、および、信者の便宜のために、地域裁治権者が指定する他の場所において行う。
  3.最後に、病気ないしその他の正当かつ重大な理由により上記の条件を満たすことのできない信者も、つねに罪への傾きから離れようとする心をもち、できるかぎり早く通常の条件を満たすことを望むならば、全免償を得ることができる。ただしそのために、聖パウロを記念する聖年に霊的に参加し、キリスト者の一致のために祈りと苦しみを神にささげなければならない。
  信者がいっそう容易にこの天からの恵みにあずかることができるために、所轄地域の教会権限保持者によって告白を聴く権能を与えられた司祭は、進んで、また寛大な心で、信者を受け入れるよう心がけなければならない。
  この教令はパウロ年の期間中においてのみ効力を発する。対立する規定類がある場合、本規定が優先する。

ローマ、教皇庁内赦院事務局にて、主の受肉から2008年5月10日

(カトリック中央協議会事務局 訳)

内赦院院長
ジェームズ・フランシス・スタッフォード枢機卿
事務局長、メタ名義司教
ジャンフランコ・ジロッティ
(コンベンツアル聖フランシスコ会)

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