2008年洞爺湖サミットG8主要先進8カ国首脳へのメッセージ発表

世界9カ国のカトリック司教協議会は、2008年6月17日、来たる7月7日から9日にかけて北海道・洞爺湖で開催予定のG8主要先進国サミットに参加する各国首脳へ向けて、共同で声明を発表いたしました。この声明では、深刻な食糧危 […]

世界9カ国のカトリック司教協議会は、2008年6月17日、来たる7月7日から9日にかけて北海道・洞爺湖で開催予定のG8主要先進国サミットに参加する各国首脳へ向けて、共同で声明を発表いたしました。この声明では、深刻な食糧危機とHIVエイズなどの蔓延による社会の荒廃を危惧し、各国首脳が地球規模の貧困を削減し、気候変動に対処するために責任をもって行動するように切望しています。

G8主要先進8カ国首脳へのメッセージ

2008年6月17日

日本 首相 福田康夫 様
カナダ 首相 スティーヴン ジョセフ ハーパー 様
フランス共和国 大統領 ニコラス サルコジ 様
ドイツ連邦共和国 首相 アンジェラ メルケル 様
イタリア共和国 首相 シルヴィオ ベルルスコーニ 様
ロシア連邦 大統領 ドミトリー アナトリエヴッチ メドヴェージェフ 様
イギリス連合王国 首相 ゴードン ブラウン 様
アメリカ合衆国 大統領 ジョージ W.ブッシュ 様

G8主要先進8カ国首脳各位

 日本でのG8サミット開催を間近に控え、カトリック司教協議会を代表してわたしたちは、各国首脳が地球規模の貧困を削減し気候変動に対処するために責任をもって行動するように要望します。
教皇ベネディクト16世は4月の国連訪問で述べています: 「実際、安全保障、開発目標、地域と世界レベルでの格差の解消、環境・資源・気候の保護といった問題は、世界の指導者が協調して行動し、信頼をもって、法を尊重しつつ、地球上のもっとも脆弱な地域との連帯を推進するために進んで働くことを求めています。わたしはとくにアフリカや他の大陸の一部の国のことを考えています。これらの国は依然として真の意味での完全な発展ができずにおり、それゆえ、グローバル化の悪影響だけを経験する危険にさらされています。」
  人の命を大事にし、人としての尊厳を促進するわたしたちの宗教的道徳的なコミットメントは、人類家族、特に発展途上国における最も貧しくて最も傷つきやすい人々のことを特に心にかけるようにわたしたちを促します。貧しい人々のニーズを満たすべく奉仕してきたカトリック教会は、サミットがアフリカと開発に焦点を当てていることを称えます。
  2005年のグレンイーグルスと2007年のハイリンゲンダムでなされた重大な公約をあなた方が再確認し、実際の行動に移すことが非常に重要です。 2005年に世界の最も豊かな国々は、2010年まで開発援助に年500億ドル追加すると約束しました。その半額はアフリカ向けです。この約束を果たさなくてはなりませんし、またさらに、健康管理、教育、人道救助の面で追加公約をするべきです。 2008年9月に行われる国連ミレニアム開発目標に関する国連サミットは、国際社会をもっと広範囲に動員するための重大な機会となるでしょう。
  世界的な食糧危機が貧しい人々の社会を荒廃化させ、HIVエイズ、マラリアなどの病気の被害が悪化しています。そのため、緊急に一致した行動をとる必要があります。わたしたちは具体的な提案を検討することを求めます。それらは、貧しい人々の社会への世界食糧危機の影響を緩和すること、医療と教育のための支出を増やすこと、労働において人間の尊厳を尊重する公正な世界貿易にむけて前進することなどです。これらの対策を長期的成功に導くには、貧しい人々が自らの開発の当事者とならなければなりません。彼らが自立する力を持ち、経済、社会、政治、文化のプロセスに参加することが、開発にとってまさに不可欠なのです。
  地球規模の気候変動が再びこのサミットの議題に含まれています。この問題は、信仰者にとって神の創られたものを守るというコミットメントに根ざした特別な課題です。 カトリックの司教としてわたしたちは、気候変動が貧しい人々にもたらす影響について特に心配しています。 貧しい人々は、地球規模の気候変動を悪化させている人間の活動に最も関係がなかったにもかかわらず、その有害な結果を過度に被ることになるでしょう。紛争の可能性、エネルギー価格の高騰、健康上の問題などの結果です。こうしたことは、アフリカとその他の発展途上諸国だけでなく、わたしたちの国にもあてはまります。発展の原動力となった二酸化炭素排出からより多く恩恵を受けた豊かな人々と国々が、気候変動の有害な結果を防ぎ対処するコストを負うべきであって、貧しい人々が不当な負担を負うべきではありません。貧しい人々と国々が気候変動の結果に対処するのを助けるメカニズムを構築すべきです。そして、地球規模の気候変動をもたらさないような方法で発展を促進する技術を取り入れるべきです。
  G8サミットでは、人間の生命と尊厳にとって非常に重要な多くの課題が検討されるでしょう。 この会議が、貧困削減と気候変動に対して具体的な方策をとることによって、世界の共通善を促す協調の精神で満たされますよう祈ります。

日本カトリック司教協議会会長
東京教区大司教 岡田武夫
カナダカトリック司教協議会会長
ウィニペグ教区大司教 バーノン ジェイムズ ウェイスガーバー
フランス司教協議会会長
パリ教区大司教 アンドレ ヴァン トロア
ドイツ司教協議会会長
フライブルク教区大司教 ロベルト ツォリチュ
イタリア司教協議会会長
ジェノヴァ教区大司教 アンジェロ バニャスコ枢機卿
ロシア連邦カトリック司教協議会会長
ノボシビルスク教区司教 ジョゼフ ウエルス
スコットランドカトリック司教協議会会長
エジンバラ セントアンドリュー教区大司教
キース パトリック オブライエン枢機卿
イングランド・ウェールズカトリック司教協議会会長
ウェストミンスター教区大司教
コーマック マーフィー オコーナー枢機卿
アメリカ合衆国カトリック司教協議会会長
シカゴ教区大司教 フランシス ジョージ枢機卿

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