2009年平和旬間を迎えるにあたって

平和旬間を迎えるにあたって (日本カトリック司教協議会会長メッセージ) 平和を願うすべての方々へ 「平和を実現する人々は、幸いである」(マタイ5・9)  今年も平和旬間が巡ってきました。前教皇ヨハネ・パウロ二世の広島での […]

平和旬間を迎えるにあたって
(日本カトリック司教協議会会長メッセージ)

平和を願うすべての方々へ

「平和を実現する人々は、幸いである」(マタイ5・9)

 今年も平和旬間が巡ってきました。前教皇ヨハネ・パウロ二世の広島での平和のアピールに応えて、日本のカトリック教会は8月6日から15日までを平和旬間として定め、平和について学び、祈り、行動するよう呼びかけています。
  昨年来、世界は未曾有の経済危機に直面しています。これにより、日本でも多くの人が職も家も失うという深刻な状況に陥りました。とりわけ、これまで日本の産業を底支えしてくれた移住労働者の状況は悲惨です。これらの人々はこの経済危機を引き起こす要因から最も遠い存在であるにもかかわらず、その生活と生存に最も大きな打撃を受けているのです。
  教皇ベネディクト十六世は今年の世界平和の日のメッセージで、「貧困と闘うことが平和を築く」と題して、貧困への闘いと平和の構築について説かれました。人間が作り出すあらゆる極度の貧困状況は人間の尊厳に対する侮辱であり、世界平和への脅威であり、人間の良心が無視することのできない問題である、と述べています。また、貧しい人々と共に歩む教会は「余分なものを分け与える」ことに満足するのではなく、何よりも「生活様式や生産と消費のモデル、そして今の社会を支配している既成の権力構造の変革」によって貧しい人々を支援しなければならない、と呼びかけました。わたしたち司教団は戦後60年のメッセージで「軍備と武力行使ではなく、非暴力を貫き、対話によって平和を築く」ことを訴えました。対話と並んで貧困撲滅は平和構築の要です。
  去る4月5日、米国のオバマ大統領はチェコ共和国の首都プラハで演説をし、核兵器廃絶を訴えました。これは画期的な発言であると思います。超軍事大国の指導者自身が、核兵器のない平和で安全な世界を追求しようと呼びかけたのです。オバマ大統領とアメリカ合衆国の、自国所有の核兵器廃絶の努力に注目したいと思います。またこの8月7日~10日には、国家の枠組みを超えて核兵器廃絶の道を探るため、「平和市長会議」が長崎で開かれます。この「平和市長会議」には134カ国・地域の2963都市が加盟しているのです。これらの動きは重苦しい今の社会の中で希望の光となるでしょう。わたしたちは世界で唯一の被爆国に住む者としてこの核廃絶のために尽力したいものです。
  このような非暴力や核廃絶の推進によって、核兵器や他の軍備のための莫大な資金を貧困撲滅、福祉、教育、暮らしの改善のために充当し、「剣を鋤とし、槍を鎌とする」(イザヤ2・4参照)ならば、真の平和が実現するに違いありません。
  主の平和がいつも皆さんとともに!

   

2009年8月6日
                   日本カトリック司教協議会会長
ペトロ岡田武夫(東京教区大司教)

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