教皇ベネディクト十六世の2010年1月17日の「お告げの祈り」のことば 世界難民移住移動者の日

教皇ベネディクト十六世は、年間第2主日の1月17日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリア […]


教皇ベネディクト十六世は、年間第2主日の1月17日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリア語)。

この日、ローマでは「世界難民移住移動者の日」が行われました。日本では、「世界難民移住移動者の日」を9月の第4日曜日(2010年は9月26日)に行います。2010年の「世界難民移住移動者の日」のテーマは「若者の移住者と難民」です。教皇の「2010年世界難民移住移動者の日メッセージ」は2009年10月16日付で発表されています。
福者ジョヴァンニ・バッティスタ・スカラブリーニ司教(1839-1905年)は海外のイタリア移民の援助のために1887年、スカラブリーニ宣教会を創立し、同年、教皇レオ十三世により同会の認可を受けました。1997年教皇ヨハネ・パウロ二世により列福されました。
聖フランチェスカ・サヴェリオ・カブリーニ(1850-1917年)は1880年、イエスの聖心宣教修道女会を創立しました。スカラブリーニと教皇レオ十三世の勧めにより1889年北米に渡り、アメリカに暮らすイタリア移民への援助に専念しました。1938年列福、1946年列聖されました(教皇ベネディクト十六世「2007年1月14日の『お告げの祈り』のことば」/2007/01/14/3208/参照)。

なお、この日午後4時25分、教皇はローマ市内のシナゴーグを訪問し、ユダヤ教共同体に対する演説を行いました。ヨハネ・パウロ二世は1986年4月13日に教皇として初めてローマ市のシナゴーグを訪問しました。ベネディクト十六世の訪問は以来2回目となります。

「お告げの祈り」の後、教皇はイタリア語で次のように述べました。
「わたしたちの思いはこの数日間、ハイチの愛する国民に向けられています。そしてわたしたちは悲しみのうちに祈りをささげています。神の助けにより無事だった(駐ハイチ)教皇大使(ベルナルディト・アウザ大司教)はわたしにたえず情報を届けています。そこからわたしは(ポルトープランスのヨーゼフ・セルジ・ミオット)大司教と多くの司祭、修道者、神学生の悲しい死を知りました。わたしはハイチの莫大な必要にこたえている多くの慈善団体の努力を見守り、励まします。けがをしたかた、家を失ったかた、悲劇的なしかたでいのちを失ったかたのために祈ります」。 


  親愛なる兄弟姉妹の皆様。

  今日の主日は「世界難民移住移動者の日」が行われます。教会はいつの時代にも常にこの人々のそばにいました。20世紀初頭、それは独自の到達点に達しました。福者ジョヴァンニ・バッティスタ・スカラブリーニ司教と聖フランチェスカ・カブリーニのことを考えるだけで十分です。今年の「世界難民移住移動者の日メッセージ」の中で、わたしは若者の移住者と難民に注意を向けるよう呼びかけました。イエス・キリストは、ヘロデの脅威のために、生まれたばかりで難民となる悲惨な体験を味わいました。そこでキリストは、弟子たちに深い尊敬と愛をもって子どもたちを受け入れるようにと教えました。実際、子どもは、国籍や皮膚の色の違いにかかわらず、何よりもまず常に、神の像である人格として扱われなければなりません。この人格を尊重し、あらゆる排除と搾取から守らなければなりません。とくに外国に住む若者を法的な面で保護し、何よりも彼らが多くの問題に直面しなければならないときに彼らに同伴するよう努める必要があります。わたしは若い移住者と難民の奉仕を行うキリスト教共同体と組織を力強く励ますととともに、すべての人に勧めます。真の福音的精神に従って、これらの移住者と難民に対する教育的・文化的感覚を生き生きと保ってください。
  今日の午後、尊者ヨハネ・パウロ二世の歴史的訪問から約24年後に、わたしは「大神殿(Tempio Maggiore)」と呼ばれるローマのシナゴーグを訪問します。それは、ローマ市のユダヤ人共同体と会い、カトリック信者とユダヤ教徒の和合と友好の道のさらなる一歩を踏み出すためです。実際、二つの宗教の信者の間にはさまざまな問題と困難があるにもかかわらず、わたしたちは深い尊敬と対話の雰囲気のうちに生きています。この雰囲気は、両者の関係の成熟と、わたしたちを結びつける価値観への共通の取り組みをあかししています。この価値観とは、まず唯一の神への信仰であり、また、いのちと家族の保護と、社会正義と平和への望みです。
  最後に、明日から恒例の「キリスト教一致祈祷週間」が始まることを思い起こします。「キリスト教一致祈祷週間」は、毎年、キリストを信じる人々にとって、エキュメニカルな精神を新たに強め、互いに出会い、ともに祈り、考察を行うためのよい機会です。聖ルカによる福音書からとられた今年の聖書のテーマは、復活したイエスの使徒たちへのことばをこだまします。「あなたがたはこれらのことの証人となる」(ルカ24・48)。わたしたちがまことの兄弟としてキリストの愛に結ばれれば結ばれるほど、わたしたちが行うキリストの福音の告知はいっそう信頼の置けるものとなり、効果を上げます。それゆえわたしは、小教区、修道共同体、キリスト者の会と運動団体にお願いします。とくに感謝の祭儀の中で、キリスト者の完全な一致のためにたえず祈ってください。
  移住者と難民の兄弟、ユダヤ教との宗教的対話、そしてキリスト者の一致という、これら3つの意向を、キリストの母であり、教会の母である、至聖なるマリアの母としての執り成しにゆだねます。

PAGE TOP