「いのちのための前晩の祈り(2010年11月27日)」開催に向けて

司教、司祭、助祭、奉献生活者、信徒の皆様  教皇ベネディクト十六世は、今年11月27日、サンピエトロ大聖堂で、待降節第一主日前晩の祈りにおいて、「すべてのいのち(とくに出生前のいのち)のための前晩の祈り」をささげ、合わせ […]

司教、司祭、助祭、奉献生活者、信徒の皆様

 教皇ベネディクト十六世は、今年11月27日、サンピエトロ大聖堂で、待降節第一主日前晩の祈りにおいて、「すべてのいのち(とくに出生前のいのち)のための前晩の祈り」をささげ、合わせて聖体礼拝を行います。この祈りの中で教皇は、主イエス・キリストが人となられ、完全にご自身をささげることによって、すべての人のいのちの価値と尊厳を示してくださったことを感謝し、また、すべての人のいのちを守ってくださるよう主に願い求めます。教皇は、同じ日に、世界中のカトリック教会――教区、小教区、修道会、キリスト信者の会、運動団体――が、教皇とともに同じような祈りをささげることを求められました。そこで、今年の待降節第一主日の前晩は、特別に、日本の教会としても「いのちのための前晩の祈り」をささげることに致します。
 教会は初めから人のいのちの尊厳を教えてきました。実際、「神のみが、生命の初めから終わりまでの主です」(1)。それゆえ「人のいのちはどんなことがあっても受精の瞬間から尊重され、保護されなければなりません」(2)。とりわけ「死の文化」が蔓延し、さまざまな理由で人間のいのちがないがしろにされている現代世界にあって、教皇ヨハネ・パウロ二世は回勅『いのちの福音』を発表しました。この回勅の中で教皇は、わたしたちが「いのちの民」(3)となって「いのちの文化」を再建することを呼びかけました。教皇ベネディクト十六世も、何よりもいのちを守ることこそ平和の基盤であることを強調します(4)。「いのちに開かれていることが真の発展の中心です」(5)。
 世界諸国での人工妊娠中絶の合法化の広まりや、生命科学研究の進展に伴う、人の受精卵を用いた研究の広がりなど、いのちをめぐる状況は『いのちの福音』が発表されたとき以上に悪化しています。日本カトリック司教協議会は、今年8月、国の意見募集にこたえて、「生殖補助医療研究目的での人の受精卵の作成・利用」に反対する見解を発表したところです。
 くしくも2011年は、日本の司教団がメッセージ『いのちへのまなざし』を発表して10周年となります。司教団はこのメッセージの中で次のように宣言しました。「わたしたちは、人間のいのちをむしばみ、その人生を疎外させるすべての悪に対して、カトリック教会がはっきりと「否」と言い、個々の困難な状況を克服し、問題を解決して、真理と正義と愛にあふれた社会をつくり上げようとする人々の輪に積極的に加わっていきたいと願っていることを表明します」(6)。
 「わたしたちのために生まれた幼子」(イザヤ9・5参照)を迎えるこのときにあたり、教皇とともに、すべてのいのちが尊重され、守られることを、ともに祈ってくださるようお願い致します。

2010年10月7日
日本カトリック司教協議会会長
  大阪大司教 レオ池長 潤

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