教皇ヨハネ・パウロ二世の列福にあたって

教皇ヨハネ・パウロ二世の列福にあたって 日本の教会の皆様とすべての善意の皆様。  教皇ベネディクト十六世は、本年1月14日、前教皇ヨハネ・パウロ二世(カロル・ヴォイティワ 1920年5月18日-2005年4月2日)の列福 […]

教皇ヨハネ・パウロ二世の列福にあたって

日本の教会の皆様とすべての善意の皆様。

 教皇ベネディクト十六世は、本年1月14日、前教皇ヨハネ・パウロ二世(カロル・ヴォイティワ 1920年5月18日-2005年4月2日)の列福を認可しました。ヨハネ・パウロ二世の列福式は「神のいつくしみの主日」の本年5月1日、サンピエトロ広場で教皇ベネディクト十六世の司式で行われます。
  26年間を超える長い教皇職を通して、ヨハネ・パウロ二世は世界129か国を歴訪し、世界の人々に福音に基づく平和を呼びかけました。第二バチカン公会議の精神に従って、諸宗教対話とキリスト者の一致を推進しました。政治指導者にすべての人の人格の尊厳を尊重することをうむことなく訴えかけました。わたしたちは、こうして教会を第三千年期へと導いてくださったこの偉大な教皇がこれほど早く列福されることを心から喜びます。
  幸いな偶然の一致により、今年はヨハネ・パウロ二世が歴史的な訪日を行って30周年にあたります。この機会に、教皇来日中のメッセージを読み直されることをお勧めします。
  1981年2月23日から26日までの4日間に及ぶ教皇の日本滞在から、日本の教会はとくに3つの分野で深い影響を受けたといえます。
  第一は平和への取り組みです。2月25日、広島平和記念公園で教皇が述べた「平和アピール」を受けて、日本司教団は毎年8月に「カトリック平和旬間」を設けるなど、諸宗教者とも手を携え、積極的に平和の推進のために働くようになりました。
  第二は福音宣教者としての意識の深まりです。教皇来日を機に、司教団は「日本のカトリック教会の基本方針と優先課題」(1984年)を発表し、教会の一人ひとりが救いのメッセージを伝える宣教者となることを決意しました。そして2回の「福音宣教推進全国会議(NICE)」(1987年、1993年)を開催しました。
  第三は日本の殉教者の列福です。ペトロ岐部と187殉教者の列福申請運動は、教皇の呼びかけを受け、1981年、教皇来日直後に開かれた司教総会の決定により開始しました。そして2008年11月、188名の日本の殉教者が列福の恵みを得ました。殉教者たちは、わたしたちも現代にあって聖化への道を歩むよう招いています。
  わたしたちは、ヨハネ・パウロ二世が日本の教会と社会に与えてくださった恵みにあらためて感謝するとともに、教皇の呼びかけに思いを新たにしてこたえなければならないと感じます。平和を実現すること。福音をのべ伝えること。殉教者と心を一つにしながら、「あなたがたも完全な者となりなさい」(マタイ5・48)という主イエスの呼びかけにこたえること――これらは、これからもつねにわたしたちが生きるべきキリスト者としての使命です。
  おとめマリアとヨハネ・パウロ二世の執り成しを願いながら、わたしたちも教皇の模範に従ってキリストの道を歩めるよう、心から祈りたいと思います。

2011年2月23日 教皇ヨハネ・パウロ二世来日の日に

日本カトリック司教協議会会長
大阪大司教 レオ池長 潤

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