「船員の日」 メッセージ 2011年

教皇庁移住・移動者司牧評議会は、毎年7月の第2日曜日を「船員の日」と定め、 世界中の司牧者、信徒に船員たちのために祈るよう呼びかけています。  今年、「船員の日」を迎えるにあたって、去る3月11日、東日本を襲った地震とそ […]

教皇庁移住・移動者司牧評議会は、毎年7月の第2日曜日を「船員の日」と定め、
世界中の司牧者、信徒に船員たちのために祈るよう呼びかけています。

 今年、「船員の日」を迎えるにあたって、去る3月11日、東日本を襲った地震とそれに続く津波、原発事故の出来事を振り返り、今一度、海で働く人たちに目を向け、祈りたいと思います。今回の津波は沿岸地域のあらゆるものをことごとく破壊し、海に  引きずり込んでいきました。海で生活する漁師や船員たちは生活の基盤である船を失い、しかも原発事故による放射性物質を海に捨てるという事態も重なり、これからどう生きていけばいいのか途方にくれています。
 私たちは今回の災害で、漁師に限らず、海で働く人たちの大変さを改めて思い知りましたが、彼らは日常的にこうした災害や事故と隣り合わせで働いています。私たちの生活に必要な物資のほとんどは、漁業であれ、貿易であれ、港を介して届けられるものですが(日本の輸入の99.7%)、そこで働く彼らの仕事の重要さと大変さについてほとんど知らないというのが現状でしょう。
 遠洋漁業や輸出入に関わる漁師、船員たちは、一度海に出ると何ヶ月も家に帰ることができません。揺れ続いている船の上が仕事の場であり生活の場となります。悪天候やさまざまな事故、時には海賊の難、船上での病気など、陸上では想像できないほどの危険と苦労、ストレスがあります。こうした中で、訪れた港では唯一ほっとできる一時を持つことができるわけですが、最近は特にコンテナ船などの場合、経済的な理由から港に長く留まることをせず、数時間の滞在ですぐ出航するというケースも多くなって います。
 皆さん、船員の立場に立って想像してみましょう。このような状況の中で、もし外国の港で誰かが待っていてくれたら、自分たちの存在と働きをしっかり覚えていて祈っていてくれる人がいたら、どれだけうれしいことでしょうか。船員たちの中には、港に停泊している間に少しでも教会に行って祈りたいというカトリック信者も少なくありません。
 船が入港した時、船員たちを友として暖かく迎えようと訪船活動をしている教会の メンバーたちがいます。皆さんは訪船することは難しくても、船員たちのために祈り、また彼らのために訪船している人たちの活動を献金などで支えて下さるようにお願いします。そして、機会があれば、ぜひ訪船活動に参加し、船員たちと出会って下されば幸いです。

2011年7月10日
日本カトリック難民移住移動者委員会
委員長 松浦 悟郎(大阪教区補佐司教)

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