「第21回世界病者の日」に際しての特別免償に関する教皇庁内赦院教令

 教皇庁内赦院は、1月28日(月)、「第21回世界病者の日」に際して与えられる特別免償についての教令を発布しました。この教令は、2月11日に行われる「第21回世界病者の日」を機会に、定められた条件を満たした者に免償を与えることを定めたものです。以下は教令の全訳です(原文はラテン語)。

 免償とは、罪科としてはすでに赦免された罪に対する有限の罰の神の前におけるゆるしです。キリスト信者はふさわしい心がまえを有し、一定の条件を果たすとき、教会の助けによってこれを獲得します。免償は、罪のために負わされる有限の罰からの解放が部分的であるか全体的であるかによって、部分免償および全免償とに分けられます(教会法992~993条、『カトリック教会のカテキズム』1471、『カトリック教会の教え』220~221頁参照)。

 あがないは、キリストの聖なる十字架、すなわちその受難を通して成し遂げられる。まことに、人類のすべての苦しみは、あがないをもたらす主の苦しみにあずかることができる。実際、使徒聖パウロはいう。「わたしは・・・・キリストのからだである教会のために、キリストの苦しみの欠けたところを身をもって満たしています」(コロサイ1・24)。

 まことの信仰とその正しい解釈とに特別なしかたでささげられた「信仰年」にあたり、苦しみと、兄弟の間で苦しみを分かち合うことのキリスト教的意味に関する第二バチカン公会議の輝かしい教えを思い起こすのはとくにふさわしいことである。「愛と慈善のわざはキリスト教的生活のきわめてすぐれたあかしであるから、使徒的活動への養成は、これらの事業にも携わることができるように行われなければならない。こうしてキリスト教徒は、幼少の時から兄弟たちに同情し、惜しみない心をもってその窮乏を助けることを学びとるのである」(『信徒使徒職に関する教令』31c)。

 それゆえ、今年、特別に荘厳なしかたで記念される恒例の「世界病者の日」が、苦しみの救済的意味に関する信仰教育をますます効果的なものとし、さまざまな身分で、精神的また身体的に苦しむ人々への奉仕に努めるすべての人々の心を呼び覚ましたいという望みに促されて、教皇は、来る2月7日から11日まで開催される「第21回世界病者の日」のテーマとしてよいサマリア人を選んだ。「行って、あなたも同じようにしなさい」(ルカ10・37)。よいサマリア人は「『苦しむことによって善をなし』、また『苦しむ人に善を施すこと』」(教皇ヨハネ・パウロ二世使徒的書簡『サルヴィフィチ・ドローリス――苦しみのキリスト教的意味』30)を教える。今年の「世界病者の日」の最終日のルルドの聖母の記念日に、教皇特使の教皇庁保健従事者評議会議長のジグムント・ジモフスキ大司教は、アルトエッティングの聖母巡礼聖堂で、荘厳な感謝の祭儀を司式し、合わせて病者の塗油を授ける予定である。

 信者が最善のしかたでこの行事に参加する霊的準備を行えるよう、教皇べネディクト十六世は、1月18日に行われた教皇庁内赦院長と内赦執行官との謁見において、以下の条件のもとに免償の恵みを寛大に与えた。すなわち、信者は、心から悔い改め、愛に促されて、よいサマリア人の模範に従い、信仰とあわれみの心をもって、苦しむ兄弟に奉仕し、また、自らが病気となった場合に、痛みと人生の困難を耐え忍び、へりくだりと信頼をもって霊魂を神にささげ、苦しみの福音の道を通して公に信仰をあかししなければならない。

A.通常の条件(ゆるしの秘跡、聖体拝領、教皇の意向のための祈り)のもとで、まことの悔い改めと痛悔の心をもつ信者に、1日1回、全免償が与えられる。これは死者の霊魂の安息のためにも適用される。ただしそのために、来る2月7日から11日の間のいずれかの日に、アルトエッティングの聖母巡礼聖堂あるいは教会権威者が指定した場所で、「世界病者の日」の意向を神にささげるために行われる式に敬虔に参加し、主の祈りと信条と聖なるおとめマリアへの祈願の祈りを唱えなければならない。

 病院または個人の家で、よいサマリア人と同じように愛をもって病者を看護し、この奉仕のために上記の式に参加できない信者も、同じ全免償の恵みが与えられる。ただしそのために、あらゆる罪から離れようとする心と、全免償を得るための条件をできるだけ早く満たそうとする意向をもって、上記の期間、少なくとも数時間、主キリストご自身に行うように(マタイ25・40参照)愛をもって寛大に看護を行い、主の祈りと信条と聖なるおとめマリアへの祈願の祈りを唱えなければならない。

 最後に、病気、高齢または同様の理由で、上記の式に参加できない信者にも全免償が与えられる。ただしそのために、あらゆる罪から離れようとする心と、通常の条件をできるだけ早く満たそうという意向をもって、上記の期間中、とくに典礼や教皇のメッセージがテレビやラジオを通じて放送される間、式に霊的に参加し、すべての病者のために敬虔に祈り、おとめマリアを通じて自らの身体的・精神的苦しみを神にささげなければならない。

B.悔い改めの心をもって、上記の期間、「信仰年」の精神のうちに病者の助けを求める敬虔な祈りをあわれみ深い神にささげるたびに、すべての信者に部分免償が与えられる。

 この教令は今回の機会について効力を発する。対立する規定類がある場合、本規定が優先する。

ローマ
教皇庁内赦院
2013年1月25日
聖パウロの回心の祝日、キリスト教一致祈祷週間が終わる日に

内赦院院長 マヌエル・モンテイロ・デ・カストロ枢機卿
内赦執行官 クルシストフ・ヨセフ・ニキエル

PAGE TOP