教皇フランシスコの2013年9月1日の「お告げの祈り」のことば シリアの平和のための断食と祈りの日の呼びかけ

教皇フランシスコは、年間第22主日の9月1日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリア語)。 […]

教皇フランシスコは、年間第22主日の9月1日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリア語)。このことばの中で、教皇は、9月7日(土)に「シリアと中東と全世界の平和のための断食と祈りの日」を開催することを発表しました。
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 親愛なる兄弟姉妹の皆様。今日は。

 親愛なる兄弟姉妹の皆様。今日わたしは、世界中から上がる叫び声に声を合わせたいと思います。この叫び声は、すべての人、すべての人の心、人類という唯一の偉大な家族から、ますます悲しみをもって上がっています。この叫び声は、平和への叫びです。この叫び声は力強く宣言します。わたしたちは平和な世界を望みます。平和の人であることを望みます。分裂と争いによって引き裂かれたわたしたちの社会に、平和があふれ出ることを望みます。もはや決して戦争が起こりませんように。もはや決して戦争が起こりませんように。平和は、わたしたちが推進し、守らなければならない、もっとも貴いたまものです。
 地上には、特別な苦悩と懸念を引き起こす、多くの紛争状態が存在します。しかしこの数日間、わたしの心は、シリアで起きている出来事によって深く傷つけられています。そして、予想される悲惨な展開に悲しみを覚えます。
 わたしは強く平和を呼びかけます。この呼びかけはわたしの心の奥底から生まれます。この殉教の国で、武力行使が、とくに市民と無防備な人々のあいだに、どれほど多くの苦しみ、破壊、悲しみをこれまでも、また今ももたらしていることでしょうか。わたしは、多くの子どもが未来の光を見ることができないことに思いを致します。わたしは化学兵器の使用を特別に強く非難します。この数日間の恐ろしい映像がわたしの脳裏と心に焼きついています。わたしたちの行いは神と歴史によって裁かれます。わたしたちはこの裁きから逃れることができません。暴力の使用が平和をもたらすことはありえません。戦争は争いを、暴力は暴力を招きます。
 わたしは力をこめて紛争当事者にお願いします。自らの良心の声に耳を傾けてください。自らの利害の中に閉じこもらないでください。むしろ、他の人を兄弟として見つめ、無秩序な対立を乗り越えるために、勇気と決断をもって会談と交渉の道を歩んでください。同じく力をこめて、わたしは国際社会に勧告します。遅滞することなく、シリアの平和のための、対話と交渉に基づく、シリア国民全体の善のための明確な取り組みを推進するためにあらゆる努力を払ってください。
 この恐ろしい紛争の被害者、とくに国内避難民と、隣国に逃れた多くの難民に対する人道支援を保障するために努力を惜しまないでください。シリア国民の苦しみを和らげるために献身する人道活動家が、必要な援助を提供する機会を保障されますように。
 わたしたちは世界平和のために何をすることができるでしょうか。教皇ヨハネ二十三世が述べたとおり、平和と愛に基づく共存関係を再構築するのは、すべての人の務めです(回勅『パーチェム・イン・テリス(1963年4月11日)』:Pacem in terris, AAS 55 [1963], 301-302参照]。
 平和のための努力の鎖は、すべての善意の人を一つに結びつけます。わたしは、全カトリック教会と、カトリック以外のすべてのキリスト者、あらゆる宗教の信者、そして信仰をもたない兄弟姉妹の皆様に強く切迫した呼びかけを行います。平和はあらゆる障壁を乗り越える善です。平和は全人類の善だからです。
 繰り返していいます。人々の中に、また人々のあいだに共存を築くのは、対立の文化でも紛争の文化でもありません。人々の中に、また人々のあいだに共存を築くのは、対話の文化です。対話の文化だけが平和に通じる道です。
 平和への叫び声が高く上がり、すべての人の心に届きますように。そして、すべての人が武器を捨て、平和への望みによって導かれますように。
 兄弟姉妹の皆様。そのためわたしは全教会に対して、平和の元后であるマリアの誕生の記念日の前晩の、来る9月7日を、「シリアと中東と全世界の平和のための断食と祈りの日」とすることを決めました。またわたしは、カトリック以外のキリスト者の兄弟、他宗教の信者、そして善意の人々も、できるかぎりこの行事に参加してくださるようお願いします。
 9月7日、ここサンピエトロ広場で、午後7時から午前0時まで、わたしたちは祈りと悔い改めの心をもって集まり、愛するシリアのため、また世界のあらゆる紛争と暴力地域のために、この平和のたまものを神に祈り求めます。人類は、平和のわざを見、希望と平和のことばを聞くことを必要としています。すべての部分教会にお願いします。この断食の日を行うことに加えて、この意向に基づく典礼も執行してください。
 マリアに祈り願いたいと思います。あなたの助けによって、暴力と紛争と戦争に、対話と和解と愛の力をもって立ち向かうことができますように。マリアは母です。マリアの助けによって、わたしたちが平和を見いだすことができますように。わたしたちは皆、マリアの子です。マリアよ、わたしたちを助けてください。この困難な時を乗り越え、日々、あらゆる状況において真の出会いと平和の文化を築くことができますように。平和の元后であるマリア、わたしたちのためにお祈りください。

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