教皇フランシスコの2014年1月22日の一般謁見演説:キリスト教一致祈祷週間

1月22日(水)午前10時15分から、サンピエトロ広場で、教皇フランシスコの一般謁見が行われました。この謁見の中で、教皇は、1月18日から25日まで行われている「キリスト教一致祈祷週間」について解説しました。以下はその全訳です。「2014年キリスト教一致祈祷週間」のテーマは「キリストは幾つにも分けられてしまったのですか」(一コリント1・1‐17)です。
謁見の終わりに、教皇は、22日にスイス・モントルーで開かれるシリア和平会議に向けて呼びかけました。

親愛なる兄弟姉妹の皆様。お早うございます。

 先週の土曜日(1月18日)からキリスト教一致祈祷週間が始まりました。これは今週の土曜日(1月25日)の使徒聖パウロの回心の祝日に終わります。キリスト教共同体は100年以上にわたりこのきわめて貴重な霊的行事にかかわってきました。それは、「すべての人を一つにしてください」(ヨハネ17・21)というキリストのみ心に従って、洗礼を受けたすべての人の一致のために祈る時です。毎年、世界のある地域のエキュメニカルなグループが、世界教会協議会と教皇庁キリスト教一致推進評議会の指導のもとに、テーマを提案し、一致祈祷週間のための資料を作成します。今年の資料はカナダの教会・教会共同体によって作られました。この資料は聖パウロのコリントのキリスト者への問いかけを引用します。「キリストは幾つにも分けられてしまったのですか」(一コリント1・13)。

 確かにキリストは幾つにも分けられてしまってはいません。しかしわたしたちは、わたしたちの共同体が分裂を体験し続けており、この分裂がつまずきとなっていることを、率直に悲しみをもって認めなければなりません。わたしたちキリスト者の間の分裂はつまずきです。つまずきという以外の何ものでもありません。使徒はいいます。「あなたがたはめいめい、『わたしはパウロにつく』『わたしはアポロに』『わたしはケファに』『わたしはキリストに』などと言い合っているとのことです」(同1・12)。キリストを頭として告白する人々をもパウロは称賛しません。なぜなら、彼らは、キリスト教共同体全体から自分たちを切り離すためにキリストの名を用いていたからです。しかし、キリストの名は交わりと一致を作り出すものであって、分裂を作り出すものではありません。キリストが来られたのは、わたしたちの間に交わりを作るためであって、わたしたちを分裂させるためではありません。洗礼と十字架は、わたしたちが共有する、キリストの弟子の中心的な要素です。しかし、分裂は、福音をのべ伝えるためのわたしたちの努力の信頼性と効果を弱め、十字架の力をむなしくする恐れがあります(同1・17参照)。

 パウロはコリントの信徒の言い争いをとがめますが、同時に「あなたがたがキリスト・イエスによって神の恵みを受けたことについて、……キリストに結ばれ、あらゆることば、あらゆる知識において、すべての点で豊かにされてい」(同1・4-5)ることについて主に感謝します。このパウロのことばは単に形式的なものではなく、彼が何よりもまず神から共同体に与えられたさまざまなたまものを認めたこと――このことについて彼は心から感謝します――を表すしるしです。この使徒の態度は、わたしたちとすべてのキリスト教共同体を励まします。他の共同体のうちにある神のたまものを喜びをもって認めなさいと。残念ながら今も残っている分裂を苦しみながらも、わたしたちはパウロのことばを招きとして受け入れなければなりません。すなわち、神が他のキリスト者に与えた恵みを心から感謝するようにと。わたしたちは同じ洗礼と、わたしたちに恵みによって与えられた同じ聖霊を共有しています。そのことを認め、感謝しなければなりません。

 神がわたしたちを祝福するための恵みを認めるのはすばらしいことです。しかしそれ以上にすばらしいのは、他のキリスト者のうちに、わたしたちが必要とするものや、わたしたちが自分の兄弟姉妹からたまものとして受け取ることのできるものを見いだすことです。今年の一致祈祷週間の資料を作成したカナダのグループは、諸共同体が、近くにいるキリスト者に何を与えることができるか考えるよう招くだけではありません。むしろ、すべての人が他者から世々に受け取ることのできるものは何かを理解するために、互いに出会うよう勧めるのです。それはこれまで以上のことを要求します。いっそう祈ること、へりくだること、考察し、回心し続けることを要求します。キリスト者の一致のために祈りながら、このような道を進んで行こうではありませんか。つまずきがなくなり、もはやそれがわたしたちの間に見られなくなりますように。


謁見の終わりに、教皇は、22日にスイス・モントルーで開かれるシリア和平会議に向けてイタリア語で次のように呼びかけました。

「今日、スイスのモントルーで、シリアの平和を支えるための国際会議が開かれます。1月24日からジュネーヴで行われる協議がこれに続きます。主がすべての人の心に触れてくださるように祈ります。彼らが深刻な試練のうちにあるシリア国民のよりよい善のみを追求しながら、一刻も早く暴力の中止と紛争の終結が達成されるように努力を惜しみませんように。紛争はすでに多くの苦しみを生み出しているからです。愛するシリアのために、すべての市民が参加して和解と一致と再建への決定的な道を歩めることを願います。おのおのが相手のうちに、敵や競争相手ではなく、受け入れ抱擁すべき兄弟を見いだせますように」。

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