東日本大震災発生から三年を迎えて

日本カトリック司教協議会 会長談話 東日本大震災発生から三年を迎えて  東日本大震災が発生して三年になります。震災直後には、時間が経過すれば復興も進むに違いないという楽観的な見通しも語られていましたが、被災地の現状には厳 […]

日本カトリック司教協議会 会長談話

東日本大震災発生から三年を迎えて

 東日本大震災が発生して三年になります。震災直後には、時間が経過すれば復興も進むに違いないという楽観的な見通しも語られていましたが、被災地の現状には厳しいものがあります。昨年末の段階でも、いまだに27万人を超える方々が避難生活を強いられており、福島にあっては津波の爪痕が手つかずのまま残されている地域すら存在します。
 被災した方々の多くは、地域共同体の再生は言うに及ばず、今後のそれぞれの生活設計も見通しが立たず、希望の見えない不安の暗闇での生活を強いられています。震災以前に生活していた共同体での生活再建をあきらめざるを得ず、他の地域への移住を決意された方も少なくなく、被災地域の将来には大きな不安が横たわっています。復興を進めるためには、被災された方々の心に希望を生み出すことが不可欠だと考えますが、残念ながらそのための対策が十分に施されてはおりません。
 日本のカトリック教会は、世界中のカトリック教会から寄せられた支援と、国内の多くの方の支援を頂いて、これまで被災各地で復興支援活動を続けて参りました。
 被災地を統括する仙台教区のサポートセンターを中心に沿岸部各地にボランティアベースを設置し、全国から駆けつけるボランティアと共に活動をしております。
 また日本の三教会管区(東京・大阪・長崎)も、それぞれ被災地域に拠点を設置し、仙台教区の復興支援活動を全国的規模で展開しております。
 カトリック教会は、被災地に暮らすかたの心に寄り添うこと、また地域の交わりを形成する支援に力を注ぐことに努めてまいりました。
 この2月に開催された臨時司教総会に集まった日本のカトリック司教団は、これまでの全国的規模での復興支援活動の振り返りをいたしました。司教たちは、被災地の現状を学び、被災された方々の心に思いをはせながら、さらに三年間、全国的な規模での復興支援活動を継続することを決議いたしました。
 わたしたち日本のカトリック司教団は、被災地の方々と共にこれからも歩み続ける覚悟でおります。仙台教区の方々と手を携えて、東北の皆さんの心に希望を生み出すため、復興支援活動を継続する覚悟です。
 同時に司教団は、震災発生以来これまで全国の教会で唱えられてきた祈りにかわり、新しい祈りを採択いたしました。被災地に暮らす方々の心に希望が明るく輝くことを願いながら、全国の信徒と共にこの新しい祈りを唱えて参ります。
 震災から8ヶ月後の2011年11月、司教団は福島での原子力発電所事故を受けて、「いますぐ原発の廃止を」というメッセージを公表しました。わたしたちはその中で、神の賜物であるいのちを守る信仰者の立場から、原発の即時廃止を呼びかけ、同時に「何よりも神から求められる生き方、つまり『単純質素な生活、祈りの精神、すべての人々に対する愛、とくに小さく貧しい人々への愛、従順、謙遜、離脱、自己犠牲』などによって、福音の真正なあかしを立てる務め」の重要性を説き、社会のあり方の見直しを提言しました。
 残念ながら、時間の経過と共に、現状はこの呼びかけとは異なる方向に進んでいると感じます。大震災発生三年目にあたり、わたしは、あらためて原発の即時廃止と、わたしたちの生活スタイルの見直しを呼びかけます。
 みなさま、これからも神の呼びかけに心を開き、わたしたちがすべてのいのちを尊重し、希望のうちに人生を送ることができるように、共に取り組んで参りましょう。

2014年3月11日
日本カトリック司教協議会会長
東京大司教 岡田武夫

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