高山右近を聖人に 没後400年へ高まる機運 (中日新聞+プラスに記事掲載)

中日新聞の取材を受け、中日新聞+プラスに以下のように記事が掲載されましたので、新聞社の許可を取って転載いたします。

キリシタン大名 聖職者ら運動展開
北陸にゆかりが深い安土桃山時代のキリシタン大名 高山右近が、キリスト教を日本に伝えたフランシスコ・ザビエルらと並ぶ「聖人」となるように、国内のカトリック関係者が運動を繰り広げている。二〇一五年は、追放先のフィリピンで病死してから4百年目。右近を見直す動きが盛り上がりつつある。(沢井秀和)
「右近の生きざまを語るのは、大きな転換期を迎えたこの国に生きる人たちに、真の幸せと、命の輝きを指し示すため」。長崎純心大の古巣馨教授は今春、出版した「ユスト高山右近」の序文に記した。
この本では、高槻城主(現大阪府高槻市)だった右近が身寄りのない者のひつぎを担ぎ、葬送する様子を紹介。一五八七年のバテレン追放令で、大名の地位を奪われても「苦難と貧困を伴った追放の生活を喜々として受け入れている」というポルトガル人司祭の言葉を引用している。古巣さんは、東日本大震災で命がけで多くの人を救った名もない人らと重ねて、人々とともに生きた右近の今日的意義を説く。
本を監修した日本カトリック司教協議会は、マザー・テレサらと同じで、右近を聖人に上げられる前提の位とされる福者(ふくしゃ)に認定するようにローマ法王庁に七月に調査報告書を提出する。法王庁が「流刑や追放の責め苦を受けながらも一生を神にささげる生き方を選択した者」も殉教者として認める方針を近年示しているため、協議会は福者に列した上で聖人を目指すことにした。
現在は、殉教と同じ境遇だったことを示す資料を集め、4百ページの報告書を作成中。実務を担当する平林冬樹神父(60)は、これまでの折衝を踏まえ「福者の決定が二〇一五年には出ると期待している。その後、聖人になるには格式のある列福式が必要。右近の生き方が私たちの信仰の糧になり、信仰を通じて重い病も治ったなどの奇跡も求められる。そして現在でも右近が慕われ、崇敬を集め続けることが大切」と話している。 (中日新聞提供)

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