「船員の日」 メッセージ 2014年

海をはさんで皆ひとつの家族  今年の4月2日、チリ沖で大きな地震がありました。翌日、チリからこの日本にも津波が到達しました。このことはチリと日本が実に15,000キロ以上も離れているにもかかわらず、海をはさんで隣の国であ […]

海をはさんで皆ひとつの家族

 今年の4月2日、チリ沖で大きな地震がありました。翌日、チリからこの日本にも津波が到達しました。このことはチリと日本が実に15,000キロ以上も離れているにもかかわらず、海をはさんで隣の国であることを知らされた出来事でもありました。一方、東日本大震災で発生した津波によって海に流れ出た瓦礫(がれき)や放射能は、太平洋をはさんでアメリカ西海岸に到達しており、今、大きな問題になっています。このように考えると、世界のほとんどの国が海をはさんでつながっていることが実感されます。
 今回のチリからの津波が日本にまで到達したことを考えた時、では、その途中にある無数の船は大丈夫だったのだろうかと思わざるを得ません。水深が深いところでは、津波の速度は飛行機並みの時速500キロ以上にもなるとのことです。津波の通り道にある太平洋上で行方不明になった船はなかっただろうか、漁をしていた人には影響がなかったのだろうか、と心配が募ります。

 今の世界では、発想も視点もグローバルでなければなりませんが、それは単に“世界規模で考える”というだけでは足りません。私たちの視点は、「どこであっても誰に対しても変わらない福音の視点に立つこと」、すなわち「普遍的」である必要があります。それは、神がすべての人間を愛しているので、だれ一人として関心の外に置かれてはいけないという視点です。
 船員たちは一度、出航すると誰の視野にも入らない大海原に入っていきます。彼らは世界の経済の実質的な担い手でありながら、どこかで大変な困難にあっていたとしても、それを心配して祈っているのは、愛する家族以外にはほとんどないのです。私たちは神の前に真の家族なら、彼らのことをずっと心に留めて見守り、無事を祈り続けたいと思います。その思いを少しでもあらわそうと、港に入ってきた船を訪問する人たちがいます。私たちは彼らを通して、日本の港に入ってきた船員とつながっていくことができます。
 どうか船員たちのために祈り、また訪船活動をしている人たちの活動を物心両面で支援して下さるようにお願いします。

「海で働くすべての人たちがいつも神さまに守られ、無事に働きを終えて家族のもとに帰ることができますように」

2014年7月13日
日本カトリック難民移住移動者委員会
委員長 松浦 悟郎(大阪教区補佐司教)

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