鹿児島で日韓司教交流会

第23回「日韓司教交流会」が11月14日~16日、鹿児島県の霧島市と鹿児島市で行われました。今年のテーマは「高齢者と教会」。日本と韓国の教会が直面する高齢者の問題について、それぞれの側から現状を考えました。最終日には共同 […]

第23回「日韓司教交流会」が11月14日~16日、鹿児島県の霧島市と鹿児島市で行われました。今年のテーマは「高齢者と教会」。日本と韓国の教会が直面する高齢者の問題について、それぞれの側から現状を考えました。最終日には共同で平和声明「北東アジアの平和を願って」を発表。北東アジアの情勢を憂慮し、軍拡競争ではなく、平和に向けた対話への努力を続けるよう訴えました。

参加したのは韓国から22人と日本から15人の司教=写真上=、駐日教皇大使、それぞれの司教協議会スタッフら計約50人でした。2日目には、霧島市のホテルで、2人の講師による講演がありました。

まず午前には韓国のテオパノ・イ・ゲヨン修道女(聖家小婢女会)が、「二極化・高齢化が加速していく韓国と、教会の役割」について話をしました=写真下

同修道女は、韓国における少子高齢化の進行や、49.6%にもおよぶ高齢化貧困率について紹介。高齢者4人に1人が古紙回収で生計を立てているとのことでした。さらにイ修道女は、小銭を受け取るためプロテスタントやカトリックの教会を巡る高齢者たちの姿や、虐待、孤独死に加え一日平均10.6人が自ら命を絶っている事実などに触れ、教会の役割は何かを問い掛けました。

午後からは日本の結城康博教授(淑徳大学)が「高齢者と社会~深刻な格差社会の中で~」と題して講演しました。

同教授は、高齢化の中でも一人暮らしや老夫婦の世帯が増えたことに加え、認知症の問題を強調。それらが生み出す「孤独死」や「孤立死」、「突然死」などの状況を説明し、介護疲れによる虐待や殺人といった問題にも触れました。

そして結城教授は、シンガポールのテレビ局と協力して制作した孤独死の現場を整理する業者を描いた動画を参加者に見せました。遺体が腐敗し、部屋中にウジがわいている映像は、参加者に強いショックを与えたようです。

最終日の16日は会場を鹿児島市の鹿児島カテドラルに移し、今回の交流会の振り返りをするとともに、平和声明「北東アジアの平和を願って」を共同で発表しました。

交流会の最後に全員でミサをささげました。主司式は韓国カトリック司教協議会の会長キム・ヒジュン大司教(クワンジュ教区)が務めました。

参加者らは正式プログラムに入る前に、鹿児島市内の聖フランシスコ・ザビエルの上陸記念碑と福昌寺跡、そして沈壽官(ちんじゅかん)窯を訪問するなどしました。沈家は豊臣秀吉の朝鮮出征(慶長の役)の際に連行された朝鮮人技術者の家系で、「薩摩焼」の名門です。福昌寺は島津家の菩提寺。忍室和尚とザビエルは宗教を語り合うなど親しくしたといいます。

(2017年11月17日、一部追加し再編集しました)

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