正平協 日本政府に対する核兵器廃絶の実現のための要望書

日本政府に対する核兵器廃絶の実現のための要望書 内閣総理大臣 安倍晋三様  日本カトリック正義と平和協議会は、日本政府に対して、核兵器廃絶の実現のために以下のことを求めます。 戦争被爆体験国として、核兵器禁止条約に調印し […]

日本政府に対する核兵器廃絶の実現のための要望書

内閣総理大臣
安倍晋三様

 日本カトリック正義と平和協議会は、日本政府に対して、核兵器廃絶の実現のために以下のことを求めます。

  • 戦争被爆体験国として、核兵器禁止条約に調印し、世界の核兵器廃絶の動きをリードしてください。
  • 国連総会に提出する核廃絶決議案は、核保有と核抑止論とを明確に否定する内容に修正してください。
  • 核開発、核保有をめぐり緊張する北東アジア情勢において、威嚇と核開発の連鎖を止めるために、長期的な視野での外交に努めてください。

 昨年2017年は、核軍縮の世論が世界的に高まる年でした。7月7日、国連で核兵器の使用などを史上初めて禁止する核兵器禁止条約が122カ国の賛成によって採択され、9月20日、署名式が行われました。ノーベル平和賞も、「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が受賞しました。また、私たちカトリック教会でも、ローマ教皇庁が、11月、国際機関代表者、ノーベル平和賞受賞者、政府関係者、学者など約300人を招き、「核兵器のない世界と統合的軍縮への展望」国際会議を開催しました。日本からも長崎の被爆者、和田征子さんが発言され、満場の喝采を浴びました。教皇フランシスコはここで、「偶発的爆発の危険性を考慮すれば、使用の脅迫も、保有そのものも断固として非難されなければならない」と語り、核保有自体を退けました。
 2018年に入り、国内でも1月、ノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長が来日、被爆地・長崎と広島、そして東京を訪れ、核保有国に先んじて、核の傘の下にある国々、特にまず戦争被爆国日本が核兵器禁止条約に調印し、核廃絶に取り組むことが、核廃絶の第一歩であると訴えました。
 ところが、率先して核兵器廃絶を世界に訴える責務を担うべき日本は、核兵器禁止条約への調印を拒否し、2017年10月には、国連総会に20年来提出してきた核廃絶決議案の、「核兵器のあらゆる使用」を「壊滅的な人道上の結末」に至るものとして禁じるという従来の文面から、「あらゆる」を削除し、核保有、核抑止政策を許容する内容に変更して、賛成票を大幅に減らしました。さらに安倍晋三総理大臣は、来日中のベアトリス・フィン事務局長の申し入れを受けて面会の時間を持つことも、ありませんでした。
  
 日本国憲法はその前文において「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」と宣言します。教皇フランシスコも、上述のバチカンでの会議で「国際関係は武力や、相互の威嚇、軍事力の顕示によって統治することはできず、特に核兵器などの大量破壊兵器は、偽りの安心感を生むだけなのです」と語りました。
 私たち日本カトリック正義と平和協議会は、平和に向かう国際的な機運に連帯しつつ、日本政府が、対立を深める今の世界にあって、緊張を高めるのではなく、核兵器廃絶の動きをリードすることにより平和の構築に貢献し「国際社会において、名誉ある地位を占め」ることを要望いたします。

Prot.SC JP18-1
2018年1月25日
日本カトリック正義と平和協議会
会長 勝谷太治司教

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