社会司教委、核兵器禁止条約への署名・批准を求める要望書

核兵器禁止条約への署名・批准を求める要望書 内閣総理大臣 安倍晋三 様 外務大臣 河野太郎 様  2017年7月7日に国連で「核兵器禁止条約」が採択されました。これに対して日本政府は、唯一の戦争被爆国でありながら、広島・ […]

核兵器禁止条約への署名・批准を求める要望書

内閣総理大臣 安倍晋三 様
外務大臣 河野太郎 様

 2017年7月7日に国連で「核兵器禁止条約」が採択されました。これに対して日本政府は、唯一の戦争被爆国でありながら、広島・長崎の被爆者の思いをも無視して核兵器禁止条約に反対しました。

 また日本政府は、10月11日に国連総会に「核兵器廃絶決議案」を提出しましたが、その内容は、国連で採択された「核兵器禁止条約」には一切触れておらず、核兵器の完全な廃絶を求める内容を弱めて核拡散防止条約のみを強調し、国際的核不拡散体制の強化が国際的平和と安全保障に不可欠であると記すなど、昨年の決議内容から大きく後退するものでした。

 非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が2017年度ノーベル平和賞を受賞しましたが、この授賞についての日本政府の評価、また来日した同組織事務局長に対する日本政府の対応も冷淡なものでした。

 日本政府は「核軍縮」よりも核保有国を容認し、自らも軍備を増強しながら、米軍中心の軍事による「安全保障」に追随する姿勢を世界に示していると言わざるをえません。核抑止論の立場を取り続けることにより、万一、実際に武力衝突が起きた場合の破滅的な結果を、日本政府はどれほど客観的に検討しているでしょうか。

 カトリック教会は、2017年11月10~11日に、バチカンにて国際会議「核兵器のない世界と統合的軍縮への展望」を開催しました。その際、教皇フランシスコは「核兵器は見せかけの安全保障を生み出すだけだ。…核兵器の使用による破壊的な人道的・環境的な影響を心から懸念する。…(核兵器の)偶発的爆発の危険性を考慮すれば、核兵器の使用と威嚇のみならず、その保有そのものも断固として非難されなければならない。この点で極めて重要なのは、広島と長崎の被爆者、ならびに核実験の被害者の証言である彼らの預言的な声が、次世代への警告として役立つよう願っている」と述べました。実際、多くの日本のカトリック信徒も、広島と長崎において被爆により命を奪われ、長らく被害に苦しんできました。バチカン市国は、9月20日に核兵器禁止条約にも最初に署名しています。

 教皇および世界のカトリック教会と市民社会の声に呼応して、私たち日本カトリック社会司教委員会は、核兵器禁止と対話に基づく平和外交に後ろ向きな日本政府の姿勢に対して強く抗議し、以下を要望いたします。

  1. 日本政府が核兵器禁止条約に署名・批准すること
  2. 核保有国に対して、この条約への批准を働きかけること
  3. 日本政府が国連に提出した「核兵器廃絶決議案」を修正し、核兵器禁止条約に言及し、これを成立させた世界の市民社会と被ばく者の方々に敬意を表すること
  4. 日本国憲法の平和主義に則り、対立を深める今の世界にあって、武力による緊張を高めるのではなく、国際的な対話による平和構築に貢献すること

以上

2018年3月15日
日本カトリック司教協議会社会司教委員会
委員長 浜口末男

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