韓国ナジュ(羅州)の聖母巡礼所に関する通達

2018年11月1日 韓国ナジュ(羅州)の聖母巡礼所に関する通達 日本カトリック司教協議会常任司教委員会  韓国カトリック司教協議会秘書のキム・ジュンチョル神父は、クワンジュ(光州)教区大司教で韓国カトリック司教協議会会 […]

2018年11月1日

韓国ナジュ(羅州)の聖母巡礼所に関する通達

日本カトリック司教協議会常任司教委員会

 韓国カトリック司教協議会秘書のキム・ジュンチョル神父は、クワンジュ(光州)教区大司教で韓国カトリック司教協議会会長のキム・ヒジュン大司教の名代として、同国ナジュの聖母巡礼所に関する書簡(2018年9月21日付)と二つの文書を、アジア司教協議会連盟会長オズワルド・グラシアス枢機卿宛てに送付し、それらをアジア各国の司教協議会へ配信するよう要請しました。書簡と一緒に送付された文書は、クワンジュ大司教区の前教区長チェ・チャンム大司教のナジュの聖母像にまつわる現象に関する教令(2008年1月21日)と現教区長キム・ヒジュン大司教のガイドライン(2012年7月6日)です。
 教令とガイドラインによると、1985年6月30日に始まった、ジュリア・ユンの家の聖母像の目から血の涙が流れ出るという現象は、2008年と2011年に発表された教皇庁教理省の公式見解をもって確認できるように、超自然的なものではありません。すなわち神に由来するものでもありませんし、健全なキリスト教信心とも関係がないということです。
 上記書簡は、韓国カトリック司教協議会が、ナジュの聖母巡礼所に関するクワンジュ教区大司教の教令とガイドラインの内容を支持し、アジアの司教、司祭、信者たちにナジュの聖母巡礼所を訪問することのないよう求めています。
 そこで、2018年11月1日に開催された日本カトリック司教協議会常任司教委員会において、日本の教会でも「ナジュへの訪問を控えること」を周知徹底することを申し合わせました。





背景解説

 韓国・クワンジュ(光州)教区において、「聖母の奇跡」として話題を呼んできた「ナジュ(羅州)の聖母像」については、以前からクワンジュ教区から警戒されており、チェ・チャンム(崔昌武)大司教(クワンジュ教区、2001年当時)は、この「奇跡」を信奉するグループに関与または参加しないように警告を発していた。
 このナジュの聖母像は、1985年にユン・ホンソン(尹洪善)氏の所有する聖母像が「泣き出した」として、「啓示」を受けるようになったと主張して以来、一部で話題となり、支持者が集まり、「血の涙を流した」「香油を目から流した」などと話が大きくなっていたが、98年、チェ大司教の前任のユン・コンヒ(尹恭熙)大司教も「奇跡とみなす根拠が存在しない」と宣言しており、当時の韓国司教協議会(CBCK)会長チョン・ジンスク(鄭鎭奭)大司教も、教区の決定は「バチカンとの緊密な連絡を経て」行われたと明言していた。
 以後も、ユン氏は「ナジュの奇跡」を訴え続け、08年には、チェ・ヨンス(崔龍洙)大司教(テグ教区)が、ユン氏の信奉者たちが「ナジュの聖母聖堂での宗教的活動に参加したことにより伴事的(自動的)破門を招いた」が、「真に彼らの過ちを悔い改め、教会に戻るなら」ゆるしを得ることができる、と警告していた。
 09年には、「ナジュの奇跡」支持者を伴事的破門としたクワンジュ教区の決定を、バチカンも支持している。

カトリック新聞 2018年11月11日号より

PAGE TOP