「いのちへのまなざし【増補新版】」76改訂

 2018年8月1日付の教皇答書によって発表された『カトリック教会のカテキズム』2267番の改訂に伴い、『いのちへのまなざし【増補新版】』の76番(116ページ)を以下のように改訂することとなりました。 死刑廃止を訴える […]

 2018年8月1日付の教皇答書によって発表された『カトリック教会のカテキズム』2267番の改訂に伴い、『いのちへのまなざし【増補新版】』の76番(116ページ)を以下のように改訂することとなりました。

死刑廃止を訴える教会の姿勢
76 カトリック教会は、刑罰制度の厳格な適用により、死刑以外の方法で、犯罪の再発を防止し、社会の安全を確保することが可能になってきた今の時代、人間のいのちの尊さという原点に立って、死刑制度その存在理由をもはやいつつあるったと考えています。一九九五年に発表された教皇ヨハネ・パウロ二世の回勅『いのちの福音』を契機に、死刑廃止へと向かうカトリック教会のこの姿勢は、より明確なものとなってきました(65)。さらに教皇フランシスコは、二〇一八年五月に『カトリック教会のカテキズム』の死刑に関する項目(二二六七)の書き換えを命じました。それによって同項目から、死刑が必要とされる場合は「皆無ではない」という記述は消え、福音の光のもとに「死刑は許容できない」と明言されることとなりました。日本の教会の中でも、死刑廃止を訴える声がつねに上がっています(66)。いのちの尊さをイエス・キリストから学び、回心とゆるし合いを大切にするがゆえに、わたしたちは、犯罪者の更生を支える刑法の改正と死刑廃止を求めています。それは、世界人権宣言の精神にもかなうものです。「いのちは神聖であり、したがって不可侵である」という原則は、いのちの根幹にかかわるすべての問題に当てはめなければなりません(67)。死刑の問題も例外ではありません。

(65) 「絶対的に必要な場合、換言すれば他の方法では社会を守ることができない場合を除いては、犯罪者を死刑に処する極端な手段に訴えるべきではありません。しかし今日、刑罰体系の組織立てが着実に改善された結果、そのような事例は皆無ではないにしても、非常にまれなことになりました」(教皇ヨハネ・パウロ二世回勅『いのちの福音』56)。他に『カトリック教会のカテキズム』2267、教皇フランシスコ「国際刑法学会でのあいさつ(二〇一四年十月二十三日)」参照。
(66) 日本カトリック司教協議会諸宗教部門編『カトリック教会の諸宗教対話の手引き―実践Q&A』一〇五ページ、日本カトリック司教協議会社会司教委員会編『なぜ教会は社会問題にかかわるのかQ&A』九五―一〇一ページ参照。
(67) 第二バチカン公会議『現代世界憲章』27、教皇ヨハネ・パウロ二世回勅『いのちの福音』9、27、40、56参照。

 現在発売されている第3刷(2018年12月18日発行)および電子書籍版(同)には、上記の改訂が反映されています。
 『カトリック教会のカテキズム』の当該箇所の邦訳については、2018年12月13日の臨時司教総会において確定されました。

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