「船員の日」メッセージ 2020年

2020年 AOS船員の日メッセージ 教皇庁人間開発のための部署は、7月の第2日曜日(今年は7月12日)を「船員の日」と定め、船員のために祈るよう呼びかけています。日本カトリック難民移住移動者委員会も、海で働く人々、特に […]

2020年 AOS船員の日メッセージ

教皇庁人間開発のための部署は、7月の第2日曜日(今年は7月12日)を「船員の日」と定め、船員のために祈るよう呼びかけています。日本カトリック難民移住移動者委員会も、海で働く人々、特に船員・漁船員の皆さんとその家族のための祈りを呼びかけます。


ステラ・マリス 海の人々と共に100年

 1920年10月4日スコットランドのグラスゴーで、一人の司祭と数人の信徒が、グラスゴー港に停泊する船の船員たちを支援するための話し合いを持ちました。現在は、カトリック教会の国際組織となった船員司牧(AOS:Apostleship Of the Sea)の始まりです。今年、創立100周年を迎えます。10月に予定されていたグラスゴーでの世界大会は、新型コロナウィルス感染拡大のため来年に延期されましたが、この100周年という節目は「ステラ・マリス」の名称でも親しまれている、海の使徒職AOSについて、多くの方により知っていただく良い機会です。AOSの活動は、現在56カ国、322の港で行われています。
 海運の有り様は、この100年間に大きく変わりましたが、AOSの使徒職がめざすものは創立時から変わりません。なぜなら司牧とは、人間の全ての側面において、すなわち、人格的、社会的、職業的、霊的次元で、船員たちのために奉仕することにあります。
 船員たちのために、世界ではいくつかの組織が役割を担ってきました。一つは船員の生活と仕事に関わる、国際労働機関(ILO:1919設立)。もう一つは、海上の安全等、海事分野の諸問題について扱う国際海事機関(IMO:1948設立)、そして健康と保健が専門の世界保健機関(WHO:1948設立)です。これらの専門機関の働きによって船員たちの状況は改善されましたが、福祉や基本的生活の保障については、まだまだ不十分です。
 20世紀始め、船員の生活は不安定で、過酷で、無防備な状態に置かれていました。今日、多くの船には良い条件が整えられつつありますが、家族や故国から長期間離れ、港での滞在時間の短縮等により、孤独感が増しています。また、航行と積み降ろしのスピード化は、大きなストレスをもたらしています。
 出身国による格差や会社からの不当な扱いや遺棄、死亡、いじめやハラスメント、さらに海賊や武装強盗により人質とされること等、人間らしい生活労働環境確保が困難となっていることがしばしば報告されています。
 今、大切なことは船員に出会うための訪問です。彼らは、訪問者とおしゃべりをして、一緒に過ごすことをとても楽しみにしています。信頼関係を築き、問題解決の手伝い、そして社会的、法的、霊的な支援が求められています。
 今年は特に、新型コロナウィルスのパンデミックの影響で、海運業は未曾有の試練に直面しています。船員とその家族のために祈り続けましょう。
 ステラ・マリスの聖母が彼らをすべての危険から守って下さいますように。



教皇フランシスコの祈り
2013年7月8日 ランペドゥサにて

海の星、マリアよ、
もう一度、あなたにお願いに来ました
かくまっていただける穏やかな場所を見つけるために
ご保護と助けを願うために
神の母、私たちの母よ、
海の危険と向き合っているすべての人に
あなたの温かい眼差しを向けてください
生活に必要な糧が、それぞれの家族に保障されますように
神の被造物が尊重されますように   
人々の平和のために仕えることができますように アーメン

2020年7月12日
日本カトリック難民移住移動者委員会
担当司教 山野内倫昭

PAGE TOP