「2021年すべてのいのちを守るための月間」
日本カトリック司教協議会会長談話 「神の住まい、地球共同体を一新しよう」

「2021年すべてのいのちを守るための月間」日本カトリック司教協議会会長談話 「神の住まい、地球共同体を一新しよう」  「すべてのいのちを守るための月間」は、教皇のご意向によって2020年から実施されるはずでしたが、新型 […]

「2021年すべてのいのちを守るための月間」日本カトリック司教協議会会長談話

「神の住まい、地球共同体を一新しよう」

 「すべてのいのちを守るための月間」は、教皇のご意向によって2020年から実施されるはずでしたが、新型コロナウイルス感染防止のため中止となりました。今年は、教皇庁人間開発のための部署が発表したテーマ ―「皆のための家?神の住まいを一新する。」― をほぼそのまま紹介して会長談話とさせていただき、全教会と歩みを共にできたらと思います。
 聖書によると、「地とそこに満ちるもの、世界とそこに住むもの」は神によって、しかも良いものとして創造されました(創1・31)。ですから、造られたすべてのものは「神のもの」(詩編24・1)なのです。これには二つの教えが含まれています。すべての造られたものは地球共同体のものであり、その共同体全体は神のものであるということです。この地球共同体、つまりわたしたちの共通の家(ギリシア語でoikos)は神のものであり、一つひとつの造られたものはこの共通の家に属しているのです。
 地球上のありとあらゆるかかわりが絡まり合って地球の幸せを支えています。動植物、無機物・有機物(無感覚の組織体)は、この愛すべき共同体のバランスを保つ上でそれぞれがとても重要な役割を果たしており、それらの関係を説明するのがエコロジー(oiko-logia)です。一つひとつの造られたものは、それが住む多様な生態系の健全と回復力に寄与しています。わたしたち人間は地球と同じものから造られており、造られた仲間と大地の世話になっています。
 人間同士の関係も自然環境とかかわっています。経済(oiko-nomia=家の管理)、社会、政治の分野での人間関係は、造られたもののバランスに影響を与えます。人間が鉱物や動植物を土台として製造し、使用し、生産するものはすべて大地から来ています。エネルギーと物を消費するわたしたちの生活習慣は、太陽系の回復力や、自然治癒といのちを支える大地の能力に影響を与えます。経済と政治の分野での人間関係は、人類家族と、神の住まいの、より多くの人々に直接的な影響を及ぼします。
 創造主は、造られた仲間の中で、人間に、神の住まいを世話し守るという特別な召命を与えておられます。自然環境、社会、経済、政治との正しい関係を持続させるために、信仰と理性と知恵が求められます。信仰によって、わたしたちは、造られたものの躍動的で生きた共同体の中にあって世話人であるということを理解できます。大地とそのすべては、わたしたちが勝手に利用するために与えられたのではなく、神がわたしたちを信頼して贈ってくださったものです。わたしたちは、支配するのではなく、保護するよう招かれています。理性によって、いのちのための条件を守るため、またわたしたちの共通の家の経済的、技術的、政治的な構造を新たにつくるために、どうすることが一番いいのかを識別します。知恵は、自然の体系と営み、その土地に固有の伝統、そしてみことばと霊による神の啓示に注意を向けさせます。
 何世紀もの間、人間は、大地の限界よりも市場の論理に従ってわたしたちの生活と経済を秩序づけてきました。この誤った論理は、神の住まいを搾取し、造られたものを経済的あるいは政治的な目的の手段とします。現在行われている、利益のための大地と動植物と鉱物の搾取は、結果として何百万もの種類の動植物の住まいを失わせています。人間の住まいも気候変動のために危機に瀕しています。理性によってわたしたちは、この人間中心の時代にあって、自然環境と社会環境の分裂や排除によって現在の気候の危機が生じ、自然環境をさらに不安定にしていると理解できます。知恵は、地球と人々のためにいのちを支える、いのちの経済と正しい政治体制をつくる方法を発見させてくれるはずです。
 信仰によってわたしたちは、神の霊が絶えず地の面を新しくしている、と信頼しています。そう希望しながら、洗礼を受けたわたしたちは、神の園を耕し守るという人間の召命を再確認しなければなりません。神は、わたしたちがキリストと結ばれて、人の住んでいる地球全体を新しくし、すべての造られたもののために場所を確保することに参加し、すべての造られたものの間の正しい関係を作り直すよう招いています。
 9月第一日曜日(「被造物を大切にする世界祈願日)を含めて、「すべてのいのちを守るための月間」に以下のような具体的行動を提案したいと思います。

  1. 教皇回勅『ラウダート・シ』と『兄弟の皆さん』を丁寧に読み、互いに学び合う。
  2. 『ラウダート・シ』の目標に向かう7年間のプロジェクト「ラウダート・シ・アクション・プラットフォームLaudato si’ Action Platform」について学ぶ。
  3. よりシンプルなライフスタイルを日々目指す。(国連のSDGs参照)たとえば、以下の点をチェックしてみてはどうでしょうか?
    1. 水・電気・食料など資源を浪費していないか。
    2. 洗剤やプラスチック製品などの環境汚染物質の使用量はどうか。
    3. 海浜、里地里山、街中など、身近な場所でのゴミ拾いや清掃はしているか。

 2021年8月6日 主の変容の祝日

日本カトリック司教協議会
会長 髙見 三明

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