アジア司教協議会連盟(FABC)創立50周年 会長 ボ枢機卿 開会挨拶

アジア司教協議会連盟(FABC)創立50周年 2022年8月22日 開会挨拶〜ボ枢機卿 FABC50周年 開会挨拶(2022年8月22日) 恵みと感謝に満ちた旅 チャールズ・マウン・ボ枢機卿(アジア司教協議会連盟[FAB […]

アジア司教協議会連盟(FABC)創立50周年
2022年8月22日

開会挨拶〜ボ枢機卿

FABC50周年
開会挨拶(2022年8月22日)

恵みと感謝に満ちた旅

チャールズ・マウン・ボ枢機卿(アジア司教協議会連盟[FABC]会長)



 親愛なる兄弟姉妹の皆さん、主の名においてご挨拶申し上げます。

 今日、歴史はわたしたちを手招きしています。半世紀にわたるアジアの恵みと感謝に満ちた旅の後、アジアの教会は今日、FABCの50周年記念行事を開始するために大きな喜びを味わっています。総会は10月12日から30日まで開催されます。
 わたしたちの母、天の元后聖マリアの記念日が、皆さんにとって素晴らしいものであることを祈ります。恵みと感謝を表すわたしのことばは、アジアの教会が「主がわたしに偉大なことをなさいました」と歌いうるマリアの賛歌にふさわしいものです。
 50年前、第二バチカン公会議がもたらした偉大な聖霊降臨の機会にアジアの司教たちが結集し、FABCを設立しました。世界を刷新のために燃え立たせた第二バチカン公会議が呼び起こした、創造力あふれる使徒的衝動に応えるために設立されたのです。
 アジアの教会は、恵みと感謝の節目を迎えています。この教会をずっと導いてこられた全能の神に、あらゆる賛美をささげます。アジアは多くの宗教の発祥の地です。聖ヨハネ・パウロ二世教皇は、アジアの教会への大いなる旅の中で、救いの歴史におけるアジアの重要な役割を賞賛しました。その使徒的勧告『アジアにおける教会』の中で、教皇は次のように述べています。

アジアにおける教会は、「救われる神」(詩編68・20)をたたえて歌っています。神がご自分の救いの計画を、アジアにおいて、アジア大陸で生きる男女を通して始めたからです。実際に神が、最初からご自分の救いの目的を明らかにし実行したのは、アジアにおいてでした。神は太祖たちを導き(創世記12章参照)、ご自分の民を解放するためにモーセを召し出しました(出エジプト3・10参照)。神は、多くの預言者、士師、王、信仰のあつい勇気ある女性を通して、ご自分の民に語りかけました。「時が満ちると」(ガラテヤ4・4)、アジア人の一人として受肉したご自分の独り子、救い主イエス・キリストをお遣わしになりました。アジアにおける教会は、アジア大陸の人々、文化、宗教的活力の素晴らしさに歓喜すると同時に、すべての人のために教会がいただいている信仰の特別なたまものを意識しつつ、「恵み深い主に感謝せよ。いつくしみはとこしえに」(詩編118・1)と告げないではいられません(1項)。

 そうです。すべての栄光は、この大陸をその聖なる救いの歴史のために選ばれた神のものです。この、聖人となった教皇は、アジアの教会がその現実を生き生きと生き続けるという使命を残しました。
 聖人である教皇の知恵に触発され、FABCは、アジアの教会の宣教活動を協力して行ってきました。それは、長く困難な道のりでした。
 この長い旅路は、アジアの教会に活力あるアイデンティティを与え、宣教する教会となるよう絶えず問いかけています。そしてそれは続いています。
 今、アジアの教会とFABCは、非常に困難な時代の岐路に立っています。
 多くのことが達成されました。そのプロセスを導いてくださったすべての方々に感謝します。FABCに知的アイデンティティを与えてくださった神学者、その他の方々に感謝します。アジアは実質的に諸文化のモザイクであり、教会はその多様性を反映してきました。文化的なものと宗教的なものの融合は、神学者が「インカルチュレーション」と表現するものです。アジアのキリスト教は、外来の荷物を捨て去り、真に地域固有のものとなるプロセスの真っ只中に存在するのです。
 FABCは、創造性をもって、アジアの諸文化、諸宗教、貧しい人々との間のアジア的な三者間対話を強めていったのです。FABCは、人々に力を与えていくいくつかの委員会をもつ統括組織を想定していました。
 今日、教会と世界は、歴史の岐路に立っています。
 わたしたちは、紛争や強制移住、経済崩壊、恐るべき気候変動、パンデミック、何百万人もの飢餓など、息が詰まるような状況の中で集まります。伝統的なキリスト教世界では、世俗主義が台頭しています。権威主義的な指導者が多くの国で主流になりつつあります。民主主義は厳しい試練に直面しています。原理主義や宗教的暴力は世界の平和を脅かしています。このような困難な状況において、アジアの諸教会がどのような役割を果たすことができるのか、自ら精査することが求められているのです。
 危機感が高まる中、アジアの諸教会はいかにして平和の預言者となることができるでしょうか。
 第三の千年期は大きな課題をもたらします。教皇フランシスコはつねに、あらゆる課題を好機ととらえるよう促しています。50周年のお祝いを迎えるにあたり、わたしたちは、聖書の「ヨベルの年」の概念が、包括的な変化と強固な刷新を命じていることを思い起こします。現教皇のもとにある教会は積極的に変化を起こしていきます。
 バチカンの組織と使命の中で最重要な位置を占める福音化を担いながら、シノドス的教会となるようにと、わたしたちは問われているのです。正義の分野では、教皇は環境と経済の正義のために奮闘努力するよう呼びかけています。
 教皇は、適正な関係性の上に築かれるいのちを求めています。教皇の三文書は、アジアの教会と世界に、適正な関係性における一つのロードマップを示しています。『福音の喜び』は神との関係性を導き、『ラウダート・シ』は被造物との関係性を描き、『兄弟の皆さん』は人間相互の関係性を明らかにしてくれます。
 FABC総会では、これらのニーズや課題などを振り返り、テーマごとに審議が行われます。これらの審議に入るとき、わたしたちは、積極的な宣教者となるようにという福音の呼びかけを意識することになっていきます。アジアの教会の使命は、すでに黙示録の中に描かれています。アジアは福音化という大いなる使命が始まった大地だったのです。
 アジアの教会に対して主が呼びかけることは何でしょう。
 アジア諸国では、キリスト教が教育、保健衛生、人間形成に重要な役割を果たしており、各国は経済的、政治的に自信を深めてきています。アジアとアフリカで教会は、召命が増加し、活気に満ちています。これは、素晴らしい好機であり、また課題でもあります。祈りと企画力と献身によって、今世紀は、世界によい知らせをのべ伝え、正義と平和をはぐくむ「アジアのキリスト者の世紀」となりうるのです。FABC総会は、こうした懸案事項の多くに取り組んでいきます。
 FABC50周年総会に向けたわたしたちの準備は、聖霊のわざと見ることができます。各教区の準備を称賛します。シノドスの歩みの教区と司教協議会フェーズは、去る8月15日に終了しました。
 10月のFABC50周年総会では、すべての討議内容を照合し、アジアと世界の新たな旅の進路を描くことになります。
 本総会のために選ばれたテーマは次のものです。

FABC50周年:アジアの諸民族としてともに旅する ―
「……彼らは別の道を通って…行った」(マタイ2・12)

 少し矛盾しているように見えるかもしれませんが、初代教会は、キリストの宣教のためにともに旅をしますが、初代教会がもつ多様なたまものによって、さまざまな文化や国々に到達することができたのです。アジアは全人口の6割を占め、48カ国からなる最大の大陸で、一致と多様性の両方を必要としています。
 この旅に踏み出すアジアの人々に、大きな祝福がありますように。預言者たちに忠実に寄り添うことを約束された主が、人々とともに歩んでくださいますように。主の御摂理によって、アジアの教会は大いなる驚きを体験することでしょう。
 わたしたちのすべての働きの上に神の祝福がありますように。

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