「船員の日」メッセージ 2024年

2024年 船員の日メッセージ 教皇庁総合人間開発省は、7月の第2日曜日を「船員の日」と定め、世界中の司牧者、信徒に船員たちのために祈るよう呼びかけています。日本カトリック難民移住移動者委員会も、船員たちとその家族のため […]

2024年 船員の日メッセージ

教皇庁総合人間開発省は、7月の第2日曜日を「船員の日」と定め、世界中の司牧者、信徒に船員たちのために祈るよう呼びかけています。日本カトリック難民移住移動者委員会も、船員たちとその家族のために祈るよう皆様に呼びかけます。


海から海へと、世界を結ぶために働く船員に感謝して



 今年の「船員の日」にあたって、現代世界の人々が日々求めるすべてのニーズを満たすため、あらゆる物資を運ぶ仕事で海をとおして世界を結びつける船員のみなさんに、あらためて敬意と感謝を表したいと思います。
 船員の仕事は、わたしたちの生活を支える大切な仕事ですが、それは船員たちの犠牲の上に成り立っています。長期間家族と離れながら、肉体的にも精神的にも過酷な条件下で行われる仕事です。彼らこそ、その仕事によって、わたしたちが一つの家族となれるように世界を結びつけている、真の奉仕者であることを称賛し感謝します。そして、わたしたちも、一つの人類家族として彼らと連帯するよう招かれています。
 船員がどのような環境で働き、生活しているかをさらによく知るためには、国際運輸労連(ITF)が 作成・発行している会報『シーフェアラーズ・ブルテン』があります。わたしの手元にあるスペイン語版第37号(2023年発行)では、ステファン・コットンITF事務局長が会報の冒頭で、パンデミックに関し、次のように語っています。「あらためて、わたしたちの生活の多くの部分が停止しているときに、世界を動かし続けた船員やその他の運輸労働者に感謝を表します」。
 ITFとはどういう存在でしょうか。ITFは、8つの産別部門(船員、水産、内陸水運、港湾、鉄道、路面運輸、民間航空、観光)の運輸労組で構成される世界組織です。153カ国の約735の加盟組織に所属する、およそ1,800万人の運輸労働者を代表し、その中には、211の加盟組合の約100万人の船員たちも含まれています。
 ITFは世界中の運輸労働者を代表し、連帯とグローバル・キャンペーンを通じて、運輸労働者の利益を促進しています。これまで75年にわたり、船員の劣悪な労働環境や雇用条件を生み出しかねない「便宜置籍船制度」と闘い、キャンペーンを展開してきました。便宜置籍船制度とは、運航費用の削減を目的に、実質的な船主の国の法規制が及ばないよう便宜的に船籍を他国に置き、その国の旗をつけて運航することです。ITFインスペクター(検査官)と組合は、船上で働く船員が、適正な賃金、社会福祉、家族への支援、人権擁護などの労働条件を勝ち取ることができるよう、懸命に闘ってきたのです。ITFが毎年発行している『シーフェアラーズ・ブルテン』の最新情報は、各国語で読むことができます(https://www.itfseafarers.org/en/resources/materials/seafarers-bulletin-2023)。
 わたしたちも今一度、何千、何万という船員たちが、世界の海をつなぎ、わたしたちを一つの家族としてまとめ、その使命を果たしていることを神に感謝し、心を合わせて、ともに祈りましょう。愛する大切な人と遠く離れ離れになっている彼らとその家族を、海の星、神の母聖マリアが守り続けてくださいますように。


聖マリア、海の星、船員たちの安全をお守りください。
あなたの保護と導きが彼らとともにありますように。
激しい波に直面する時、暗闇の中で航海を続ける時、
あなたの光で道を照らし、安らぎと勇気を与えてください。
彼らの家族と愛する人々に心をあわせ、祈ります。
彼らが大海原で活躍し、無事に帰って笑顔で家族や友人と再会できますように。
あなたの祝福が彼らとともにありますように。アーメン

2024年7月14日
日本カトリック難民移住移動者委員会
委員長 山野内 倫昭

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