国際会議「シノドスのための小教区司祭の集い」について

国際会議「シノドスのための小教区司祭の集い」について カトリック大坂高松大司教区 司祭 高山 徹 I. 4月末から5月初めに行われた会議の印象  この貴重な機会を頂いたことに改めて感謝申し上げます。現場で働く司祭の声に耳 […]

国際会議「シノドスのための小教区司祭の集い」について

カトリック大坂高松大司教区
司祭 高山 徹


I. 4月末から5月初めに行われた会議の印象
 この貴重な機会を頂いたことに改めて感謝申し上げます。現場で働く司祭の声に耳を傾ける必要性が指摘されて開催が決まった今回の集まりは、4月28日から5月2日迄、世界中の小教区司祭195名がSacrofanoに集い、現場からの声を分かち合いました。それは、本当に視野を広げてくれる体験でした。3日間のセッションは日毎にテーマを有し、具体的には「シノドス的教会の顔」「全ての人が使徒、福音宣教者」「共同体」でした。自分自身が感じたことを踏まえ、そして、各グループから提出されたセッションごとのまとめレポートを実際に参加した司祭と共に参照し、互いに意見が一致していたこと、並びに検討課題として浮かび上がったことを以下に示します。

 ■意見の一致点:
 今回100ヵ国の司祭が一堂に会しました。文化圏等の共通の括りがあるものの、やはり実に多様な現場からの声が集まったと言えます。それでも、互いに一致する部分を確実に有していました。キーワードは、「兄弟性」「もがき」「愛」「信仰」そして「希望」です。何度も繰り返された“私達司祭”という表現を通して、今回の参加者一人ひとりが司祭職を共に生きていることを確認し合いました。参加者一人ひとりが、実に励まされる思いをしたのです。そのような司祭としての働きや生きざまの中には必ず、困難や失敗に直面しての「もがき」があること、それでも人を「愛」し神を「愛」していることが見えました。特に、シノドス的な教会を実現していこうとする時には、司牧者は種々の反発に少なからず直面しているのです。このような司祭の働きの基盤には「信仰」があり、もっと言えば、イエスがおられます。このようなシノドス的な歩みを続けていく「希望」を皆が感じました。そうした「希望」の源の一つが、各小教区に属する人々の様々なカリスマや奉仕職の貢献です。実は小教区は、そのような数多の貢献に支えられていることを感謝の内に想い起しました。

 ■検討課題:

 多くの参加者が、シノドス的な教会の歩みを前向きな姿勢で捉えていた一方で、依然として存する課題を共有していたのも事実です。まず一つ目に、シノドス的な教会の歩みに対して疑問を寄せる人々が教会全体を眺めた時に一定数おられると言うことです。そのような人々にどのように対応すべきかと言うことです。二つ目に、声をあげにくい周辺に位置する人々の声にしっかり耳を傾けるということです。三つ目は、教会における位階制と信徒の参画促進の間のバランスを取ることです。シノドス的教会の歩みが、方法論に傾かず、また、単なる民主主義にもならぬように、絶えず識別を必要としているのです。そこには、適切な意思決定のプロセスの設定ということも含まれています。そして、四つ目には、今教会が突きつけられている課題について、例えば、平和維持やLGBT等への配慮や女性助祭の叙階のような課題に、いかに取り組むかということが挙げられると思われます。

II. 第二会期への期待

 今回の集まりを上記のようにふり返りながら、第二会期への期待について考えてみます。まず一つ目は、現場の声を一層反映したような方向性へと会議が動いていくということです。現場での対応に苦慮する司牧者や小教区の方々の声です。二つ目は、特に教会内外での注目を受けている課題についての議論が進められると言うことです。三つ目は、秘跡的な教会の根幹にも位置する養成の課題について、一層の刷新の必要性が認識されるということです。養成には意志決定や識別のプロセスも含まれるのであり、同時に、神学的な基盤の成熟も必要としています。第二会期が、個別具体的な現場の声を吸い上げながら、尚且つ、それらを方向づける力となっていくように、皆で共に聖霊の助けを願いたいと思います。

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