教皇庁内赦院 アッシジの聖フランシスコ没後800年の特別聖年に与えられる免償に関する教令

教皇庁内赦院は、2014年11月23日、「奉献生活の年」(2014年11月30日~2016年2月2日)に際して与えられる特別免償についての教令を発布しました。この教令は、「奉献生活の年」の開催を機会に、定められた条件を満たした人に免償を与えることを定めたものです。以下は教令の全訳です。
 免償とは、罪科としてはすでに赦免された罪に対する有限の罰の神の前におけるゆるしです。キリスト信者はふさわしい心がまえを有し、一定の条件を果たすとき、教会の助けによってこれを獲得します。免償は、罪のために負わされる有限の罰からの解放が部分的であるか全体的であるかによって、部分免償および全免償とに分けられます(『新教会法典』992~993条、『カトリック教会のカテキズム』1471、『カトリック教会の教え』220~221頁参照)。

教皇庁内赦院
アッシジの聖フランシスコ没後800年の特別聖年に与えられる免償に関する教令


 「わたしどもの父であり兄弟であるフランシスコをしっかりと記憶に刻んでください。人々の前でこのかたを偉大なものとされ、天使たちの前でこのかたを栄(は)えあるものとされた〔神〕への賛美と栄光のために。あのおかたのために祈ってください。かつてあのおかたご自身が死の前にわたしどもに願っておられたように。そして、あのおかたに祈ってください。神があのおかたとともにわたしどもをご自分の聖なる恵みにあずかるものとしてくださいますように」(1)

 終わったばかりの2025年の通常聖年の恵みの実りは今なお現実のものであり、有効であり続けます。聖年の間、わたしたちは皆、この欺くことのない希望(ロマ5・5参照)の巡礼者となるように促されました。ここに通常聖年の理想的な継続として、喜びと聖化の新たな機会が付け加えられます。すなわち、アッシジの聖フランシスコの地上の生涯から天の祖国への幸いなる帰天(1226年10月3日)の800周年です。

 近年、アッシジの聖者の人物と業績を記念する他のいくつかの重要な行事が行われてきました。グレッチョの最初の馬小屋の製作(1223年)、被造物の聖なる美への賛歌である「太陽の賛歌」の作成(1225年)、いわば新たなカルワリオ(ゴルゴタ)としてヴェルナ山で死の2年前(1224年)に起きた聖痕の800周年です。2026年はこれまでの記念行事の頂点と完成を示します。実際、それは「聖フランシスコ年」であり、すべての人は〈熾天使聖人〉の模範に倣って現代世界で聖なる者となるように招かれます。

 「わたしたちが救われるべき名は、天下にこの名のほか」すなわち、人類のあがない主であるイエス・キリストの名のほか、「人間には与えられていないのです」(使4・12参照)。このことが驚くべき真実であるならば、12世紀から13世紀にかけての、いわゆる聖戦と、慣習のゆるみと、誤った宗教的熱狂の時代に、「地上の世界に一つの太陽が生まれた」(2)ことは、同じように驚くべき真実です。裕福な商人の息子から、貧しくへりくだった者となったフランシスコは、世界に福音的生活の目に見える模範とキリスト教的完徳の真の姿を示す、真の〈もう一人のキリスト〉です。現代は、フランシスコが生きた時代とさほど変わりません。このことに照らして、フランシスコの教えは現代においてこれまでにまして妥当であり、理解しうるものだと思われます。キリスト教的な愛が衰えるとき、無知が悪習のように広まり、諸民族の調和を唱える人々は、真のキリスト教的精神によってというよりも、利己主義によってそれを唱えます。仮想的なものが現実を凌駕し、社会の不和と暴力が日常化し、平和が日々ますます不安定でほど遠いものとなるとき、「聖フランシスコ年」は、わたしたち皆が、それぞれの可能性に応じて、〈アッシジの貧者〉に倣い、可能なかぎりキリストを模範として自らを形づくり、終わったばかりの聖年の決意を無駄にしないようにと促します。わたしたちを巡礼者とした希望が、今や惜しみない愛の熱意と情熱へと変わりますように。

 「そして、次のことをあなたがするか否かによって、あなたが主と、〔主〕とあなたとのしもべであるわたしを愛していると知りたいと思っています。次のこととはこれです。すなわち、ある兄弟が罪を犯したとします。それが犯しうる最大の罪であったとしても、あなたの眼を見た後で、あわれみを乞うたなら、その〔兄弟〕があなたのあわれみを得ることなしに帰っていくことがこの世において決してありえないようにするということです」(3)

 聖フランシスコは、有名な『奉仕の任にある某兄弟への手紙』に記されたこの驚くべきことばによって、一人の無名の兄弟に慰めと助言を与えると同時に、何よりもゆるしと免償と切り離しがたいしかたで結びついた、あわれみという根本的な概念を説明し、強調します。そして、まさに「アッシジのゆるし」ないし「ポルチウンクラの免償」として知られるこのゆるしが、800年前にアッシジの近くの「小さな土地」(そこから〈ポルチウンクラ〉という名が由来します)に建てられた古くからある教会を、告白と聖体拝領の後に8月2日に訪れた人のために、教皇ホノリオ三世がフランシスコに直接与えた、特別な特権です。

 自分の祈りがキリストの代理人によって聞き届けられたのを目にした聖フランシスコが、与えられた恵みを告げる際にポルチウンクラの奉献式に出席した群衆に放ったのと同じ惜しみない熱意と喜びをもって、わたしたちの信仰と喜びの奉仕者である教皇レオ十四世は、通常聖年の終了と時を同じくする2026年1月10日から2027年1月10日まで「聖フランシスコの特別聖年」を公布することを定めます。この特別聖年により、キリスト信者は、聖フランシスコの模範に従って、自らも生活の聖性の模範、絶えざる平和の証人とならなければなりません。

 提示された目的をより完全に達成するために、教皇庁内赦院は、「聖フランシスコ年」にあたって教皇の意向に従って公布する本教令により、通常の条件(ゆるしの秘跡、聖体拝領、教皇の意向による祈り)の下に、以下の人々に〈全免償〉を与えます。この〈全免償〉は代禱の形式で煉獄の霊魂にも適用されます。

1)会員。
-フランシスコ会第一、第二、第三会会員(修道会員および在俗会員)。
-聖フランシスコの戒律を守るか、聖フランシスコの精神に導かれるか、何らかの形で聖フランシスコのカリスマを受け継ぐ、奉献生活の会、使徒的生活の会、公的・私的な男女のキリスト信者の会の会員。

2)区別なしにすべての信者。
信者は、罪から離れた心をもって、何らかのフランシスコ会の教会、ないし聖フランシスコにささげられた、ないし、いかなる理由によってであれ聖フランシスコとつながりのある世界のあらゆる地域の巡礼所を巡礼の形で訪れ、そこで聖年の典礼に敬虔に参加し、または少なくとも適切な時間、敬虔な黙想を行い、神に祈りをささげます。この祈りの中で、聖フランシスコの模範に倣い、心の中に隣人に対するキリスト教的愛の思いと、諸民族の間の一致と平和への真の願いがあふれ出ることを求め、終わりに、主の祈りと、信条と、聖なるおとめマリア、アッシジの聖フランシスコ、聖クララ、フランシスコ会家族のすべての聖人への祈願を行います。

 高齢者、病者、そのケアを行う人、重大な理由で家から出ることができない人も、いかなる罪からも離れ、通常の三つの条件をできるだけ早く果たす意向の下に、自分の祈りと人生における苦しみと痛みをあわれみ深い神にささげながら、聖フランシスコ年の典礼に霊的に参加することによって、全免償を与えられることができます。

 教会の鍵の権能を通じて神の恵みを得るこのような機会が容易に実現できるために、教皇庁内赦院は、修道司祭と在俗司祭を含めた、適切な権限を授けられたすべての司祭に対し、速やかで寛大であわれみ深い心をもって、ゆるしの秘跡を進んで授けることを強く願います。

 本教令は、聖フランシスコ年の期間中、有効です。対立する規定類がある場合、本規定が優先します。

 ローマ、教皇庁内赦院にて
 2026年1月10日、主の洗礼の祭日

内赦院長
アンジェロ・デ・ドナーティス枢機卿
内赦執行官
クシストフ・ヨゼフ・ニキエル ヴェリア名義司教


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