世界代表司教会議第16回通常総会 第1会期「まとめ」報告書の関連課題に関する研究部会 シノドス流の教会:交わり、参加、宣教 第9部会 浮上する教義的、司牧的、倫理的課題の共同識別のための、 神学的基準とシノドス流の方法論 […]

世界代表司教会議第16回通常総会
第1会期「まとめ」報告書の関連課題に関する研究部会
シノドス流の教会:交わり、参加、宣教
第9部会
浮上する教義的、司牧的、倫理的課題の共同識別のための、
神学的基準とシノドス流の方法論
報告概要
(原文:イタリア語)
第9部会は、シノドス的な省察と学びの旅の当初から、聖書の中心的なイメージ、すなわち「使徒言行録」10〜15章に記された出来事からインスピレーションを得てきました。これらの箇所は、どのようにすれば、福音の新たな価値を損なったり裏切ったりすることなく、人類学的、文化的多様性をいかに尊重し、むしろ聖霊に耳を傾け、互いにたまものを交換することによって、その価値を花開かせることができるか、を示しています。
本研究部会は、シノドス的な作業手法を採用し、多様な教会的背景や専門分野をもつ人々と協働しました。この聞き取りと対話のプロセスは、2回のセミナーの形で実施され、そこで参加者たちは最初の草案について考察を分かち合いました。これらの洞察と、そこから生まれた意見交換は、その後の報告書作成にとって不可欠なものでした。
本研究部会の作業が進むにつれ、「論争を巻き起こしている課題」という表現を「浮上する課題」と改めることにしました。前者は「問題解決的な」アプローチが求められることを示唆しているのに対し、「浮上する課題」は、神の民全体が、そのシノドスの歩みにおいて抱くよう求められている「かかわりの回心」のために必要な資質、心性、対話に向かう方向性を指し示しています。
本報告書は3部で構成されており、その概要は以下の通りです。
Ⅰ.教会の宣教におけるパラダイムシフトと、それを促進するシノドスのダイナミズム
「浮上する課題」を識別することは、真の「パラダイムシフト」(使徒憲章『ベリターティス・ガウディウム』3項参照)を経験する貴重な機会となります。それは、過去数世紀にわたり、教会生活において主流であった枠組みに疑問を投げかける第二バチカン公会議によって始まったプロセスです。今日、この「シフト」は、歴史の中で啓示された神の真理という聖書的概念を再発見し、キリスト教共同体の中でともに学ぶプロセスをはぐくむことを意味しています。
この「シフト」を実現するには、真に人間的であり、人間が有する歴史的、経験的、実践的、文脈的本性を重んじ、キリストのうちにそれが成就する解釈学が必要です。一人ひとりの人間は、唯一無二の存在であり、その全体性は、この世的で物語的な視点を通じて、他者、社会、文化との関係の中で形づくられるのです。さらに、人間は、自分自身の身体や、他者にとっての「あなた」という関係性の中だけに存在するのではなく、社会的・文化的制度の中に位置づけられています。つまり、より大きな「わたしたち」という枠組みの中で自己表現するよう求められているのです。
同時に、人類の普遍的真理は、一度きりで決定づけられるものではなく、さまざまな文化の具体的な形を通じて明らかにされていくものです。それは絶え間ない対話の中で展開され、その対話において、共同体や個人は、たまものの交換を通して成長し、福音の光のうちに真理と正義を探求することで刺激を受けるのです。
このパラダイムシフトは、救いの「ケリュグマ(告げ知らせ)」と活発に出会うことに資するものです。ケリュグマを人類学的に意味づけるとすれば、キリストにおける神の「限りなく大きな」「アガペー(愛)」を伴う恵みとの出会いである、と表現されます。『最終文書』は、シノドスの精神、つまり、かかわりの回心、ともに学ぶこと、そして最終的には透明性をもって、旅路を前進していくために、キリスト者の各共同体が具体的に実践すべきいくつかの重要な動きを提示することで、このパラダイムシフトを推進しています。
「かかわりの回心」とは、主に、洗礼を受けたすべての男女が、(教会的、典礼的、社会的)実践を通して学びうるプロセスを指しています。事実、こうした実践を通して、人々は日常生活における大小さまざまな問題に対処できるだけでなく、問題が生じ、名付けられ、ともに取り組むことのできる言語的、象徴的、文化的場面を、協力して形づくっていくことにも貢献できるのです。
「ともに学ぶ」ダイナミズムは、それによって神の民が、イエスが示したことばとしるしを読み解き、その意味を現代生活のためにさらに深く見出し、聖霊の呼び掛けに自らを開くことができるようになるとき、福音的な基盤に立つことになるのです。
最後に、「透明性」という教会の文化は、現代社会において要請される必要性から生じるものにとどまらず、「真理をもって語り、行動する」という福音的、倫理的な責務の観点から理解されなければなりません。つまりそれは、教会がケリュグマに忠実であるかどうかの基準であると同時に、共同体内の真摯な関係や相互信頼の基準でもあるのです。
Ⅱ.シノドス流の教会において「司牧性の原理」を実践すること
第二バチカン公会議の教導職が示した道筋に従い、本研究部会は、現在進行中のパラダイムシフトを実現するための解釈の鍵として、「司牧性の原理」を特定しました。ここでいう「司牧性の原理」とは、福音を告げ知らせるためには、対話者に対して責任を負う必要があるということを意味します。なぜなら、その対話者には、すでに霊によってその告げ知らせが働いており(『現代世界憲章』22項参照)、その人は自由な意志をもってそれを受け入れ、従うことができるからです。
司牧性の原理を実践する主体は神の民全体であり、それは多様な奉仕職、カリスマ、役割の中に現れ、また『最終文書』が提唱する「かかわりの回心」「ともに学ぶこと」「透明性」というダイナミズムを生き抜くことを可能にする、多様な参加の形の中にも現れます。
わたしたちは主に、「問題解決」に取り組んでいるのではなく、共通善を築き上げることに取り組んでいるので、その出発点は、具体的な信仰体験において問題だと考えられる、特定の状況に対する(教義的、司牧的、または倫理的レベルでの)修正にあるのではありません。むしろそれは、信仰実践が表現する善のしるしを、多くの場合、流布している日常的な知恵の形を通して、認識し、識別することから始まります。この線に沿うと、権威の具体的な役割は、何よりもまず耳を傾け、識別のプロセスを開始することであり、さらにそれが共通善に寄与する場合(『使徒言行録』15章参照)、たとえ意見が分かれたとしても合意を見出せるよう、そのプロセスに同伴することです。
司牧性の原理との一貫性のうちに、シノドスの旅路において体験された「霊における会話」の実践は、具体的状況や取り上げるべきテーマに適切に適応された形をとることで、いや増す確信をもって「シノダリティという教会文化」を発展させるために不可欠な価値を帯びていきます。したがって本報告書は、いくつかの具体的な進め方を提案します。これらは、浮上する諸課題を識別し、直接的にかかわる、具体的な、個人として、また共同体としての主体が積極参加することに資するよう意図されています。つまり、互いに耳を傾け合い、現実を注視し、異なる専門分野を結集するのです。
Ⅲ.各地方教会におけるシノドス的な識別の実践に向けて:今日浮上する2課題
本報告書の第3部では、新たに浮上している2課題、つまり、「同性愛指向の信者の体験」(付録A[1、2] )と、「戦時下における個人および団体による積極的非暴力の体験」(付録B)について、二つの「シノドス的識別」の実践が提示されています。
こうした観点から、具体的状況に基づいた二つの証言が、再び読み返し識別するプロセスを通じて示されます。これにより、人びとが経験する多様な段階を認識し、さまざまな教会の文脈におけるシノドス的な識別実施の一助として、いくつかの考察やさらなる問いを提供することができるのです。
前述の諸課題に関するシノドス的識別に向けた提案の中で、当事者の体験に基づく証言に耳を傾ける姿勢は、とりわけ重要な意味をもちます。同様に、こうして耳を傾け考察するプロセスを最終的なことばをもって結論づける意図はなく、むしろ、倫理的・神学的識別のための道筋、さらに、シノドスの歩みを継続するための問いを提示しようとするものです。その意図は、個々の共同体および教会全体が、歴史や人びとの生活体験の中で神が示す「善」を理解し、促進するという責務を、自ら進んで担うことができるよう、その手助けを提供することにあるのです。
【参考】第9部会「最終報告書」(英語)――目次
はじめに:取り組まれた道程と選択された方法論
- シノドスの歩みにおいて何が問われたか
- 主な参照点
- 根底にある聖書イメージ:使徒言行録10−15章
- 今後採用すべき方法論的アプローチ
- 本報告書の限界と構成
Ⅰ.教会の宣教におけるパラダイムシフトと、それを促進するシノドスのダイナミズム
1. 新たな課題に対するシノドス流の識別――有望であるものの困難を伴う機会として
1.1 キリスト者の経験という歩みに忠実なパラダイムシフト
1.2 真に人間にふさわしい、歴史的・経験的・実践的解釈学への共有された取り組み
1.3 関係的で動的な、救いのケリュグマとの出会いのために
2. パラダイムシフトを促進する三つのダイナミズムが展開するシノドスの歩み
2.1 かかわりの回心のダイナミズム
2.2 ともに学ぶダイナミズム
2.3 透明性のダイナミズム
Ⅱ.司牧性の原理と、シノドス流の教会におけるその運営実践
1. 司牧性の視点
1.1 解釈的・生成的原理
1.2 信者総体の信仰の感覚(sensus fidei fidelium)と権威の務め
2. 霊における会話による、識別の進め方
2.1 霊における会話の実践
2.2 三つの進め方
結論
Ⅲ.各地方教会におけるシノドス的な識別の実践に向けて:今日浮上する2課題
1. 識別にシノドス的手法を用いる:各地方教会での実施に向けた提案
2. 同性愛指向の信者たちの体験
2.1 二つの証言に耳を傾ける
2.2 課題:経験、実践、専門知識
2.3 司牧的実践と教理の間の緊張:行き詰まりをどう乗り越えるか。
2.4 シノドス的識別に向けた、考えられる道筋と問い
3.積極的非暴力の体験
3.1 世界的出来事の体験者から直接話を聞く
3.2 抗議から分かち合いへ
3.3 失敗の検証、新たなパートナーシップ、ともに学ぶこと
3.4 積極的非暴力の実践と政治的有効性
3.5 シノドス的識別に向けた、考えられる道筋と問い
付録A(1, 2):同性愛指向の信者たちの体験(英語)
Annex A (1): The experience of people of faith with same-sex attractions
Annex A (2): The experience of people of faith with same-sex attractions
付録B:戦時下における個人および団体による積極的非暴力の体験(英語)
Annex B: The experience of active non-violence by individuals and associations in situations of war
