ECSI-2026-018 2026年8月26日 内閣総理大臣 高市早苗 様 法務大臣 平口 洋 様 日本カトリックいのち・平和・人権委員会 委員長 森山信三司教 2026年8月21日の死刑執行についての抗議声明 […]
2026年8月26日
内閣総理大臣 高市早苗 様
法務大臣 平口 洋 様
委員長 森山信三司教
2026年8月21日の死刑執行についての抗議声明
2026年8月21日、大阪拘置所の高見素直さん(58歳)に死刑が執行されました。私たち日本カトリックいのち・平和・人権委員会は、すべてのいのちの尊厳と世界の平和、そして普遍にして不可侵である一人ひとりの人権を守る立場から、死刑制度に反対し、今回の執行に強く抗議します。
私たちが死刑に反対するのは、なによりもまず、「犯罪者であろうとも、生きるという、神からのたまものである不可侵の権利がある」(教皇フランシスコ、2016年2月21日)と考えるからです。それゆえ、「死刑は許容できません。それは人格の不可侵性と尊厳への攻撃だからです」(『カトリック教会のカテキズム』2267番)。
死刑に反対する立場はキリスト教固有のものではなく、「いのち・平和・人権」という人類にとって普遍的な価値を反映するものです。事実、世界の多くの国において死刑はもはや過去のものとなり、制度上は死刑が存在する国であっても、実際の執行はまれになっています。つい先日の8月11日、中東地域の国としては初めて、レバノンの議会で死刑が正式に廃止されました。死刑を廃止・停止する国が年々増えてきていることは、カトリック教会にとっても大きな希望のしるしとして歓迎されます。
現在、世界各地で戦争・紛争が続いているだけでなく、地震・水害・暴風・酷暑といった悲惨な自然災害が多発し、多くの人のいのちと暮らしが犠牲になっています。日本でもこの夏発生した「熊本地震」や「千葉豪雨」などの被害によって、今なお多くの方が苦しみの中にいます。そうした状況下において政府が真っ先に行うべきは、「絞首刑」という残虐な方法によって人命を奪うことではないはずです。私たちは、執行に携わった方々の心情も慮りつつ、日本政府が繰り返す「国民の生命と財産を守る」という言葉の意味と重みを、改めて噛みしめるよう求められています。
高見素直さんは2009年7月5日、大阪市此花区のパチンコ店にガソリンをまいて火を放ち、5名の尊い人命を奪い、10名の方に重軽傷を負わせました。それは、たとえ彼のいのちを差し出したとしても到底贖うことのできない大きな罪であり、彼は、罪の重さに気づき、生涯をかけてその責任を負わなければなりませんでした。しかし政府は、それを待つことなく彼のいのちを奪いました。それは、本人の回心と更生の機会も、ご遺族に償い、負わせた心の傷に深く報いる機会をも奪ったということでもあります。
私たちは、高見さんが起こした事件で亡くなられた5名の犠牲者を追悼し、心身に深い傷を負い今もなお苦しんでおられる10名の被害者と、ご遺族や関係者の真の癒しと心の安らぎを祈ります。そして、死刑に処せられた高見素直さんを深く心に留め、日本政府が死刑制度を見直し、その廃止に向けて早急に取り組むことを求めます。
