教皇ベネディクト十六世 自発教令『カトリック教会のカテキズム綱要』の認可と公布

教皇ベネディクト十六世は、6月28日(火)午前11時から教皇庁クレメンスホールで、『カトリック教会のカテキズム綱要』を公布しました。 『カトリック教会のカテキズム綱要』は、イタリア語で205ページ、598の問答から成りま […]

教皇ベネディクト十六世は、6月28日(火)午前11時から教皇庁クレメンスホールで、『カトリック教会のカテキズム綱要』を公布しました。 『カトリック教会のカテキズム綱要』は、イタリア語で205ページ、598の問答から成ります。内容は、『カトリック教会のカテキズム』と変わりありませんが、『綱要』では新たに15の図版と、補遺(キリスト教の基本的な祈りと、教えの要約)が加えられています。各国語への翻訳は、各司教協議会にゆだねられます。 以下は、教皇ベネディクト十六世による『カトリック教会のカテキズム綱要』の認可と公布のための自発教令(2005年6月28日)と、当時『カトリック教会のカテキズム綱要』編纂委員会委員長だったヨゼフ・ラッツィンガー枢機卿(現教皇ベネディクト十六世)による『カトリック教会のカテキズム綱要』序文(2005年3月20日)の全訳です(原文はともにイタリア語)。


敬愛すべき兄弟である枢機卿、総大司教、大司教、司教、司祭、助祭、そしてすべての神の民の皆様。

 20年前、第2バチカン公会議閉会20周年の年に開催された臨時世界代表司教会議の要望を受けて、『カトリック教会のカテキズム』編纂作業が開始しました。
 わたしはこの『カトリック教会のカテキズム』が教会に与えられたことを、神である主に心から感謝したいと思います。『カトリック教会のカテキズム』は、わたしの敬愛すべき、また愛すべき前任者である教皇ヨハネ・パウロ二世によって1992年に公布されました。
 このたまもののすぐれた有用性と価値は、何よりも、司教の皆様が広く積極的に本書を受け入れてくださったことによって、確認されました。『カトリック教会のカテキズム』は、第一に司教の皆様に対して、カトリックの教義を教え、また特に地域に即したカテキズムを作成するための、確実で真正な参考書として与えられました。また『カトリック教会のカテキズム』のすぐれた有用性と価値は、神の民のすべての部分からも広く好意的に受け入れられることによって、確認されました。神の民のすべての部分は、これまでに出版された50以上の翻訳によって『カテキズム』を知り、評価したのです。
 わたしはここに、大きな喜びをもって、この『カトリック教会のカテキズム』の『綱要』を、ここに認可し、公布します。
 『カトリック教会のカテキズム綱要』は、2002年10月に開催された国際要理教育大会の参加者によって、強く要望されたものです。彼らは教会で広く感じられている欲求を代弁したのでした。わたしの愛すべき前任者は、この要望を認めて、2003年2月に本テキストの準備の開始を決定し、その作業を枢機卿の委員会に委ねました。同委員会は、わたしが委員長を務め、さまざまな専門家の助けを得ました。作業の過程で、『綱要』の草案がすべての枢機卿と司教協議会会長に送られました。テキストはその大多数から好意的な評価を得ました。
 ここにわたしが普遍教会に与える『カトリック教会のカテキズム綱要』は、『カトリック教会のカテキズム』の忠実かつ確実な要約です。本書には、教会の信仰の本質的かつ根本的なすべての要素が簡潔な形で含まれています。それゆえ、本書は、わたしの前任者が望んだように、信者も信者でない人も、同じようにカトリックの信仰の全貌を把握できるための、いわば「要覧」となるものです。
 『カトリック教会のカテキズム綱要』は、その構造、内容、用語において、『カトリック教会のカテキズム』を忠実に反映しています。ですから、それは『カトリック教会のカテキズム』を広く知らしめ、またその理解を深めるための助けとなるでしょう。
 わたしはこの『カトリック教会のカテキズム綱要』を全教会に、特にすべてのキリスト信者に委ねます。それは、本書が、第三千年期の教会の中で、福音宣教と信仰教育への新たな熱意を呼び起こすようになるためです。この熱意は、年齢と国籍を問わず、教会内のすべての共同体、またすべてのキリスト信者を特徴づけるものでなければなりません。
 しかしながら、『カトリック教会のカテキズム綱要』は、その簡潔さ、明快さ、完全さによって、全人類にも向けられています。全人類は、不和とさまざまな情報に満ちた世界にあって、神からその御子の教会に委ねられた、いのちへの道である真理を知りたいと望んでいるからです。
 キリストの母、また教会の母である、至聖なるマリアの取り次ぎによって祈ります。この信頼できるテキストを読むすべての人が、神がそのひとり子イエス・キリストを通して人類に与えてくださったたぐいのない賜物の、はかり知れない美しさ、たぐいなさ、大切さを、いっそう完全に認め、受け入れることができますように。イエス・キリストは「道であり、真理であり、いのちである」(ヨハネ14・6)かたです。

2005年(教皇在位第1年)6月28日、聖ペトロ・パウロの祭日の前晩
教皇ベネディクト十六世

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