自発教令『オムニウム・イン・メンテム』― 教会法のいくつかの改正について

 1983年1月25日に公布された使徒憲章『サクレ・ディシプリーネ・レージェス』はすべての人の心に次のことを思い起こさせました。教会は、霊的であると同時に可視的で、位階的に秩序づけられた共同体として、法的規範を必要としま […]


 1983年1月25日に公布された使徒憲章『サクレ・ディシプリーネ・レージェス』はすべての人の心に次のことを思い起こさせました。教会は、霊的であると同時に可視的で、位階的に秩序づけられた共同体として、法的規範を必要とします。それは「神からゆだねられた任務、とくに秘跡に関しての権限と執行がふさわしく調整されるため」です。こうした規範は、神学の教理と教会法の規定の一致と、教会の機関が霊魂の善益に向かう際の規定の司牧的有益さとを常に反映しなければなりません。
 必要とされる教理との一致と司牧的目的とをいっそう効果的に保証するため、教会の最高の権威者は、注意深い検討を経て、たびたび、教会法の規定に適切な変更や補足を行うことを決定します。これが、本書簡を公布する理由です。本書簡は二つの問題にかかわります。
 まず、叙階の秘跡についての教会法第1008条と第1009条において、信者の共通祭司職と役務としての祭司職の本質的区別が再確認されるとともに、司教と司祭と助祭の違いが明らかにされます。わたしの前任者である敬愛すべきヨハネ・パウロ二世は、教皇庁教理省教父の意見を聞いた後、第二バチカン公会議教義憲章『教会憲章』(同29)に見いだされる助祭に関する教えをいっそう反映させるため、『カトリック教会のカテキズム』875のテキストの変更を命じました。そこで、わたしはこの内容に関する教会法の規定も同様に完全なものとすべきであると考えました。そのためわたしは、教皇庁法文評議会の見解を聞いた上で、上記の教会法の文言を以下のように変更することを定めます。
 さらに、秘跡は全教会に同一であるので、秘跡の有効性のために必要とされることを認可し、または確定し、その執行に際して順守すべき秩序を決定する権限をもつのは教会の最高権威者だけです(教会法第841条参照)。これらのことは皆、当事者の少なくとも一方がカトリック教会で受洗した場合の婚姻挙式において順守すべき方式にも当てはまります(教会法第11条および第1108条参照)。
 ただし、教会法は以下のように定めています。「正式の行為によって」教会から離脱した信者は、婚姻に関する教会法の方式(第1117条参照)、宗教の違いによる障害の免除(第1086条参照)、また混宗結婚の場合に必要とされる許可(第1124条参照)に関して拘束されません。第11条の総則のこのような例外の理由と目的は、上記の信者が契約締結する婚姻が、教会法的方式の欠如または宗教の違いによる障害のために無効とならないようにすることです。
 しかしながら、近年の経験は、この新しい法が逆に少なからぬ司牧的問題を生み出したことを示しています。まず、神学的内容からも、教会法的観点からも、個々の事例において、この教会からの「正式な行為による離脱」を画定し、実際に記述するのは困難であることが分かりました。さらに、司牧活動においても裁判所の実務においても、多くの問題が生じました。実際、新しい法は、少なくとも間接的な形で、カトリック信者が少ない地域や、不公平な婚姻法が宗教を理由として市民を差別しているところにおいて、背教を容易にし、または、いわば助けているように思われました。さらに、新しい法は、受洗した者が、以前の婚姻に失敗した後、新たに教会法的婚姻を契約締結することを望んで教会に立ち帰ることを困難にしました。最後に、何よりも上記の婚姻の大部分は、教会の婚姻に対して、事実上、いわば「非合法の」婚姻となりました。
 これらすべてのことに鑑み、教皇庁教理省および教皇庁法文評議会の教父の見解と、さらに上記の第11条の総則の例外を残す場合と廃止する場合のそれぞれの司牧的有益性に関して意見を求められた諸司教協議会の見解とを注意深く考慮した上で、現行の教会法の体系に導入された上記規則を廃止することが必要であると思われました。
 それゆえわたしは教会法の以下の文言を削除することを定めます。すなわち、第1117条「かつ正式の行為によってカトリック教会から離脱していない」、第1086条第1項「かつ正式行為によってカトリック教会から離脱した者でなく」、第1124条「しかも正式の行為によってカトリック教会から離脱したと認められた者でなく」です。
 そこで、教皇庁教理省および教皇庁法文評議会の意見を聞き、わたしの敬愛すべき兄弟である、ローマ教皇庁の諸機関の長を務める枢機卿の見解を尋ねた上で、わたしは以下のように定めます。
 第1節 教会法第1008条を変更し、今後は以下のとおりとする。
 「神の制定による叙階の秘跡によってキリスト信者のなかのある者は、消えない霊印で刻印され、聖務者とされる。すなわちその者は、各々その叙階に応じて、新たな固有の資格で神の民に奉仕するよう聖別され任命される」。
 第2節 今後、教会法第1009条は3つの項となる。第1項と第2項は現行の条文どおりであるが、第3項は新しい条文を作成する。第1009条第3項は以下のとおりとなる。
 「司教職、又は司祭職に叙階された者は、かしらであるキリストの位格において働く使命と権限とを受ける。助祭は典礼とことばと愛の奉仕によって神の民に仕える力を受ける」。
 第3節 教会法第1086条第1項の条文は以下のように変更される。
 「婚姻の両当事者のうち、一方がカトリック教会で受洗したか、又はカトリック教会に受け入れられた者で、他方が非受洗者である場合には、その婚姻は無効である」。
 第4節 教会法第1117条の条文は以下のように変更される。
 「以上に定められた方式が順守されなければならないのは、婚姻契約締結当事者の少なくとも一方がカトリック教会で受洗したか又はカトリック教会に受け入れられている場合である。ただし、第1127条第2項の規定の適用を妨げない」。
 第5節 教会法第1124条の条文は以下のように変更される。
 「受洗者間の婚姻は、その婚姻の一方の当事者がカトリック教会で受洗したか又は受洗後カトリック教会に受け入れられた者で、他方の当事者がカトリック教会との完全な交わりをもたない教会又は教会的団体に所属する者である場合には、権限ある権威者の明示的許可がない限り禁止される」。
 わたしは本自発教令で定めたことが効力をもつようになることを命じます。たとえ特別な言及に値することであっても、この教令に反対する規定は廃棄されます。そして、これを『使徒座官報』で公示することを定めます。

2009年(教皇在位5年目)10月26日、ローマ、サンピエトロ大聖堂にて
教皇ベネディクト十六世

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