「船員の日」 メッセージ 2016年

同じ船で御父のいつくしみを  教皇庁移住・移動者司牧評議会は、7月の第二日曜日(今年は7月10日)を「船員の日」と定め、世界中の司牧者、信者に船員たちのために祈るよう呼びかけています。  今年は『いつくしみの特別聖年』を […]

同じ船で御父のいつくしみを

 教皇庁移住・移動者司牧評議会は、7月の第二日曜日(今年は7月10日)を「船員の日」と定め、世界中の司牧者、信者に船員たちのために祈るよう呼びかけています。
 今年は『いつくしみの特別聖年』を共に歩んでいます。この世の誰もが父である神に愛され、私たちも御父の家族として互いに大切にしあうように招かれています。
 しかし、実際には海で働く彼らの仕事の重要さと大変さについてほとんど知られていないだけでなく、多くの人にとって海で働く人々が多くいるということさえ関心の外にあります。地上で事件やテロが起こると必ず報道されますが、海の上で起こることはあまり報道されないからでしょうか。

 先日、次のような報道がありました。東日本大震災の時、アメリカ海軍は「トモダチ作戦」で被災者のために福島沖に空母を停泊させ、そこから水兵たちが被災者のために働きましたが、何の情報も与えられないまま、海側に流れた放射能で2000人とも言われる人たちが被ばくしたというのです。
 同じことは、60年以上前にも起こりました。遠洋マグロ漁船第五福竜丸は 1954 年 3 月 1 日、マーシャル諸島ビキニ環礁でアメリカがおこなった水爆実験により被ばくしました。実験により生じた「死の灰」(放射性降下物)が第五福竜丸に降りそそぎ、乗組員 23 人は全員被ばくしました。
 海で働く人たちの困難さは、自然界の脅威だけではありません。海は危険な核実験の場になったり、放射性廃棄物やゴミの捨て場になったりもしますが、その多くは報道されず、隠されています。このような人間の仕業によっても、船員をはじめ海と共に生きる人、海のあらゆる生物も危険にさらされ、被害を受けていきます。

 海は神のすばらしい創造の業です。海を人間のエゴで汚してはなりません。海で働く人たちを通して、私たちは誰もがそこから生きる糧を得ているのです。地球という同じ船に乗った私たちは、それが地上であれ、海であれ、そこで働く人々について等しく関心を持ち合い、支えあっていきたいものです。
 船員の日に当たって、今一度彼らとその家族のために祈りましょう。

2016年7月10日
日本カトリック難民移住移動者委員会
委員長 松浦 悟郎(名古屋教区司教)

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